やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

【続編】森友学園の何が問題か? 〜神道は「宗教ではない」のか。その考察!〜

 

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前回の記事が大変なアクセス数を頂戴しています。

特にメディア媒体に掲載されたわけではないようですが、検索流入でここまで増えたのは初めてだったので驚きました。(「森友学園 教育勅語」でGoogle検索すると上の方に表示されているようです)

yacchaesensei.hatenablog.com

 

森友学園の3つの問題点の確認

①学校法人森友学園(幼稚園)の教育内容(「安倍首相万歳!」等の園児の選手宣誓など)が、教育基本法第14条で規定される「教育の中立性」を脅かすものであること。

 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

 

②安倍首相夫人が「公人」として、①のような学校法人の運営に(結果的にであれ)協力していること。(様々な疑惑、口利き問題も連日指摘されていますが…)

「名誉校長 安倍昭恵先生」「安倍晋三 内閣総理大臣夫人」として顔写真とともに紹介していた。ところが23日午後、昭恵氏の写真と挨拶文が削除されていた。

森友学園、安倍昭恵氏の挨拶文を公式サイトから削除 何が書かれていたのか?

 

そして私が、同じ私立学校の教職員として最も問題視しているのが、

③「普遍的な」宗教を、森友学園が自ら「一時代の」政治的主張と同じレベルに格下げしたこと

です。

これは、結果的に、自分たちが信じる宗教の価値を下げ、「宗教教育」そのものの価値を貶めることにつながります。

自ら、宗教の価値である「普遍性」を手放したからです。

 

ここまで整理した段階で森友学園のHPを見てみると、このようなことが書いてあります。

神道は宗教ではない?

という前提で学校の紹介がされているのです。 瑞穂の國記念小學院

日本で初めてで唯一の神道の小学校です。キリスト教仏教の学校は日本には沢山ありますが、神道の小学校はありません。

というPRです。

この時点で、キリスト教仏教を持ち出して比較するということは、森友学園が拠って立つ神道も、これらと同じ「宗教」として考えているんだろうな」と感じました。

 

しかし、この次に来る紹介文は、このような文章なのです。(太字は筆者強調)

神道は宗教ではありません

神の道とは、日本民族祖先以来の生活原理であります。日本人の伝統的信念ならびに情操を一般的に神道と呼称している。
神社信仰は神代も現代もへだてなく日本国民(民族)全体の信仰であり、日本人個人の宗教を超越した共通の信仰理念であり、日本文化の底流にあるものとして、日本人の考え方、日本人の神観念を窺うことができる。

 私は驚きました。同じ宗教として比較したのかと思いきや、

神道は宗教ではなく、

「日本人個人の宗教を超越した共通の信仰理念」

と定義しているのです。ここで出てきたのが、

 

◯「神道は宗教ではないのか?」という問い

でした。そこで調べてこんなページを見つけました。神道の教えに基づく、出雲大社教?ということだそうです。

 神道は宗教なのか、というのは議論があるところですが、結論から言うと「宗教」という言葉の定義が各人でバラバラなため、人によって言うことが違う、というのが現状です。

神道は宗教なのか?

 

なるほど(笑)だから、森友学園は「神道は宗教ではない」と言う訳です。

でも、「だから、神道日本人個人の宗教を超越した共通の信仰理念」とは言えないと考えています。

 

◯個人の宗教を超越するもの、はあるのか?

そもそも、宗教を超越した「信仰」というのが成り立つのか私には証明できません信仰ある所に宗教あり、というのが素朴な感覚です。

神道は宗教ではない、と主張するのであれば、「信仰」という言葉を使わずに語(ってみ)る必要があると思います。それが真摯な態度でしょう。

というか宗教でないなら、ことさらに「宗教」と比較してその必要性を主張する必要がないと思いました。ことばあそびみたいになってきちゃいましたね。

 

ここからは思考実験的になってしまいますが、森友学園の主張にのっかった上で、その主張に対案を出してみるならば、

個人の宗教を超越できるのは、「人権」

ではないでしょうか。

(個人の)信教の自由は、憲法20条にも規定されています。人権です。

第20条

1  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

個々の信ずる宗教を超越できるものがあるとすれば、

特定の誰かが賛成/反対する「一義的な何か」ではありません。

 

