やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

「試験で評価」は公平か? ー生徒が好むのはパフォーマンス課題よりテストってホント!?ー

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授業びらきで今年度も成績評価の種類と方法を話しました。 

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ハイブリッド評価?

高校の評価といえば、その学期中に数回行われる試験に頼ることが多かったように思います。

ただ、それでは「学力の3要素」を育んだことにはならないのではないか?ということで昨今の教育改革が行われています。

私も今いろいろ模索しながら毎年評価を決めていて、授業でも学力の3要素を育めるように、様々な課題や学び方を用意して、ハイブリッドな学びを達成し、生徒自身の成長につなげてほしいと思っています。(言葉はカッコいいが実態は地味で泥臭い)

自分の苦い気持ち

学力の3要素のような言葉を持ち出して、理論から自分の実践を練り上げることも重要なのだけど、自分の中に、「こういう気持ちで数字の評価に落とし込むのはやっぱり不本意だよな」と思った苦い経験があります。

そのとき書いた記事から引用。

日々の学びを見ていて、「この生徒のグループプロジェクトに対する貢献度は大きいな、一番いい評価をつけたいな」と思っていても、試験でずっこけてしまって結果的に5段階で「3」をつける、みたいなことをしたくない。 

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最後は数値に落とし込まなきゃいけない制約があるとしても、納得感のある評価をしたい。でも、タフなパフォーマンス課題に尽力した生徒が、試験であまりいい点が取れない、ということは往往にしてあることだと思っている。

その生徒に、不本意な評価をつけるとき、やはり心がざらつきます。

だから、なるべく「納得感の高い評価をしたい」ので、ハイブリッドな学びをハイブリッドに評価したいのです。

でも。

生徒の方が試験を好む?

ということ、が起こったりします。

高校あるあるか分かりませんが、生徒の方がテストを好むこともあるのです。

その理由は「公平」だから。もう少し言うと評価基準が明確だから。

序列化のための成績にさらされて、学びの果実よりも紙に書かれた額面のために学んでしまう構造にも問題はあるのだけど、それは一旦置いておいたときに、どうしても「わかりやすい」評価の試験を好む生徒もいます。

それはそれでいいのです。何がよい、というのは生徒によって変わりうること。

教員としてどう考えるか

だから、教員としては、

「じゃあパフォーマンス評価を生徒と一緒に設計して課題ごとにルーブリック・チェックリストを作って機能させればいいよね」

と思うのだけど、その時間はない

となると、教員作成の評価基準になり、不明瞭だという声があがる。

伝わるように伝えても、質的な部分やパフォーマンスを評価するとなると、多少のズレや生じるので、不満が出やすくなる。これならテストの方がいい、となる。

プロである教員は、そう思わせないような「見取り」の力が必要だし、個人指導ではなく、集団での授業を運営できる力・「集団で見取る力」が求められているはずです。

そうやって、主体的で対話的で深い学びというお題目を現実化しようと模索する先生方の努力が、お題目のまま終わってしまうことって、語られないだけできっとものすごくあるのだろうなあ。と思う。

色々な事例に学ぶしかない 

模索して学んでいくしかないですよね…

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おわりに

もちろん、試験・テストもパフォーマンスの立派な1つなのです。

試験自体を否定したいわけではありません。

あのミネルバ大学だって、入学者選抜に高校での成績評価を使うのは妥当、と判断して使っています。

私自身は、今年度もクラス単位で受験生の必修授業を少ない単位数で担当していると、評価基準のジレンマで4月はざらざらするのです。

センター試験や二次試験対策の選択講座を持っていると、評価基準は明確、生徒のモチベーションも高く、人数も限られ、いい空気が生まれるので、必修の方と温度差をどうしても感じますね…