やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

授業アンケート結果を公開する。ー分析レポート②:生徒の声、紹介しますー

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ICTを使った授業アンケートの結果から自分の思うことを備忘録として書き留めておきます。ICTとわざわざ言うのは藤原和博さんのこの言葉が一つの理由。
ICTというのは、児童生徒が考えたことや、質問や疑問、あるいは評価を、教員側にフィードバックする、情報を逆流させる装置なんです。それをやらないで何がアクティブなんですか、と私は言いたい。
MANABI MIRAI MEETING 2017 【基調講演】藤原 和博 氏 現在の高校生は、どんな未来を生きるのか? 〜今後の未来の社会、生き方、働き方、そしてそれに向けた学び方 | 学校向けスタディサプリ セミナーレポート

アンケートをどう取っているか?

他の先生方のアイディアも知りたいのですが、まず自分のやり方を紹介。

  • 実施頻度は学期ごと、年2-3回
  • 所要時間は10-15分 
  • Googleフォームで作成
  • 質問項目は約10個 
  • 生徒は授業中自分のスマホ等から回答
  • 端末のない生徒には、ノートPCを用意
  • 無記名、アドレスも収集しない設定

※質問項目として何を聞くか、そもそもなぜGoogleフォームを使用するか、等の作成前段階については、こちらの記事をご覧頂けると幸いです。

www.yacchaesensei.com

そもそもなぜアンケート?

  • 生徒からのフィードバックは最も授業改善に役立つから

➡️自分の授業のアンケートを自分で取るのは当たり前のようですが、かなり緊張します。キツい言葉もあります。

が、そこから目を背けたら終わってしまう気がしています。

教師は生徒を、生徒は教師を、選べない。だからこそ、いい授業にしたい。

授業は「場の価値の最大化」だと思っています。

  • 生徒自身の成長を言葉にする機会にしたいから

  • 成長できなかったこと、課題も言葉にしてほしいから

➡️学習活動の一環としてのアンケート、という位置付けです。学習としての評価に近いイメージ。

下の図は田村学先生の研修資料から引用。色々なところでおっしゃっています。

本当は生徒自身が音声言語で振り返りをした上で書かせたい。

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音で広げて、文字できざむ

昨年度の記事では

こんなことを書いていた自分。

自己評価の機会づくりと、その評価を担保する仕組みの整備は、教員にとって欠かせないスキルだと思っています。

そして同時に、学校・教室という権力構造の中でアンケートを欠かせることへのためらいと、そこで得られた評価に対する健全な疑いも合わせて持っていたい。

授業アンケート結果の分析レポート①~Google×スマホで学校でも簡単実施!〜

ためらいと疑いをもって、 今年度の授業アンケートの中身と考察を簡単にまとめます。

授業全体の「総合満足度」

2017年度➡️2018年度の推移です。同じ授業ですが、受けている生徒は異なります。

授業内容もテコ入れしています。学校を移ってきて昨年度は初年度だったので、学校・生徒の雰囲気を掴みつつ手探り状態でした。

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2017年度

「授業全体に対する総合的な満足度」というしつこい言葉の使い方をしなくなったのが一番の成長でしょうか(笑)数

値がいいのはありがたいことですが、これに満足してタブを閉じることが目的ではない。ここからが大事。

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2018年度

Googleフォームの素晴らしいところは、回答の概要も、個別で見ることもでき、Excelに自動集計もされていること!上のグラフは編集なし・スクショしただけです。

この機能を利用して、例えばこの評価で「2」をつけた6人の生徒のフォームを確認し、他の設問への回答も交えて、「どうして総合満足度が「2」だったのか?」と原因を追求できます。

「生徒のことは、生徒に聞け」

すると、「2」をつけた生徒の回答にこんなコメントが。

課題が多く受験との兼ね合いできつかった。せめて、学期の最後の方に出すのははやめて欲しい。

レポートは本当に理不尽だった。ただ話を聞くのが好きってだけで自発的に調べようとは全く思ったことなかったから嫌でしょうがなかった。

➡️私の授業では学期に1本その分野の探究レポートを課しています。受験勉強もある生徒たちにとって、これは大きな負担だったようでした。

アンケートを取りながら行ったこと

実際、このアンケートを取った最後の方の授業で、「レポートの負担感を感じている生徒が多い」とわかっていたので、生徒たちにレポートの中身・時期をどうしたらよいか?ということを直接聞いてみました。

