こんにちは、やっちゃえ先生です。
趣味の一つが読書なので、このやっちゃえ先生ブログでも書評といったら
大げさですが、本からの気づきを書いていきたいと思います!
「多忙」とよばれる教員ですが、とにかく読書は欠かさないようにしています。
さて、早速本題に!
『暗幕のゲルニカ』の中身のまえに
みなさん、「ゲルニカ」ってご存知でしょうか?
Google先生で画像検索すれば、出てきますが、多くの人が、
「あ〜〜これか!」と言うくらい見たことのある人が多い絵だと思います。
歴史の授業でも「ゲルニカ」については、しっかりと教えるようにしています。
資料集にもばっちり載っていて、歴史が苦手な生徒も、「ゲルニカ」は
まじまじと見ています。
なんといっても、あの絵が語るもの、奇才ピカソの生涯もさることながら、
ファシズムが跋扈していた当時の状況、空爆によって破壊されたちいさな町。
そういう話をすると、生徒もぐっと真剣な表情になります。
ぜひ1度ホンモノをみてみたいです。
刺さった言葉
さきに言葉を載せておきましょう。
美に対する大胆な挑戦をし続け、
見る者にも「共犯者」となることを強いる。
それがピカソのやり方だった。そして、今度は、この作品で、見る者に「目撃者」となり「証言者」となれと挑発しているかのようだ。
彼こそは新たな美の創造主。いや、既成概念の破壊者だ。
ぐっときましたね。
ピカソという芸術家がどういう人物だったのか、を語るにふさわしい言葉だと思いました。
特にこのゲルニカ創作にあたっては。
はなしのあらすじ
ストーリー自体は、ピカソ、というよりピカソの愛人ドラ・マールと、
現代に生きるピカソ研究者の日本人女性を主人公に、
名画〈ゲルニカ〉が生まれた頃と、
9.11の頃を往復しながら進む展開です。
前半で語られるゲルニカ誕生の流れは、
ドラ・マールの視点で描かれているので、ノンフィクションのような展開。
ドラ・マールの屈折した感情の中に映し出される奇才ピカソの様子。
ただ、ちと恋煩いした女性の語り口はくどかった。笑
ですが、
現代に話はひきもどされるのでテンポよく読めます。
特に現代の箇所は、9.11のはなしなので、リアリティをもって読むことができました。
原田さんの現代へのメッセージもがんがん来るので、読みやすい展開。
私の師の言葉を思い出す
かつて私が大学生だったころ、師の一人は
人文科学はねえ、受け手の度量が試されるんだよ、だから、劇薬。
とおっしゃっていました。
まだ大した人生経験もない中で、人文科学を学ぶ意味を分かり始めた、ときに
ふっとおっしゃった このことばは今でもよく覚えています。
なお、この作品紹介ページには、
「一枚の絵が、戦争を止める。私は信じる、絵画の力を。手に汗握るアートサスペンス!
反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの〈ゲルニカ〉。国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、突然姿を消した――誰が〈ゲルニカ〉を隠したのか? ベストセラー『楽園のカンヴァス』から4年。現代のニューヨーク、スペインと大戦前のパリが交錯する、知的スリルにあふれた長編小説。 」
とありました。
ただ、読後感としては、
科学が生み出した繁栄に浸かりながら、
科学が生み出したどす黒さを嘆く人々に対してのアンチテーゼ、
と受け取ってしまいました。
ちょっと穿った見方かもしれませんが・・・。
ISのテロをはじめとする不安定な世界情勢を鑑みれば,
今こそ人文科学の度量が必要だ、という主張はうなづけるものがあります。
そう言えば、日本の大学改革でも、
文学部や教員免許を取得しない教育学部系の縮小が叫ばれましたね。
こういった「すぐに役に立たないもの」を排す傾向は、
人間の多様性を排す傾向と繋がるのでしょうか。
人文系のもつ魅力と意義を、もっと発信していかないといけない。
と思います。
うーん、2回目ですがやっぱり難しいですね。
先輩方のブログを参考に、とにかく記事を書き続けたいと思います。めざせ100記事!
今後ともよろしくお願い致します!
ではまた!