多くの学校がやっと(生徒以上に待ち望んだ?)夏休みに突入ですね・・・
この夏休みに「普段土日に出勤している分の振替休日をとる!」ということができるかどうか、が私学の教員にとっては死活問題です。(ホントに)
さてさて、そんな私も夏休みに突入して、業務に研修に部活動に結局いつもと変わらないような生活ですが、本を読みあされる!のは大きな魅力です。で、書評記事をいくつか書きたい本があるのですが、その中でもつい昨日読み終わった、
『大統領の演説』パトリック・ハーラン
が想像以上によく、これはブログで紹介したい!と思った次第です。
パトリック・ハーラン?・・は?だれ?
と私も最初は思ったものですが、新書の帯に彼の写真が載っていたのですぐに誰か分かりました(知名度で判断するなというけど、しちゃいますねえ)
ハーバード大学卒でお笑い芸人の「パックンマックン」の「パックン」です。
で、この「インテリ芸能人×新書」ってどうなんだい、と思って期待せず読んでいたのですが、これが想像以上によかった笑(パックンに失礼。)
<想像以上によかったこと①> 読みやすい!
パックンの軽妙な語り口、非常によかったなあと思います。やはり普段から話すことを生業とされているだけあって、読ませる。
元々パックンは『ツカむ!話術』という新書も出していてこれもヒットしたようですが、その著者だけあって、大統領のスピーチを紹介する話術が絶妙なテンポで進んでいきます。
活字嫌い?な人にも、そんなにイヤな感覚を抱かせず読める、さすがだなあと思います。完璧に校正された文章というよりは、敬語と口語が嫌味のない感じで混ざり合い、パックンがそこで話して解説してくれているような感覚です。
解説に使う知識も、最初に解説してくれる上に、度々「また出たよ、この演説の形式!」とか「この構成、また出てきましたよね!」とか、原則を活かした解説なので、あれもこれも感は少ないです。
<想像以上によかったこと②> 勉強になる!
先にも書いたように、読みやすい語り口調で「大統領のスピーチ」の紹介が続きますが、パックンの目線で、何が「刺さるスピーチか」が赤裸々に語られています。これが勉強になる!
アメリカ人の感覚と日本人の感覚両方を持ち合わせていらっしゃるので、大統領の演説を聞く聴衆の気持ちもよく説明してくれますし、同時にそれを「日本だと〜〜」というように日本だとこういう感じ!と説明してくれるので、すっと入ってきます。
もちろん、演説の英語の原文ものっていて、それもパックンが独自に抜粋した箇所なので、ありがちな文法的な説明に基づいて解説され続ける感じはまったくありません。そこが巷の演説本とは違いますね。きちんとアメリカ社会と日本社会をある程度理解している人が書いた解説本なので、社会背景もよくわかって面白いです。
大統領自身への評価も、パックン自身が赤裸裸に語っているので、これも面白い。あのオバマについても、一言注文しています。トランプ、クリントン、サンダースの章も面白かった。3者3様の選挙戦の様子がよく伝わってきました!
<想像以上によかったこと③> 演説の良さが沁みる!
演説の解説本やリスニング本でありがちなのが、
「結局その素材を味わいきれずに解説でお腹いっぱいになる」
ことだと思うのですが、この本はそれがあまりないですね。
演説の素材の良さが本当によく活きているような気がします。
特に、私が心に残ったのは、2015.6.26に行われたオバマのAmaging Grace演説ですね。元々、とても好きな演説でしたが,パックンの解説でより、グッときました。
最後にパックンの言葉の引用で終わりましょう。
このスピーチ、僕が今まで見た『泣ける映像トップ5』には入ります。graceという単語の意味を心から理解しているオバマが、憎くて当然の犯人に対して、「赦す」と言った人たちの情けの心を受けて、アメージング・グレースを歌う。みんなで歌う。希望に満ちて終わる。こんなに魂を揺さぶるスピーチができるなんて、オバマのすごさを肌で感じることができます。
相当な宣伝書評になってしまいましたが、想像以上でした!
ではまた!