そうであるならば、「特定の誰か」にくくられない概念。

それを探すとすれば、「人権」ではないでしょうか。

なのでまとめると、森友学園の主張する

「日本人個人の宗教を超越した共通の信仰理念」

があるとすれば、それは神道ではなく「人権」になるだろう、と私は考えます。

 

 

◯おわりに

神道は宗教なのか、そうではないのか、よくわかりません。

でも、ホンモノの「宗教」は、時代を超え、場所を超え、広まるものだと思います。

森友学園神道は宗教ではない」と主張するなら、それはそれでよいのかもしれません。

森友学園の何が問題か? 〜教育勅語の素読は問題ではない!宗教教育とは?〜

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連日報道が続く森友学園の問題。

国有地払い下げ?→ごみ埋め戻し?→教育基本法違反?

と色々と論点が次々と出てきており、何が問題なのか、ということが日に日にぼやけていっている印象です。

個人的見解ですが、教育と宗教の観点から、論点を再整理し、

何が問題かを明らかにしてみたいと思います。 (①〜④までありますが、一番言いたいのは④です。)

 

①学校自体の存在は問題ではない。

と私は考えます。その理由は、私立学校は建学の精神に基づき、自由と多様性を担保する存在として必要だからです。教育基本法に拠れば、

第八条

私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

とあります。森友学園が拠って立つ、「神道」は日本古来の宗教ですが、私立学校である以上、この宗教教育を否定することは出来ません。 

教育法学の言葉で言えば、「自由と多様性」の原則に基づくのが私立学校です。

建学の理念に基づき、自由と多様性を担保する存在です。だから、それ自体は問題ではありません。

日本にもキリスト教に基づく学校、仏教に基づく学校が多くあります。

それと同様に、「神道」に拠って立つこと自体を否定することは出来ません

そういう意味では、「教育勅語」の音読も、キリスト教学校で聖書を読み、仏教学校で各宗派の教典を読むことと大差ないと感じています。

 

国有地払い下げ問題は問題かもしれないが、すぐに決着がつかない。

というのが私の認識です。築地市場の豊洲移転問題を思い返して下さい。

結局、小池都知事がこれだけ動いていても、まだ全貌は掴めません。

間違いなく、時間がかかる問題です。

コンサルの基本の「き」ですが、物事を考える時は、

短期・中期・長期と3つのレベルでまず仕分けをします。

したがって、この問題は追求すべきですが、中長期で取り組む課題にあたると考えます。ついては現在会計検査院の調査中ですし、今ここで取り上げても、さして効果はあがらないでしょう。

www.news24.jp

 

③安倍昭恵首相夫人が、(結果的に)政治と教育の中立性を脅かしていることは倫理的問題!

というのが私の認識です。安倍首相ではありません。

言い方が悪いかもしれませんが、野党が、昭恵夫人を「公人」として糾弾できるか(証人喚問等の措置を講じられるか)がカギを握ると思います。

 

報道のように、安倍昭恵総理夫人は名誉校長に就任していました。

総理夫人は、「公人」です。”ファースト・レディ”です。

当然、「公人」としての言動・行動が求められます。倫理的問題です。

公人として、危機管理不足だったと言われても、仕方ないと思います。

もし(これは仮定の話ですが)トランプ大統領夫人のメラニアさんが、「トランプ」関連企業への利益誘導的な発言をすれば、これは叩かれるでしょう。「ファーストレディとしてあるまじき振る舞いだ」として糾弾されることは目に見えています。日本に住んでいても、「うん、まあおかしいよね」位の感覚に私はなります。トランプ大統領自身が、自分の関連企業を優遇するような法制度を整えることが、「利益誘導」と叩かれるのと同じです。

 

とにもかくにも、「公人」としての意識の欠如が、名誉校長就任になり、あるいはこういった疑惑を生んでいることは否定できません。

 

 

そして、私が言いたいことを最後にまとめます。

ここが本質的な問題だと思います。割と力をいれて書きました(笑)

④宗教は、政治的主張を超えるから宗教であり、価値があるのに、その「普遍性」を手放した森友学園(幼稚園)!

