怒涛の6月。限界に近づいていますが、ここで踏ん張れば夏休み、と全国の教員は今日も生徒以上に夏休みを待ちわびて奮闘しているはず(笑)
今日は生徒にさせてみたグループプレゼンの授業の話を。
社会科は「人間」を学ぶ教科
今年度は倫理も担当しているけれど、倫理という科目はお得だと思っている。
なんでかって、2500年以上の人間の歴史の中で、とびきり頭がぶっ飛んでいる哲学者・思想家の考え方を1冊の教科書で学べるからだ。歴史以上に、人間そのものにフォーカスしているといっても過言ではない。
そもそも、社会科は「人間」を学ぶ教科だと思っている。なぜ社会科か、と言われればいろいろなことを言いたくなるが、自分が「人間」そのものに興味を持っているから、というのが一番大きいかもしれない。
人間の美徳も、正しさも、不条理も、醜さも含めて興味がある。そして過去の先人たちの営みから、今と未来を考えることはとても楽しく、意義があると感じる。”平和”の担い手を育てるために、欠かせないと感じる。
とまあ自分の興味関心はさておき、授業の話。
50分を預けてみる。
「グループで、倫理的な問いを含めて、50分のプレゼンをする。レジュメを配布し、質疑応答の時間を設ける」という条件のみを課し、グループでトピックの選定から何から何までさせてみた。
通常授業でこのために使った授業コマ数は3時間。
3時間の内容は、ガイダンス・グループ分け・アイスブレイク・興味のあるトピックのシェア・図書館でのリサーチといったところ。
図書館でのリサーチは、図書館の多大なるご協力があってこそ。やっぱりまず学校のリソースを最大限に使える教員でありたい。
図書館のスタッフのみなさんも、高校生の学びの場として図書館が利用されることを大変喜んでくれていたし、このあたりも予想外の収穫というか、今後もいろいろな試みを図書館で行えそうだ、という感覚を得た。学校によっては図書館のリソースが十分でなかったりするのでありがたい限り。
ちなみにグループ分けは男女の数だけ配慮して完全にクジ引き。
春先に行う価値
これを春先に行うと、「学級づくり」がよくできる。
生徒の動きを観察し、グループごとに男女のパワーバランスもよく見える。
うまくいっているグループは男女の壁がやはり少ない。
そもそも、担任の先生がHR単位の授業が少ない高校生の人間関係を把握するのは意外と大変だ。担任の先生と連携をとって行うことで、このあたりにも手が届くので、喜ばれたことも、ありがたい限り。
忙しいけど、対面で議論してぶつかりなさい
そこにこそ価値があると思っている。
高校生は多忙だ。週5-6授業があって、部活動に取り組み、塾などの課外活動や家事を手伝ったり、様々だがとにかく多忙だ。多忙な中でもスマホをしっかりいじる時間もいれれば、やはり睡眠時間にしわ寄せがくる。
そんな状態の高校生だからこそ、対面で議論させることに意味があると思っている。
特に倫理の場合はそうだ。答えをみつけることではなく、「問い」をみつけるために学んでいるといってもいいかもしれない。
※このあたりは質問づくりと重なるところもある。
自分の価値観をさらけ出し、自分のものの見方を知り、他者の存在で自らが「ゆらぐ」。そんな経験をこの高校生のうちにいっぱいしてほしい。
その経験は必ずや次の進路ステップでも生かされてくるはずだ。
生徒の声
「顔を合わせて集まることが本当に大変だった。でも、無理にでも集まって議論してぶつかったことで、この上ない達成感がある。もう1回やりたい」
「倫理、というと”テツガク”って感じで、難解な学問というイメージだったけど、もっと身近で、根本的なものだと感じた。友達の考えに何度も刺激を受けて、意見を言うことが楽しかった」
などなど、ちょっとまたまとめなおしたいくらい。
ちなみに発表方法は本当に多様でおもしろかったです(笑)
パワポスライドはありがちですが、アンケートをして来たり、インタビュー動画を流したり、仮想世界のドラマをしたり、紙芝居をしたり、模造紙をでかでかとはったり、リスナーにディベートさせたり…
やっぱり機会を与えてみるに限ると思うし、やっちゃえ、の精神は失ってはいけないとかんじた今日でした。嗚呼テストづくり!