やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

中室牧子『学力の経済学』で現役教員がメモした5つの言葉

ブログ開始早々、新年度の怒濤の業務が舞い込んでいるので、

さっそく心が折れそうです^^; 

新任の先生も着任し、フレッシュな空気が漂って、よしやるぞ!の勢いのまま

ブログも更新したいと思います!

では本題!

 

メモした(お!)と思った5つのことば

1.悪い成績をとった学生に、自尊心を高めるような介入を行うと、悪い成績をとったという事実を反省する機会を奪うだけでなく、自分に対して根拠のない自信を持った人にしてしまう。

これは、表現の仕方に異論があるかもしれませんが、

基本的には、現場でもその通りだと思いますね。

教員あるあるかもしれませんが、「(頑張ったのに)成績の悪い子」に対して、

その子のモチベーションをなんとか維持させるために、

あるいはその子の努力をなんとかほめようとするために、

教員がその頑張りを肯定すること、は往々にしてあると思います。

ただ、ここで、成績について触れない、

あるいは「何が問題か、を本人に語らせない(書かせない)」指導をしてしまうと、

教員が「嫌われたくない」思いが勝ってしまったなと思います。

 

民間企業での経験から言っても、ビジネスで「PDCA」をまわす、ということは

必要不可欠な要素になっています。

教育現場は社会から乖離すべきではない(学校でいろいろやってみようよ)

と基本的には考えているので、

社会(といっても8割以上がビジネスが伴う)で起きている現状を

生徒にも体感してもらうことは重要でしょう。

むしろこうすることで、「子供扱いされていない、ちゃんとしなきゃ」

という自尊心というか、現状打開への気持ちがわき上がるのかなと思っています。

※もちろん、唯一の正解はないですが!

 

 

2.テレビやゲームをやめさせても学習時間はほとんど増えない。ただし、1日1時間までなら。2時間越えると負の影響が大きい。

 研究データが現状の日本社会にマッチしているか、という問いはさておき、

実証研究でこのような相関関係があると証明されたのは面白いなあと思います。

現場にいると、どうしてもデータをもって語れないこと、があります。

でも、データをもって語ること、はとても大事だと日頃思っています。

生徒も、「大人はきれいごとしか言わない」なんて言ったりしますが、

きれいごともいいつつ、データも添えると、ストンと納得してくれます。

というよりも、高等教育に進学するのであれば、データの使い方、などは

この中等教育でしっかりと扱わないといけないと痛感していますが。

(教育は誰しもが経験していることだから、誰でも好きなことが言えちゃいますからね。教育のプロとして現場に立つ以上は、データを常に意識したいです。)

 

 

3.高校卒業してからすぐ働き始めた人と、大学卒業してから働き始めた人の間では、生涯獲得賃金に1億円の差がある。

1億を年末ジャンボで当てようとすると、確率は1000万分の1。

交通事故で亡くなる確率が1万分の1。飛行機事故の確率が20万分の1。

不可能に見えるが、宝クジで夢を見なくても、大学へ行けば生涯獲得賃金は1億円高くなるのです。

 なるほどなあ笑 と思ったのは、教育の経済的価値の「伝え方」です。

教員は、日々「学習」の意義を語り、意義が感じられるように仕掛けをつくらねばならない職ですが、

こういった切り口で伝えることは、学校が聖域でなくなった今、

SNSで容易に「リアル」を手に入れている(と自覚している)生徒たちにとって

「生徒目線」で物事を語ってくれる、と思わせる効果があるかもしれません。

 

 

4.ある世代の子供全員を対象にして「平等」に行われた政策は、親の学歴や所得による教育格差を拡大してしまうことがある。

教育の「平等」と「公正」に関して、一言で指摘してくれています。

 

「平等」のジレンマは本書の中でもいくつか紹介されていますが、

(例えば、全員手をつないでゴールする徒競走が生み出す子供の類型)

教育現場で重要とされるのに、「平等」より語られないのが「公正」だと考えます。

そもそも、この両者の違いを生徒に認識させるところから始めたいですね。

現実を何となく語り、何となく批判する教員ではなく、

社会問題に対して、強烈な問題意識(もちろん政治的な思想で誘導することはありませんが)を教員が持つことは、

「アツくなる」ことを鼻で笑いがちな子供たちにとって、重要だと思います。

そういう自分を敢えて見せる、ということです。冷静に、でもアツく。

このアツさの裏には、「公正」に関する認識がどしっとしていないと、と思います。

(というか、世の中平等なわけがないですよね。)

 

5.

能力の高い教員は、子供の遺伝や家庭の資源の不利すらも帳消しにしてしまうほどの影響力を持つ。

ある子供を過去のその子自身と比較して、昨日より今日、今日より明日と伸ばしてやれる(付加価値を高められる)先生が、いい先生。

はい、がんばります!(笑)

でも、私自身が家庭の資源の不利を痛感してきた人間なので、

ココに関しては強く思い入れがあります。

初心忘れず、で明日を愛をもって、生徒たちを迎える準備をしていきます。

 

ではまた!