「質問づくり」実践まとめ記事第3回です!
まず、書籍にも掲載されている「手順」を整理しておきます。 ①教員から「質問の焦点」が提示され、生徒たちがつくり出す質問の出発点となる。 ②単純な四つのルールが紹介される。 ③生徒たちが質問をつくり出す。 ④生徒たちが「閉じた質問」と「開いた質問」を書き換える。 ⑤生徒たちが優先順位の高い質問を選択する。 ⑥優先順位の高い質問を使って、教師と生徒が次にすることを計画する。 ⑦ここまでしたことを生徒たちが振り返る(学んだことは何か? どのようにして学んだか? 学んだことをどのように応用できそうか? など) 上記①〜③のプロセスは↓こちら↓で紹介しています。 今日はこのプロセスの④です! Closed QuestionとOpen Questionと言った方が馴染みがある方もいるかもしれません。簡単に説明しているページがあったので引用します。(順番を入れ替えて掲載します。太字・下線は筆者) ■閉ざされた質問:相手が「はい」「いいえ」あるいは一言で答えられるような質問形式のこと。たとえば、「お休みは土日ですか?」「ご出身はどちらですか?」などがあげられます。 ■開かれた質問:応答内容を相手に委ねる質問形式のこと。導入のための質問(「どのようなことでいらっしゃいましたか?」など)・具体例を引き出す質問(「具体的にお話いただけますか?」など)・経過を聞く質問(「それでどうなりましたか?」など)・感情を聞く質問(「どのように感じましたか?」など)の4タイプがあります。 心理学用語「開かれた質問/閉ざされた質問」open question and closed question - gooヘルスケア もう一言だけ補足すると、開かれた(=開いた)質問は、「説明」を必要とします。 つまり、一言では答えられない質問です。 質問は必ずこのどちらかに分類されるので、閉じた質問でなければ、開いた質問であると言い換えてもよいでしょう。 私はこの二つの質問の違いを、練習問題とともに年度始めのガイダンスで実践させています。実際に数問やってもらえば、中学生でも問題なく理解してくれます。 例えば、「社会は好きですか?」という質問は閉じた質問?開いた質問?(閉じた質問) では、開いた質問に書き換えてみよう(なぜ社会が好きですか?など) そこで全員が理解できれば、「質問づくり」のときに使えるスキルとなります。 ここで大事ことは、1つ。 2つの質問の定義もさることながら、質問の違いがどういう結果の違いをもたらすかが重要です。 そのために例えば私は以下のような問いを生徒に投げかけます。 「こういう質問を操るスキルは実生活でも生きるものです。 例えば、初対面の人に話をするのは、 「閉じた質問」と「開いた質問」どっちが効果的だと思う?」 などと聞いてみるのです。 みなさんも考えてみてください! ◯初対面の人に話しかけるとしたら… ①「今日は電車でいらっしゃったんですか?」 ②「今日はどういう目的でいらっしゃったんですか?」 どっちの方が初対面の相手にとってよい質問でしょう。 あくまで一般論ですが、先ほども引用したサイトから。 一般的には会話を盛り上げたり、コミュニケーションを深めたりする場合には、開かれた質問を多く用いる方が良いと言われています。応答する側の自由度が高いため、内容に広がりが出るからです。 しかし、たとえば初対面で緊張度の高い場面などにおいて、最初から開かれた質問ばかり投げかけられると、対話自体が苦痛になってしまう可能性もあります。 それぞれの質問形式の特徴を捉え、閉ざされた質問で対話のテンポを上げながら、開かれた質問で相手に自由な発言をしてもらうという形が理想的といえます。 (太字・下線は筆者) ということです。つまり、初対面の相手には①の「閉じた質問」から入ってみた方が安全策、という一般論です。 こういう話を交えて、質問を操ることの重要性を生徒が感じてくれれば、あとは、質問づくりの過程でも実践させます。 ①「書き換えるだけで1つの質問が2つ以上になるよね」 という声掛けは、 「質問づくり」に対する生徒の心理的ハードルを下げると実感しています。 ②「自分が知りたいのはどっちの聞き方で聞いた時だろう?」 という声掛けは、 「質問づくり」の本領かもしれません。自分が何を知りたいのか、を改めて自分に問うのです。言葉にすることで、あれ、実は一番知りたいことはこっちの問い方で問うた方が得られそうだ、という気づきを生徒が得られます。 【質問づくりの後半、絞り込んでいく過程はこちらから!】
◯「閉じた質問」と「開いた質問」とは?
◯生徒に2つの質問の違いを体感させること
◯おわりに:実践がうまくいく2つの声掛け