夏の終わりに校内で進路研究会でした。
まずこの研究会は自主的に開催しているものです。企画してくださる先輩方に本当に感謝。恵まれている環境です。
そういう研究会をやろう!と思えるのも、
部活動での出勤が比較的強制されない学校文化があるから。「+」を生み出すには余暇が必要です。
学校(school)の語源は「暇(scholē)」です。暇があるから思考が可能になります。ありがとう、夏休み。
進路研究会でしていること
- 昨年度3年担任をした教員の進路指導の経験をざっくり教わる
- 昨年度の生徒の進路状況が掲載されたデータを見ながら質疑応答
学校ごとに進路結果の特徴があります。
外部の進路研究会に出ると、AO/推薦入試を受ける生徒や、国公立大を目指す生徒の割合、文理の比率や受験人数の多い大学など、学校によって状況が異なることは分かっていつつも、皆の所属が異なるのでどうしてもふわっとした話・マスのデータ分析になってしまいます。それはそれで必要なのだけど。
校内の場合は、自校の傾向を踏まえた上で、顔と名前のわかる生徒を思い浮かべながら行うので実感が伴います。
校内で進路情報はデータ化されている?
どの学校も進路部の教員が最終的にデータを集約することになるのだろうけど(担任がやってる…っていう学校もありますかね?)、そもそもそのデータ化がどこまでできているんだろうか?
この発想は、 溝上先生の「トランジション」に通ずると思っています。 現場の学校の教員の「怠慢」を糾弾されています。
溝上先生は、現場の経験則だけで生徒の成長を語ることに大変手厳しい。
「結局のところ、移行先の大学や仕事・社会で求められる資質・能力を真正面から見ていない。 卒業生のアセスメントをしないから、自分たちが育てた生徒がどの程度、大学や仕事・社会に移行できているかを知らないのである。知っているのは大学受験の合格実績だけである。見ているものが違うから、いつまでたっても溝が埋まらない。」
【書評】溝上先生の『高大接続の本質』を読んで新年度の仕事に取り掛かろう! -
高大接続の本質―「学校と社会をつなぐ調査」から見えてきた課題 (どんな高校生が大学、社会で成長するのか2)
- 作者: 溝上慎一,京都大学高等教育研究開発推進センター,河合塾
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2018/02/21
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個人的なビジネス感覚でいうと、「卒業生のアセスメントしてデータ分析して「教育力」を打ち出せる学校になればいいじゃん!」と思うんだけど、学校の意思決定というのは(以下略)
進路指導に必要な情報とは?
誰が、どこを受けて、結果はどうだったか、だけではない。
年度ごとの教科の成績、習熟度別クラスの推移など、基本的な成績データと連動させてこそ、引き継ぐに意義のあるデータになるはずです。
更に言えば、ここに、
のような非認知能力を数値化する外部アセスメントを組み込んで、進路指導をするのが最も合理的のように感じています。
もちろん、外部アセスを入れなくたってできることがあればいいのだけど、今の学校の労務状況と人的資源では間違いなく外部アセスに頼った方がいい。
必要なのは投資です。
こういう教材を「教育業界は〜〜〜」と言って毛嫌いする教員は本当に「投資」の感覚を分かっていない(言い過ぎ)。もちろん受講料は家庭にお願いすることになるのだけど、お願いするに足る調査だと思っています。
カリキュラムを見直す
新学習指導要領でどの学校もカリキュラム再編をされていると思います。
今日もこうした進路指導の議論をしていく中で、カリキュラムそのものに話が行き着くこともありました。
「生徒の選択する科目の可能性(=進路に直結する)を考えると、今のカリキュラムでよいのか?」
学校として、どういう生徒を育てたいのか?は具体的にカリキュラムに現れてきます。
これは感覚値ですが、保護者の見る目も肥えているので、見る保護者は必ずカリキュラムを見るし、逆にいうと他校を見るときもカリキュラムを比較するだけでかなり面白い。
※カリキュラム表はだいたいどの学校もHPに掲載されています。
話がそれたけど、「どういう生徒を育てたいのか?」 というメッセージをカリキュラムに込めないで、教科間で単位の奪い合いになるような状況だけは避けたい。
プチ専門家教員の多い高校だからこそ、カリキュラムに関する議論はとても難しい。でも、ここに向き合わずして学校改革も「主体的で対話的で深い学び」も、なにもないでしょう。
個々の教員だけで教育はできるわけではないからこそ、まず教員集団が「主体的」かつ「対話的」な仕事ができているか、自問自答したいところです。
おわりに
AO入試に一本化して受験する生徒も増えてきそうですし、夏の間にAO指導塾の言いなりになってしまう生徒が出ないか、若干ヒヤヒヤしています。塾にせよ学校にせよ、自分の人生。よく悩んで、進路を考えて欲しいと願わずにはいられない。
www.yacchaesensei.com
長期休暇になると体調を崩すのは教員の性なんでしょうかね…皆さんもご自愛ください。