  • 時期を改める
  • 内容をもう少し細かく設定する
  • 字数の制限に幅を持たせる
  • 中間発表(相互レビュー)の授業のやり方をかえる

など具体的なアイディアを口頭でもらっています。

教員が、「私も、もう少し良くしたいんだけど、いい案がなくて困ってるんだ」という姿勢を見せられる信頼関係ができていれば、生徒たちは助けてくれます。

でも、逆かもしれません。いい生徒たちだから、信頼関係があってもなくても教員にフィードバックを直接言ってくれるのかもしれません。 

Google Classroom自体の使用は?

毎回の授業で関連する書籍・記事・動画などをGoogle ClassroomにUPしつつ、大福帳を運用しています。それら全般に対してのコメントをざっと紹介。

携帯を携帯したくないのに携帯させないでほしい

➡️すみません…(汗)こう言われちゃうと、1人1台の学習端末(タブレット?)なんかいれて欲しいなあと思うけど、BYODが許されている環境なのに、それももったいない。

こういう生徒には紙ベースで対応していくしかないのだけれど、正直限界があるし、学びの可能性を広げるwebをたたむことはこちらも考えていない。悩ましい。

資料閲覧にはよく使ったが、大福帳などはかけなかった

➡️授業中に大福帳を書く時間を毎回取れていなかった私のせい。取れていれば書いてくれていたのに!

毎回まとめのような資料等が載ったものをClassroomにあげてくれていたので見ると授業を振り返れて、非常に良かったです。本当に面白い記事もあった!

➡️こういうコメントを栄養にして生きているのです教員は…一方で、資料が多すぎるという声も結構あった。重要な順位をつけるだけでも違うかな…。

クラス単位で習熟度別ではないので、自分の興味関心に合うレベルの記事をオススメしてくれるAIには勝てないなあ、と実感します。ますます場の価値を最大化しないと、ネット授業・AIに取って代わられる。

生徒と先生の距離が近くなったように感じる

➡️ほか多数。直接皆の前で話せなくたって、思うこと、考えることはたくさんある。そういう生徒たちにとって、ウェブ上で本気で応えることで安心感を築いていく、というのは手応えとして感じています。直接聞いてくれよそれは…というのもあるけれど、まあいいのですそれはこちらの都合。

 先生だけでなく他の生徒の意見も知ることが出来る、そういう場所は貴重!

➡️大福帳を書くと、クラスメイトのコメントも読むことができる、返信もできる。その意義をこちらが事あるごとに言及した甲斐があったか?でもこういう生徒はもともと「他者から学ぶ」ことを知っている。

 Classroomの閲覧と大福帳の記入を義務にした方がよかったと思う、任意だとやらなくていっか、となることが多々あった。

➡️これも悩ましい。必須にするなら授業内で確実に書く時間を取らないとダメだ、というのは他学年の授業でも、他校の実践でも、ずーーっと感じてきている事、なのにやれていない私の授業計画の怠慢さと意志の弱さよ!

とまあ一部でしたが、こういう感じで生徒の声をたくさん拾っていくことができます。

栄養になり、毒にもなり、毒薬にもなる声たちです。

でも、全部併せ飲むくらいの覚悟でこちらも授業に臨んでいます。

もしご要望があれば、もう少し中身とか、コメントとか出せるものは出しますので、おっしゃってください。

おわりに

最近ブログを書くモチベーションが低下しているのだけど、更新頻度が減ると億劫になって負のスパイラル。モチベーションというより体力の低下か?

ともかく自分はありがたい環境にいさせてもらっているので、この境遇を生かして教育に貢献できていれば嬉しいと思いブログを書き続けています。

4月,12月はどうしてもしんどい月ので仕方ないけれど、「継続は力なり」「続けたヤツの勝ち」ですね。本当にその通り。でも、精神的に豊かな生活ができる冬休みは幸せです!ゆっくり充電(生徒からメールは来る)

www.yacchaesensei.com

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