2018年、センター試験の倫理・政経・倫理政経について解いてみました。
この記事では、①倫理政経、②倫理の解説・分析を載せておきます。
※政経は別記事を書きます!現代社会はざっとみただけなので、割愛させて頂きます。
まず、①の倫理政経ですが、これは驚くほど…
①倫理政経:基本的な問題が多かった!
これが何よりの特徴でしょう。今年倫理政経受験をした生徒はかなり「今年は簡単だった」という感覚を持っているようです。実際に解いてみても、オーソドックスな問題が多い上に、選択肢も易しいものが多かった印象。
【20180204修正:平均点情報を確定版に差し替えました。平均点が73点というのはちょっと驚きですね…!今年の倫政受験者はラッキーでした】
昨年度のセンター倫理政経の平均も66.63点で、公民科目の中では最も平均点が高い科目となっています。そもそも倫理政経を選択する受験生の学力層が高いことが大きな要因だと思いますが、この平均点ではちょっと簡単すぎた、といえるでしょう。
問題についても、②倫理、③政経の問題をそのまま使っていますので、次に行きたいと思います。
②倫理:選択肢の8択が減り、こちらも基本的な出題!
ここから倫理を見ていきます。
形式面では、昨年10題もあった8択問題が4題へと減り、オーソドックスな短文4択問題が増えた。
8択問題が半分以下に減ったのはかなり大きな変化でした。4択はなんとかなっても、8択になるとなかなか得点しきるのは難しいです。
で、問題については、Twitterの転載で恐縮ですがこんな感じ。
【2018センター倫理雑感】
— やっちゃえ先生@読書の冬 (@Yacchaee) 2018年1月14日
①基本的な問題多。だが、青年期の課題(ハヴィガースト、オルポート、ベルクソンあたり)や現代思想(ウィトゲンシュタイン、ソシュールら)の出題があったのでそこで差がつくだろう。地球温暖化の原因は自然な引っ掛けで間違えた受験生も多そう(教科横断の意識はここにも?)
環境に関する問題の選択肢②地球温暖化の説明は、センターお得意の、「知っている単語Aと知っているまた別の単語Bをくっつけてあたかもそれっぽい選択肢」でしたね。
普段から理科系のことで疑問があったらこのサイトみるのだけど、本当に有用です。笑
【2018センター倫理雑感】
— やっちゃえ先生@読書の冬 (@Yacchaee) 2018年1月14日
②日本思想もオーソドックスな出題だったが、貝原益軒、本居宣長、家永仲基、新井白石、荻生徂徠の5人を一気に正誤で問うてきた8択はやや難で9割狙う受験生は差がついただろう。三宅雪嶺もややマイナーだが選択肢で絞り込んでなんとか2択に持ち込めば…。
最後の三宅雪嶺についての問題はこんな感じでした。
答えは③。「やべ、三宅雪嶺はちゃんと押さえてなかった!」という受験生も、あきらめるなかれ。②はリード文と設問文から違うだろう、④は超国家主義・国家改造の過激なキーワードから北一輝を思い出したい。
となれば、①③の2択で、選びたい、かな…(願望)
【2018センター倫理雑感】
— やっちゃえ先生@読書の冬 (@Yacchaee) 2018年1月14日
③倫理だが、社会認識を問う出題が増えた気がする。環境問題を聞いたり、どちらかというと政経や日本史で頻出の植木枝盛聞いたり、国境なき医師団のノーベル賞演説と人道主義の問題も政治的権力との絡みで出題。教科書でいう、最初と最後の「マイナー」な部分までやれたか。
【2018センター倫理雑感】
— やっちゃえ先生@読書の冬 (@Yacchaee) 2018年1月14日
④先の続き。社会認識を問う意識が最も現れていたのは第1問。新自由主義とグローバル化の±の理解を問うた後、日本の直面する介護問題、世界の直面する人口問題を題材に、政治的なものと倫理の関わりから出題が見られた。センの福祉観も21世紀の福祉像のあり方を問う意図?
これは全体としての分析ですが、
教科横断性 への意識が年々強まっている気がしています。
そこまで強いメッセージ性はないにせよ、「倫理」の枠だけにとどまるものを聞くよりも、他の社会科目、現代の社会とのつながりを意識した問題が多かった気がする(結果的にそれが他の重箱の隅系問題を減らしたから、平均点を底上げしていると思っている)
例えば受験生がおそらく最初に目にする倫理の問題はこれだった。
問1は、グローバル化した現代についての文章の空欄に短文を補充させる形で問われており、目新しい形式であった。ウの新自由主義とエの人類の福祉が判別できたかどうかがポイントであった。問題講評(倫理) | 2018年度大学入試センター試験自己採点集計データネット
目新しい形式、はともかく、社会全体を俯瞰して、「いま」がどういう時代なのかをいきなり聞くのは個人的には好きだ。
現代の諸課題については、「倫理」の枠にとらわれずに学習することが必要である。教科書・資料集レベルのキーワードは一通りおさえておきたい。日ごろから新聞やニュースにふれ、生命倫理や環境問題、情報化、家族や地域社会の課題などについて、制度面の動きや課題のポイントなどを把握しておきたい。問題講評(倫理) | 2018年度大学入試センター試験自己採点集計データネット
社会科の垣根を教育側が勝手に作っていると思っているので、こういう問題が増えていけばいいと思う(適当)し、この理解のもと、思想家の考えを援用したり、批判したりできる授業を設計していきたいという思いは変わらない。
おわりに
新設科目「公共」によって、倫理の存在意義が薄れ、学習内容も削られるかもしれない状態。
センターを解くと、やっぱり生徒たちの受験対策に対する切なるニーズに答えなきゃいけないなあ、と思いつつ、でもそれって…という疑いとの板挟み。