やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

【リレー記事】ALPを使ったブログでの授業振り返り①!〜続いてくれる先生を募集します!〜

www.s-locarno.com

ロカルノさんが提案してくださった「ALPを使った授業振り返り@ブログ」をやって見たいと思います!半年前に話していたことを始めてみます。でもその前に確認を。

ALPって、なに?

パターンランゲージを専門とする慶應の井庭先生とベネッセがコラボして教員向けに全国に無料で配布している教材の1つです。

一言でいうと、「いい授業のコツ」をリスト化したものです。(太字は筆者)

先生同士で知見を高め合う「対話のワークショップ」で活用します。専門教科が異なる先生同士では、互いの授業についてはコメントしにくいものです。しかし、ALPは全ての教科に通じる“コツ”のリストです。ALPカードが媒体となり、先生同士で「対話」を行うことで、ALの姿を具体的にイメージすることができます。先生方が「もやもや」と感じていることも、カード上に言語化されているため、特別なファシリテーションがなくても対話が進みます。

学校での主体的・対話的な学びをサポート「アクティブ・ラーニング・パターン《教師編》」を共同開発!|株式会社ベネッセホールディングスのプレスリリース

カードを使うことで、直接集まって対話していなくても、そのカードをみて何を思うか、各教員が各々の立場から語ることで、思わぬ発見や学びがもたらされるはず。

問い合わせれば無料でもらえる、のも普及を目的に作られているからです。ということで使ってみないと意味がない。※一般販売はされていないそうです!

ブログでの振り返り方

ロカルノさんが提案してくださったこの形で行きたいと思います。

ALPのA1~A15の内容について(以下の画像参照……一応、これはネットに出回っているので転載しても大丈夫…か?)、このブログを読んで気になった方に「経験したパターン」と「これから取り入れたいパターン」を選んでもらい、それぞれについて思うことを書いてもらう……ということでどうでしょう?もしくは、「これから取り入れたいパターン」については、誰か書いてほしい人を指名してレスが来るのを待つ…とかどうでしょう?(笑)。
ALP(アクティブ・ラーニング・パターン)で研修しよう! - ならずものになろう

私は手元にカードがあるのでそれを見ながら進めます。カード自体はこういう感じ。

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 A1~A3、で振り返ります

15項目それぞれについて、「経験したパターン」と「これから取り入れたいパターン」を分けて思うことを語るとなると、1記事では長くなりそうなので、今日の記事では

①カードを添えて、3つ抜粋 

②自分の授業を振り返って自己評価

③思うこと を書きます。

これでうまくいきそうなら、カード数を増やしてやってみます。では1つ目。

A1:学びの主人公

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自己評価:意識はしているものの、意外とできていない。

実際、自分の授業でアンケートを取っても、「レクチャー」そのものへの満足度は高い。でも、一歩立ち止まって考える必要もあると思います。

つまり、わかりやすいから、とか面白いから、という言葉の裏に、「自分には負荷がなくて(=聞いて、たまに"参加"するだけでよくて)」という真意があると思うからです。

個人的に力を入れたいのは、生徒それぞれが自分で「気づき」というところ。

これをいかに実現できるか、だと最近は思っています。気づきさえすれば、自分の中できになる問題に出会いさえすれば勝手に考えるのが人間、と以前から(楽観的に)思っていたところ、例えば今日読んでいたこちらの本では、まあバッサリ斬ってくれている。

脳活動自体が一人ひとり異なる遺伝的スタイルに従って自ら考えていますので、いまさらいっせいに「自ら考える能力」を教えられると考えることなどナンセンスだと思います。

なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える (講談社現代新書)

なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える (講談社現代新書)

 

なので、「気づき」を誘発する授業デザイン、となると、やっぱり主役となる「問い」の作り手を教員ではなく生徒が担う質問づくり(QFT)の威力は大きい。

www.yacchaesensei.com

でも、このQFTの手順を最近守れていないのです。時間数を言い訳にしているところもあるのだけれど、ただのアイディア出しに成り下がりつつある。質問づくりのあとの学習の進め方(例えば私なら探究学習)がしっかりしていないから、QFTを活かしきれていないのが導入3年目に入った課題です。

