前回の反省も踏まえて、2回目のスパイダー討論を行いました。
※スパイダー討論については、まずこちらの書評記事をどうぞ。1回目の実践報告と振り返りはこちらの記事をご覧ください。
なぜスパイダー討論か?
訳者の吉田先生が、 このようにおっしゃる理由は、実践してみると体感できると思います。間違いなく、今の日本の教育現場でのニーズは高い。
今回の本ほど、最初に読んでから、訳されて出版されるまでの時間が短かった本はありません。(そのように行動したのは、この本のニーズが極めて高いと思った表れです。)PLC便り: 2018
というのも、現場では多くの教員が「アクティブラーニング」や「主体的・対話的で深い学び」という言葉を聞いて、それっぽいことをしてみるけれど、本当に効果があるのか検証できていない、という課題を持っているから。
この課題に対して、スパイダー討論とその原理は1つの答えを持っています。
この授業で、教師の役割は主役から観察者/コーチに転換し、生徒たちは
・クリティカルに思考し、
・協働して事を運び、
・完全に参加し、
・理にかなった行動をし、
・高い思考レベルの問いかけをし、そして答え、
・自分の考えを、証拠をもって裏付けし、さらに、
・自分たちのしたことを評価して、していることを修正・改善し続けます
PLC便り: 2018
それが、学びのコントローラーを生徒に渡すこと。自立した学び手を育てること。
しかも、学力の3要素の全てに寄与する学びのデザインであるのは強みでしょう。
2回目の討論を実施した振り返り!
ここからは自分の振り返りをまとめておきたいと思います。話がやや具体的になりますが、実践される先生方と知見を共有するためにもお許しください!
※本でいうと、「第3章 スパイダー討論における最初の数週間」や「第4章 初期の段階でよく起こる問題」の章が参考になりました。吉田訳本は本当に汎用性が高い。
①「なぜ均等に発言することが重要なのか?」に答えを!
批判的な生徒は、教員の提示するルーブリックに対して、「そもそもなぜ均等に発言することが重要なのか?」という問いを持っています。(ただしそういう生徒に限って面と向かってそのことを指摘することは少ないのだが!)
これに対して、例えばp69やp106で紹介されている研究結果や、「社会的感受性」の概念、チームにおける「規範」の重要性を紹介することが有用でしょうか。
②「どのような問いが議論に値する問いか」の共通了解を!
これがないと、不毛な議論に時間を費やし、退屈に感じたりする生徒が出て来ます。ただスパイダー討論のスゴイところは、その他者の「退屈さ」を感じ取ったり、そのままでいけないということを行動に変えさせる仕組みがあること。
とは言っても、やはりあまり議論の甲斐がない問いに終始させてしまっていてはもったいないので、最初のうちに「より良い問い」に関して考える時間をとってもいいと思いました。(p146あたりにも関連項目あり)
その意味で!苫野先生の「問い方のマジック」はいい教材になります!!
③「グループでの評価」≧「個人のコード」!
討論が終わった後の生徒を観ていると、グループで記録を取ることに特化したメンバー(スペシャリスト)からのフィードバックを食い入るように聴き、質問しているシーンが見られます。
一方で、自分自身につけられたコードの内容に夢中になり、そこで盛り上がってグループとしての評価を出す時間が十分に取れないことがありました。
ただ、これに関しては、自然な反応だと思うし、グループの評価の方が優先順位は高いという感覚をリマインドしていくことで解消するかなと楽観視してしまっています。
あとは、その時間をたっぷり取ること。
重要視していることを示すために、教員はすぐ喋りたがりますが、時間をとることの方が有益ですね(笑)
④「スパイダー線」が多い≠良い議論!
発言の移り変わりについて記録を取るがゆえに、線の数が多い方がいい、と思いがち。
しかし決してそうではない、という認識はやはり年度の序盤に討論を繰り返すことで生徒に養われる感覚知の1つなのかもしれません。
⑤50分で行う最適の時間配分は…?
討論35分、振り返り15分が暫定的にはベストでしょうか。
高校生の場合、本当は討論だけで40分以上とった方がいい、というのが本にも書いてあるのですが、 年度のはじめの慣れていない状態、まだまだ人間関係がほぐれていない状態では振り返りの時間も重要です。
そうなると実際の討論時間は30分が限界かもしれません。慣れてこれば討論40分、振り返り10分で行けるかもしれませんが…
【追記 2020.02.13】
最高の記事が出ていました!あ〜学びが深まる!
おわりに〜お知らせ!〜
ということで実践記録としてまとめておきました。他にもまたまとめてUPしたいと思います。汎用性が高いからこそ、同じような問題に直面した先生方にとって1つでも参考になれば、と思います。
そして、今更ながらFacebookページを作ってみました。
「facebookで毎回更新お知らせ来たらいいのに〜」と言ってくれた友人にようやく応えました…
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