やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

楽させたい?苦労させたい?〜子どもの進路〜

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突然ですが、もしあなたにお子さんがいらっしゃったら、

楽させたいですか?苦労させたいですか?

 

今日は授業の後、私立学校の「広報」に関する勉強会に参加しました。

私立の教員として、「広報」は避けて通れない仕事です。

私立ですから、生徒が集まらなければ、学校としての存続が危ぶまれる、からです。

ビジネスでも、利益が上がらない会社が存続できない、というのと全く同じです。ここにはきれいごと抜きで市場原理が働きます。

 

とは言え、やはり教育の場ですから、

生徒を集める学校、という商魂あふれる学校は敬遠されがちです。

生徒が集まる学校、をつくらねばなりません。

 

では最近の「生徒が集まる学校」とはどんな学校でしょうか?

 

 

◯グローバル、英語、主体性・・・?

 

教員目線、かもしれませんが、最近の教育界のトレンドは何だろう、どんな学校に生徒が集まっているんだろう、と考えたとき、

上のような言葉が浮かびます。

 

が、実はこういったもの、は最近ほとんどの私立で打ち出されている事です。

これで差別化をするとしたら、

①相当オリジナリティがある

②PRが非常に巧い

のどちらかになるのでしょうか・・

例えば、ネイティブの教員が入る英会話の授業や、海外研修などは、かなりメジャーになってきている印象です。

こういったものだけでは、私立に求められるものを満たしているとは言えないのかもしれません。

 

私も私立校の教員として、学校説明会や外回りに出た時に保護者の方とお話しさせていただく機会がありますが、

保護者の方々は、子どもが苦労して達成する事、未知の状況で自分を試していく事、自分で何かを切り開く事、を求めます。(もちろん教員もですが)

 

ただ、本音は本当にそうかというと、必ずしもそうではない気がします。

「学力」層が高く、自己肯定感の強い子どもであれば、そういった環境を保護者も子どもも求めているのかもしれませんが、必ずしも全員がそうではありません。

 

では保護者の方々の本音、はどうなのか。

私見ですが誤解を恐れずに言うと・・・

◯安心できる・面倒見のよい・楽できる

が、キーワードではないでしょうか?

タイトルに合わせるならば、

「苦労させたいとも思っているけれど、できれば楽に安心して過ごせる学校」

を求めているような気がします。

 

中学受験のために模試を受け、自分の子どもがどれくらいの偏差値帯なのか知っている親御さんの中には、いわゆるグローバルマッチョ的な学校のPRに辟易し、「うちの子には・・・」と思っていらっしゃる方もおられるでしょう。

 

そんな方とお話をすると、

海外研修や少人数の英会話授業など英語に力を入れていること

よりも、

小学校の算数の補習を行うこと

の方が食いついて下さったりします。

 

他にも、

・大学付属の学校である

・有名私大に指定校推薦の枠が多数ある

・卒業しても就職活動のサポートがある

 

という特徴が保護者の「安心したい」に訴えるでしょうか。

 

子どもの可能性を引き出し、伸ばす、ことが使命の教員であるとは言え、

すべての子どもに遠く果てしない目標を提示し、厳しい環境で鍛えていくマッチョな学校よりも、

手厚さ」「安心感」を感じさせる学校が、生徒が集まる学校になっているようです。

 

「苦労させて自立した人間に」

「とはいえ、できれば子どもに苦労をさせたくはない」

 

のジレンマですが、「かわいい子には旅をさせよ」という価値観も少し変わっているのかもしれません。(私は絶賛「旅をさせよう!」派なのですが笑)

 

 

◯さいごに

「社会の動きに合わせる学校」

ではなく、

「学校の動きに社会がついてくる」

が理想だったりしますが、そうはいっても支持されなければ存続できません。

教員として、ぐにゃぐにゃと考える夜でした。

ではまた!