※質問づくりそのものをより効果的にする、という点では、今年はPadletを使おうと思っています。また使ってみて振り返りを記事にします。

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1枚のカードであれやこれや振り返りたいこと、他の先生の話を聞きたい!という気持ちが高まりますね…では2つ目へ。

A2:同じ側に立つ

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自己評価:生徒の反応を積極的に授業に還元しようとしてはいるし、その反応から学べることは多い。が、向き合う関係を抜け出ていない。

これは悩ましいカードですね…頭ではわかっているし、こういうカードを見て変に「だから一斉授業はダメなんだ!」みたいな極論が繰り出されないか、ということの方が心配になってしまう。(杞憂)

さて、同じ側に立つ、というのは本当に悩ましい。

一緒に答えに向かって模索していく気持ちで授業を行う」とカードにはある。

唯一無二の答えのない社会科・公民科でこれを実現しようとするなら、「あらゆる思想・制度を相対化して、何がベスト(ベター)か探ろうとする」という態度になるのだろうか。 

私の授業でいうと、この題材なんかは特にそうかな、とは思うけれど…

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ただ、怖いのは相対主義にすべてが帰着してしまうこと。担当している授業では、この相対主義のもつ問題点を強調しているけれど、紙一重だといつも思う。

綺麗事ばかり言っても、生徒の脳内では相対化で終わっており、でも教員にそのことを吐露するとよく思われないからそれっぽいことを書く

こういうことが起こっていないか不安になる。

A2は意外と答えるのが難しいカードでした。では今日最後のA3へ。

A3:未来への広がり

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自己評価:溝上先生のおかげで、だいぶやるようになった。

これは今日の3枚の中では一番意識してやっていることかなと思います。

教員側の働きかけ」だけが対象になっているので、教員である自分が「やっている!」と言いやすいカードです。笑

ただ、後々に生きてくる重要な力の見定めについては、当然自分だけでは難しい。そこで大変示唆に富む研究をなさっているのが溝上先生です。

このあたりの過去記事をご覧いただくとわかりやすいと思います。

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私の場合は、授業で意識して生徒にも伝え、評価にも織り込んでいます。

今年は特に、「なぜこの活動を授業で行うのか」という活動の目的は必ず伝えています。生徒が自分の活動の意味を理解して学ぶことが、学習後のメタ認知を高めます。

保護者会では、保護者にも溝上研究のデータを見せながら、何が求められているのか?を解説しています。例えば、

高校2年生の半数は、さほど資質・能力を変化させることなく大学生になる。

高校2年時の家庭学習や対人関係・コミュニケーション、キャリア意識が、大学1年時の資質・能力を含め、さまざまな側面における学習に影響を及ぼす。

特に今年は高2の担任でもあるので、よりその意識は強いです。

また、勤務校の風土としても、「受験のために」という意識が比較的弱く、進学実績にとらわれないことも、後押ししてくれています。

もちろん、高3の授業を持つと、生徒たちは受験に意識が向いているのですが、「学校が生徒のお尻を叩いて偏差値の高い大学を目指させる」ということはない(と思っています)です。

これはたまたま私の勤務校がそうであるだけなので、そうだからできること、裏を返せば、ゴリゴリ受験勉強させる学校ならできなかったこと、を私も必死に取り組もうと日々思っています。どっちがいい!とかじゃなくてね。

おわりに

ということで長くなってしまいましたが、まず3枚やってみました。今思うのは、

これ、意外と楽しいです(笑)

自分のクセや弱いところ、意識していないと忘れがちな項目が必ずある。そして他の先生が同じALPのカードを使ってどんな振り返りをされるのか、非常に興味が湧きます!

ぜひ続いてくださる方(1枚だけでも、どんな形でも)がいると嬉しいです!当ブログでも紹介させていただきたいです。