やっちゃえ先生探究記

よりよい教育のために。民間企業→私立中高一貫校→私立高校。社会科・地歴公民科。

あいちトリエンナーレに行ってきた話。ー現代アートの魅力と「作られた生命」ー

「表現の自由」で何かと話題の、あいちトリエンナーレ2019に行って来ました。

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あの展示を見ていない

はじめに断っておきますが、私が行ったのは例の展示が中止になった後なので、その展示等を見ておらず、その話には立ちいりません。愛知県が検証委員会を設置し、11月をめどに経緯等をまとめるそうなので、注目しています。

・愛知県が検証委員会設置 「表現の不自由展・その後」中止で - 産経ニュース

また、次の記事は筆者のスタンスはさておき、ステークホルダーと起きた事項を図式化し、問題の所在を示そうとしている点で参考になりました。

blogos.com

2拠点を訪れました 

トリエンナーレは名古屋市内の3拠点と、豊田市の1拠点の全4拠点で行われていますが、私が今回訪れたのは名古屋市内の2拠点です。

全体的な感想

先に全体的な感想を。

現代アート作品が多く、やはり解説がないと「理解した」とか「なるほど」とは言い切れません。

しかし、その作品の解釈や意味を観覧者に委ねる点に大きな特徴があり、そこに魅力を感じている方も多いと思います。

※倫理の授業だと、この流れでバルトの「作者の死」に言及したくなるけど、割愛!
・作者の死|ART WIKI | 美術手帖

日本人だけでなく世界のアーティストも出展しており、彼らがどのように世界を切り取っているのか、という世界像が入り乱れていたのも、いわゆる「〇〇展」とは少し違った魅力なのかもしれません。 

で、実際に行った1つ目の拠点がこちら。

①愛知芸術文化センター

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こちらが最も作品数の多いメインホール、かもしれません。

愛知県の地理に詳しい方は「オアシス21の隣」と言った方が早いです。笑

作品・展示も撮影OKで、そのあたりも普通の美術館・展示とは違うかもしれませんね。

Twitterなんかには色々作品の素晴らしい写真や解釈も載っていて、見終わった後に色々つながっていきました。

インスタ映え

たぶん一番「インスタ映え」していた空間。
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現代アートは参加して楽しめる、という意味で直島と近い感覚を覚えました。

ダンボール祭り?

整理券がないと中で遊べないんです←

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小学校とコラボした空間でした。これ運営に関わる小学校の先生も大変だったろうなあ〜と同業者目線が働いてしまいました。

が、「思いっきりつくる」という欲求を誘発された子供達は一心不乱に遊んでいたり、つくっていたりして、その姿に見入ってしまいました。

高校でもHigh Tech Highとは言わないけれど、生徒の学びのアウトプットをこう行った形でも認めるような環境・リソースがあったらなあ、とは思う。

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なんと芸術文化センターで自分のフォルダに入っていたのがこれだけで逆に驚いてしまいました…記憶は色々あるのですが、映像・展示、技法も様々で、心に残るものはきっとあると思います(投げやり)

②名古屋市美術館

2拠点目。あのプラネタリウムが有名な科学館のお隣に佇む市美術館。こっちは展示が少なかったけれど、心に残る作品に出会えました。

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入ってすぐにはこんな空間も。理科の先生はシャーレの製造者名メーカー見ちゃうんじゃないかな。笑
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もはや私の備忘録ですが、このすぐ後に出てくる、台湾統治時代の映像を現代にリメイクした作品は、淡々と、というか言葉で訴えているのに、言葉以上のものを感じるという不思議な感覚になりました。なぜか結構立ち止まってしまった。

青木美紅さんのゾートロープ

画質が粗くてこの画像でご覧いただけるかわかりませんが、とても印象に残った作品でした。
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自分の言葉で恐縮ですが、

幻想的だけど現実的、ファンシーだけどシリアス。

考えさせられました。というのは、

青木さんの生い立ち

があるから。展示解説で語られていたのは、

ご自身が人工授精で生まれた子であり、それをきっかけに「人の手が加えられた生命」について調べるようになり、あの「ドリー」に会いに行き、旧優生保護法下で強制不妊手術の一歩手前までいった小山内さんにも会いに行った…という話。

こちらが作品に添えられていた全文。

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こういう経緯で、こういう経験をしてつくった作品、というストーリーがあったので、非常に見やすくて思考を促してもらえました。

というか、生命倫理のPBLをやっている生徒に見せたい、と心から思いました。「人の手でつくられた生命」に向き合っている当事者がいらっしゃるのですから。

しかも青木さんは現役大学生

生徒の学びの状況によっては、インタビューの依頼をさせていただきたい方でした。←こういう視点で考えてしまうところがもう職業を離れた「自分」だけ、でモノを観られなくなっている切なさも同居している…

おわりに

「抑圧」をわかりやすく作品に表しているものもあれば、そうでないものもありますが、どこか「見えていない他者の声」を聞かせる、そういう作品が多かったと思います。

そして、その見えていない他者が自分であり、今抑圧されている他者が自分だった可能性は常にある、そんな想像力を呼び起こしてくれる場でした。

コンセプトにこめられた思いを掲載しておきます。読まずに行ったので芸術に疎い私は「情の時代」って何?と思い、これを読んでおけばよかったと思いました。

9月まで行われているので、8月の国内旅行の候補としてもよかったら足を運んで見てください。

私は全て見られませんでしたが、自分の目で見ることのできる夏休みの尊さを噛みしめました。

その場では「?」の作品(小声)も、Twitterで人の解釈や思いと照らし合わせるのが楽しかったです!