やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

一つのケーキ、公平に分けられる?〜子供に伝えたい経済の考え方〜

一つのケーキがあります。

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これを2人で分けると考えたとき、

2人とも満足するように公平に分けるにはどうしたらいいでしょうか?

 

頭の体操だと思って考えてみてください。ケーキはホールケーキでもその1切れでも構いません。また、分ける2人については、「2人ともできるだけ多くケーキを食べたい同い年の大人」、仮にAさんとBさんとしましょうか。

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分け方そのものには、複数の方法があると思います。その方法について、2人が納得すればよいわけです。ただし、「譲る」や「どちらかが飽きるまで食べさせる」はなしとしましょう。

あくまで、2人とも満足するように公平に分けることが目的です。

 

○経済の大原則が含まれる問い

答えの前に、なぜこんな問いを紹介したか。というと、これが資源の分配問題という経済の根本にある問題と直結するからです。

限られた(経済的)資源をどう分配するか?という問いを経済学は根本に持っています。

 

で、それはなぜかというと、

経済学がそもそも、共同体のあり方を考えるためにあるからです。エコノミクスの由来はギリシア語の、「オイコノミコス」。つまり、「共同体のあり方」なのです。(諸説あるらしいが)

 

まとめると、このケーキの問いは、

AさんとBさんで構成される共同体をよりよくするために、ケーキという限られた資源を、2人が納得する形で配分する、という問いなのです。

 

これぞ、経済。主に中3や高2で経済を学ぶ学校は多いと思いますが、私は必ず経済単元の初めに、経済とは何か、のワークやレクチャーを入れています。そうすると、そのあとの生徒の食いつきが違ってきます。

 

教科の専門性というのは、教員自身の知的好奇心と研究から形成されるのは当然ですが、目的は生徒の知的好奇心をくすぐるためにあらねばなりません。

 

自ら生計を立てていない中高生に、経済って面白い!と思ってもらうには、とにかくこちらの引き出しが必要です笑

 

○で、正解は?

 最も公平だとされる分け方は、

じゃんけんで勝った方が分け、負けた方が先に取る」(負けた方が分け、勝ったほうが先に取るでもOK)です。

 

当たりましたか?

確かにこうすると2人の納得度は高いでしょうね‥

 

では、ケーキを3人で分けるときはどうでしょうか?同じように3人とも満足するように公平に分けるにはどうしたらいいでしょう?

 

ちょっと考えてみてください。(答えはコメント欄に追記します!)

 

○おわりに

このケーキの分配は「限りある富の分配」を考えさせる好例です。

しかも、社会では答えがないものや、たくさんあるものばかり。往々にしてどちらの言い分も理があるが、分配しなければならない(所有権を確定せねばならない)問題が多くあります。

 

そういった問題に対して、安易な考えや、過激な考えをするのではなく、粘り強く考え、折衝できる人間に育って欲しいと思います。

 

なお、ケーキの例えはこちらの本からです。経済に関して様々なノウハウ本や学び直し本がある中で、テクニックや事例の寄せ集めに走らず、経済の中心概念の解説にページを割いています。短くても濃いです。

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)

経済の考え方がわかる本 (岩波ジュニア新書)

 

しかも、丁寧に対話を通して説明してくれていますから、読みやすい。一単元ごとに確認クイズもあり、自分の理解度も図れます。10年前の本ですが、名著です。

そろそろ経済単元に入る時期、今年も楽しませてもらいましょう!