皆さんには「好きな詩」はあるでしょうか?
昨日はある尊敬する方々と久々に再会し、いろいろなお話をさせて頂きました。
楽しい会話の最後に、詩の話で盛り上がったんですね。
○詩の歴史は深い
歴史的に最も古いとされるのは、
メソポタミア(「2つの川の間」という意味)で生まれた『ギルガメシュ叙事詩』で、紀元前3000年頃に成立したとされています。
チェコでベストセラーになった
こちらの本でも、経済と倫理の関係を分析する最初の研究対象としてあげられていました。現代でも普通に読める詩だったのが驚き。
ほかにも、古代ギリシャのホメロスによる『イリアス』や『オデュッセイア』、古代インドの『ヴェーダ』などなど、きりがありません。
中国で1000年以上、官僚登用試験として行われていた科挙の試験科目の中にも、詩作があったはずです。
詩というのは、まさに教養だったのかもしれません。
そんな話はさておき、、
○好きな詩はありますか?ときかれて
教養のある尊敬する方から突然ふっと話をふられました。
「ところで、好きな詩はありますか?」と突然。
うーん、と少し考えましたが、私はやっぱり茨木のり子さんの、この詩を答えました。
●自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
最初にこれを読んだのはいつだったか忘れましたが、
民間企業で「このままでいいのか」と自問自答する日々に差し掛かっていた時だったはずなので、
がつーんと胸をどつかれたような気持ちになりましたね。
同時に、ああ自分の感受性くらい自分で守るんだ、と吹っ切れたような気もしました。
今教員としてそれなりに幸せな日々を送れているのは、この詩のメッセージがあったからかもしれません。
教員は結構「メッセージ」を発することが多い職業です。
こういう詩の引き出しも増やしておかねば、と思った昨日でした。