昨日行われた多賀先生・苫野先生のトークイベントに参加してきました!
今、最も注目されている教育哲学者、熊本大学の苫野一徳と教師教育や保護者教育などを掘り下げて実践している多賀一郎とで、これからの学校の在り方や教師がどのようにリフレクションして力量形成していくのかについて、とことん提言します。(中略)話していると相乗効果でどんどん発展してしまう二人なので、おそらく本を軽く超えていってしまうような対談になるでしょう。 3月10日 学校、教師のこれからの在り方を考えるIN東京(東京都)
抽象(哲学)と具体(教育現場)のコラボの面白さ!
『問い続ける教師』出版記念イベント、という位置付けだったのですが、
確かに、本に書いてあることは軽く超えていったというか、LIVE独特の相乗効果があった気がします。
「原理」にしか興味のない苫野先生の話の説得力に、現場で優れた実践を続けてこられた多賀先生も、納得いく原理が提示されると「そ、そやな笑」となるシーンもしばしば。
2人の世代やキャリアは全く違っても、「良い教育のあり方」「良い教員のあり方」は優れたプロとして同じものを見ているだな、と感じます。
具体と抽象が織りなして作られる景色はとても聞いていて楽しかったです。
そして!すでにロカルノさんがそのレビュー第1・2弾をあげてくださっています!早い!
イベントの内容はこんな感じでした。1・2が時間の大半を占めました。
- オープニングと教師の力量形成について 多賀先生
- 教育の哲学とこれからの学校教育 苫野先生
- 神戸と熊本で二人が語ったこと 多賀先生
- 学校と教師について語ろう 多賀先生×苫野先生+フロアー
第1部のイベント内容のすばらしい記録と考察は上のロカルノさんの記事をぜひご覧いただくとして(笑)、以下は私なりの感想、考察を書いておきます。
20代の力量形成
多賀先生のお話の中で、年代別の力量形成についてポイントがいくつか示されました。
- 根拠なき自信と不安に溢れている
- でも自負は必要でこれがないとやっていけない
- 腹立つことは全て将来の糧とせよ
- 素直が勝ち
偉そうにブログで色々と書いていても、私はまだ20代です。
おまけに転職組で素直に学校の論理を捉えられないことも多く、教員経験も浅いので、次の指摘は全部心からうなづいてしまいました。
ブログの存在がまさに「根拠なき自信と不安と自負の表れ」です(笑)
学校現場は、「経験」がモノを言う世界であることは間違い無いです。もちろん、優れた若手の先生はたくさんいます。
が、結局、給与体系を見れば、年功序列は一目瞭然でしょう。
だから、「20代でできるはずがないんですよ」とか言われると、
「多賀先生ならうなづけても、それが各学校のベテラン教員の中で不動の言説と化し、実習生とか若手教員にグサリとやってしまわないか…」とか、
「そういう言説が支配的だから、有能で尖っていて教育に興味のある人間がそれに嫌気を示して教員にならないのかなあ」とか思ったり思わなかったり。
もちろん、多賀先生はそんな浅い先生ではないのだけど、性別で決めつけることが差別とみなされることが多いのに、年齢で決めつけられることはすっと受け入れられる、と思うと、なんだかモヤモヤしてきました。
でも「深い学びに誘うアクティブラーニング」には必ずモヤモヤが必要、とおっしゃっていたので、これでよし?
本当に力強い考え方の問い方とは?
これは第2部の苫野先生のお話で出てきた言葉。
個人的には苫野先生の教育哲学と哲学者としてのあり方に“感染”しているので、一言足りとも言葉を聞き逃したくないと思って聞いていました。
字数がかさんできたので、この記事では1つだけまとめると、
本当に力強い考え方は〇〇しろ、と命令しない。
どういう条件が整えば私たちは〇〇できるんだろう?と問う。
という言葉。
先生の著作を読めば、こういう考え方がすっと入ってきます。
で、これをさっきの多賀先生の言葉と絡めて考えてみます。
どういう条件が整えれば、20代の教員は力量をつけていけるのだろう?
多賀先生はちゃーんと示している
この問いに多賀先生はすでに答えを示してくださっていました。
30代が一緒に「ぐちゃぐちゃとやる」(一緒に悩み考え、指導する)
40代が「クリスマスキャロルのスクルージ」になることなく、若手を生かす
特に実践力のある40代こそ、絶対そうなったらあかん!とおっしゃっていました。
50代が一度「リフレーミング」して自分の建ててきた家をぶち壊して建て直し示す
自分の建ててきたちっちゃな家を守り、ちっちゃく育てることに心を割いていたらあかん!壊してもなんでも立て直せるのが50代!確かにそんな姿勢の50代の先生が今の学校にもいて、尊敬しています。
こういう学校組織なら、それぞれの年代で力量をつけていくことができる、という答えになっていたんだと私は解釈しました。
もちろん、20代は20代で先に紹介されたマインドセットでいることです。
そして、各年代でこれを少し強めに意識していないと、「評価」が具体的に示され、継続的なフィードバックを得られる民間企業等の組織(全部ではもちろんないけれど)の方が魅力的に映る、ということを学校の人間として忘れてはいけないなと感じます。
若気の至りと生意気さをそうやって受け止めてくれる組織はいいなあと思うと同時に、自分がこれからキャリアを重ねていくときに、忘れないようにしよう、と思えるお話でした。
の前に、多賀先生が一番最初に示していた、
子どもの前に立ち、子どもの悩み・問題に正面から立ち向かう
これなくして「当たり前の」教員とは言えない。
そう考えると自分は本当にしょうもないなと思うことばかりです。
おわりに〜刺さった言葉・思ったこと〜
- 信頼する=覚悟、腹を決めるしかない
- 教員がとにかくお互いを知ることが「自由の相互承認」を育める学校の第一歩
- 自分の授業に感じる違和感を温めよう
- 皆で探究を評価し合う仕組みをどうつくるか?
この辺りの言葉をとっかかりに、続編記事をまた書きたいと思います!ただ、まとめられるかなあ…