やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

「新聞の読者投稿を書く」社会科版の授業実践を振り返る①

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新聞の読者投稿を書く授業を、あすこまさんのブログを先行実践として参考にさせていただき、行なってきました。

askoma.info

気づいたこと、思ったこと、反省点をまとめてみたいと思います。

授業の流れ

まず、あすこまさんの授業の流れはこちらです。

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https://askoma.info/2017/12/25/5871

私もこのようにできればよかったのですが、中学生の国語ではなく高校生の政治経済2単位と異なるので、結果的にかなり端折りました。

  1. ミニレッスンとして新聞各社の政治報道傾向を確認する。同じ日の同じニュースに対する分析記事を比較して理解する。
  2. (実際の新聞投稿のイメージがわかない人は、実際の新聞や先輩の投稿を読む)
  3. 配布された課題の案内を読み、教員の説明を受ける
  4. (授業数が多いクラスは、図書館で中間ピアレビューを行う)
  5. 各自課題としてGoogle classroomに提出し、任意で実際に新聞社に投稿する

というものです。

10代の投稿だけを選ぶ?

僕は10代の投稿をあらかじめ選んで抜粋してしまったのだけど、これは失敗だったと思った。むしろ、他の年代の投稿と一緒に読んで比較することで、「10代の投稿にはどんな役割が期待されているのか」が見えてくる可能性がある。

とあすこまさんは振り返っているので、私は10代の投稿だけをピックアップすることはしませんでした。 というかその準備時間がなかった…

コンテンツ教科としての社会科

社会科の特性上、授業内で文章を校正する時間は取れませんでした。

が、「書く」ことで思考を校外にもアウトプットする機会を取りたかったのでこの課題を行なっています。

実際、書いて練り直して、というピアレビューを昨年度は行えたのですが、今年度は10連休もあり授業日数の都合上割愛せざるを得ませんでした。

ピアレビューの意味!

このピアレビューを信頼関係のある生徒同士で行うのか、クラス全体でランダムで行うのは考えもの。

前者ではグダグダになる可能性があるし、後者だと「レビューの意味」を指導しないと、「説得力があっていいと思う」とか「こんな内容じゃ読んでいる人に刺さらない」みたいな極端なレビューが並ぶことになってしまう。

要は、人によってそのレビューの1時間がよかったかどうか変わってきてしまう、状況を放任することになるので、難しいなと感じます。

図書館で行う意味

ピアレビューを行うときは図書館で行うのが良い、という手応えがあります。

開かれた書く場所、としての図書館。

「本が多い自習に使える場所」ではなく「協同的な学びを機能させる民主的な場所」としての図書館を感じて欲しいからです。

そしてそれは実際に生徒も感じてくれている、という実感もあります。

※実際、教室だと狭くて移動したり自由にしゃべったりするには雑然としすぎていて、生徒の様子を見に行くのも一苦労です。笑

また密かな工夫として、図書館に生徒に来てもらい、円卓に自由に着席させています。

自ずと「信頼関係のある友人どうし」でテーブルに座るからです。

友人同士ではなく普段話さないような人に見て欲しい人がいるか?についても確認し、その生徒たちの文章は集めてランダムで配布し直したりしています。

これは、「選ぶ」学びをなるべく一斉授業で実現するための方策です。

書く内容・テーマの指定

授業時間をあすこまさんのように数時間使えない分?、書く内容・テーマについても私はかなり指定をしました。

具体的には、政治経済の単元である「憲法」「平和主義」「日本の防衛政策」「18歳選挙権」と絡めたもの、という設定です。

かなり広い設定といえばそうなのですが、テーマをある程度しぼってそこから「選ぶ」ということを意識しました。

「選ぶ」ことで学びにオーナーシップが生まれ、その質も向上するということについてはこちらの本をぜひご覧ください。

教育のプロがすすめる選択する学び: 教師の指導も、生徒の意欲も向上

教育のプロがすすめる選択する学び: 教師の指導も、生徒の意欲も向上

 

納得感のある課題

実際にこの課題をやって見て思うのは、

生徒が「お、なんかただの課題ではないぞ」「なんか自分で結構選べるし新しいかも」というように思ってくれていることを感じます。

ただめんどくさい、というよりは、「課題に対するワクワク感」を生徒が感じてくれているのは本当に大きいし、普段いかに生徒の中にある「表現したい」という欲求を見ていないか思い知らされました

  • 授業で学んだコンテンツを活かせる
  • 課題にある程度自由度がある
  • そこまで字数が多いわけではなく苦にならない
  • 実際に載ったら家族にも自慢できる+図書カードもらえる場合もある笑

そんなインセンティブもうまく働いて、アンケートを分析して見ても、教員が手取り足取りせずとも生徒が学びを得られた課題だったのではないかと思います。

【追記】評価・生徒の感想を含めた続編記事を書きました!

www.yacchaesensei.com

おわりに 

何よりもあすこまさんの記事を熟読することをオススメします!

アトウェルの『イン・ザ・ミドル』のエッセンスを日本の「書く」教育に落とし込んでいらっしゃる先行実践から学べることは非常に多いです!ありがとうございます!

www.yacchaesensei.com