やっちゃえ先生ブログ

教員の、教員による、教育のためのブログ。 大胆かつ繊細に、実のある記事を。 民間企業→私立中高一貫校→私立高校(今ココ)。

高校生が授業中に教員に暴行…の裏にある「常勤講師問題」とは?

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高校生が授業中に教員を暴行した、このニュース。

「生徒(暴行した生徒だけでなく周りも含む)がひどい」という個人・学校の批評とは違う角度から、2点だけいいたい。

news.livedoor.com

まず、この教員(23歳・新任)はえらい

前提として、自分もつられて当該動画を見たが、前後の状況はともかく、よく”やりかえさなかった”の一言に尽きる。

状況からして、当該生徒が”本気で”暴行していないことは明らかだ。教員のズボンのポケットを探る姿も、その後の蹴りの様子も、嘲笑的な要素が強い。(かなり強い力で暴行していたことは確かだが)

若手男性教員の実感としていえるが、これほど悔しく、むなしい気持ちになることはない。このご時世だが、なりたくて教員になったのだ。

それなのに、生徒から蹴られる。でも、手を出さなかった上に、このコメントだ。

警察への被害届提出は見送る方針で「復帰したら時間をかけて生徒を指導したい」と話している

生徒が男性講師を殴る蹴るの暴行動画ツイッターで拡散 笑い声も…福岡の私立高校、被害届は見送り方針(1/2ページ) - 産経WEST

教育者だと思う。現状、精神的ショックで自宅待機となっているので、早い心身の回復を祈りたい。

必要以上の抑止ととられるような行動をとらなかったことは本当に良かったと思う。そのうえで思ったこと。

23歳・新任・常勤講師という立場への理解を

23歳の新任、ということは、どの学校でもあることだ。

が、常勤講師という立場をご存じだろうか?

※常勤講師のリアルな実態についてはこちらを

教員の実態は、こうなんです。〜ボーナス・退職金ありの契約社員?〜 - やっちゃえ先生ブログ

私立学校の教員は、公立の教員と置かれている立場が違う。それは良くも悪くも、「公務員ではない」ということだ。

裏を返せば、雇用に関して本当に弱い立場にあるということだ。

自分も常勤講師だった時代があるが、悩ましかった。

  • 専任になりたいが、なれない(本人の能力云々よりも学校の経営状態からして専任を増やせないということが多い)
  • でも、求人は「専任」への道があるという募集で出る(学校からするとそういわないと優秀な教員が集まらない。そりゃそうだ。)
  • その求人は、非常に数が少ない(特に社会科は少ない!五教科では最も採用が少ないといわれる)
  • となると、常勤であっても非常勤よりはマシだから、応募するしかない

という心理状態である。

この状態で採用されて「常勤講師」になっても、専任になれるかどうかは本人の意思はほとんど反映されない(反映できるようなら初めから専任の道を明確にする)。

まずは1年やって、とか、担任を1年やって、とか

そんなこんなで数年が経ち、気付けば30歳。そうなると、他校の専任の道はほとんどないといっていい。

だから、本当に「常勤」は弱い立場だということをわかってほしい。

抑止、とは言っても手なんて出せるわけがない

出せないよ。出せない。

いくら抑止のためとはいえ(この場合は防衛だが)、例えばその動画一発で「今年限り」を通告されることがあるからだ。それも、常勤だから、「契約通り」の一言で終わってしまう。

目立たない生徒から信頼されていても、目立つ生徒がとった動画一発でアウトだ。

動画を撮られていなくても、たとえ手を出していなくても「威圧されるような教員」という空気で自分は見られ続けるのだ。

しかも、良くも悪くも同じ県の私立学校は大体つながっている

学校はもちつもたれつ。私立ならなおさら、広報活動などで教員同士が関わることがあるし、部活動などでも教員同士は大体「どこどこの誰先生」で通じる。

別の学校に勤務していたら、大体どこかでその話は伝わっているし、リアルな評判も耳にするだろう。

その意味でも、今回この教員が守られるべきなのだ。手を出さなくて本当によかった。

その状況で、このコメント

もう一度のせよう。教育者だと思う。

警察への被害届提出は見送る方針で「復帰したら時間をかけて生徒を指導したい」と話している

生徒が男性講師を殴る蹴るの暴行動画ツイッターで拡散 笑い声も…福岡の私立高校、被害届は見送り方針(1/2ページ) - 産経WEST

先生の早い復帰と、生徒の更生を願いたい。

付言して、生徒のためにも、先生のためにも、今回の実名報道は本当にいけない。ネットにさらすことが、どんな影響を持つか想像力がないんだろう。その行為は、教員も苦しめる可能性があるのだ。

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