www.huffingtonpost.jp

こちらの記事に掲載されているように、特定の政党が行った政策の礼賛とも言えることを園児にさせていたことは、教育基本法第十四条に照らして,問題でしょう。

 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

とあります。

しかも、分別のつかない幼稚園児に、その発言をさせていることは、言い逃れできない問題だと思います。これは、倫理的というより法律違反です。

繰り返しますが、神道によって立つことは問題ありません。

しかし、「神道によって評価された政治活動」を「分別のついていない」児童に教え込むことは、許されません

※社会科教員として、主権者教育の実践にあたり、どれだけ現場で「政治的中立」に配慮して授業展開しているのか!という思いがあるので文字が勝手に大きくなりました。

 

そして私の言いたいことです。宗教についてはそれなりに考えて生きてきました。 

現代まで受け継がれている(古典)宗教は、幾千もの政治的主張を超えてきた(包括してきた)から現代にまで受け継がれる「宗教」なのです。

だからこそ宗教には価値があります。

なのに、

その「普遍的な」宗教を、「一時代の」政治的主張と同じレベルに格下げしたことは、結果的に、自分たちが信じる宗教の価値を下げることになります。

自ら、宗教の価値である「普遍性」を手放したからです。

 

 

◯おまけ

この森友学園の設置許認可を行うのは、国ではなく大阪府です。

松井一郎知事は、中長期目線で、(自身と自身の所属する政党の利益も考えながら)どう振る舞うべきか、考えていらっしゃることは想像に難くないでしょう・・・

カギを握る1人だと思います。注目です。

続編記事はこちら。

yacchaesensei.hatenablog.com

 

 

山田哲人の11種のティーバッティングがすごい!〜私のオススメも1つだけ紹介!〜

Little League

帰宅して観たTV番組で、2年連続トリプルスリー(打率3割、HR30本、30盗塁)を達成したヤクルト山田哲人選手の特集が放映されていました。もちろん、WBC日本代表にも選ばれていますね。

個人成績等はこちらでご覧頂けます。まだ25歳というのが恐ろしい…

プロ野球 - 東京ヤクルトスワローズ - 山田 哲人 - スポーツナビ

身体がそこまで大きくない中で、ここまでの成績を残せるのは本人の努力の成果なのだと思いますが、その練習法がこれまた参考になるものだったので、是非紹介したいと思いました!

 

◯11種のティーバッティング

野球経験があれば、必ずやったことがあるであろう練習です。

山田哲人選手はこの「ティーバッティング」に様々なバリエーションを取り入れて,必ず試合前に実践しているとのこと。「ティーをしないと試合に挑めない」とまで発言しています。

 

こちらのサイトがTVの映像をコマ送りにしていて画像数が多く、分かりやすいので掲載します。ただし、11種類のティー全てを載せている訳ではありません。

カープ民放速報 : 前田智徳も驚く山田哲人覚醒の秘密・ティーバッティング【Get Sports 山田哲人×前田智徳】

 

また、こちらのサイトは11種類の説明が掲載されていますが、画像・映像が前者に比べて少ないので、両者を合わせてご覧頂くことをお勧めします。

山田哲人のバッティングフォームを分析!連続写真でポイント解説! | バッティング向上〜ワンランク上の打撃を目指す〜

 

せっかくなので、この記事でも11種を箇条書きにしておきたいと思います。

※順番は上記2サイトと異なるかもしれません。

 

1.左右に振り下ろしてからティー

身体の前で8の字にバットをブンブン振ってからティー打撃をする。

強い打球を打つために体の中心で打つ練習。

 

2.真横からの早いティー

通常斜めからのトスを真横から、しかもちょっと速い球

これによって予期せぬインコースの球を打てるようになる。

特に追い込まれてる時はバッターは外を意識するが、そこで内側に速い球が来た時にすっとバットが出るようになったそうです。

 

3.バランスボールに座りながらティー

下半身を固定して腕の使い方を覚える練習です。

バランスを崩されてもボールを腕で拾えるようになるそうです。

 

4.歩きながらのティー

体重移動を確認できる練習です。

1球1球、3歩あるいて打つ、3歩あるいて打つ、の繰り返しでした。

 

 

5.歩きながらの連続ティー

4と似ていますが、1球1球ではなく、歩いては打ち、歩いては打ち、5球連続で打っています。間の取り方と体重移動の確認です。

 

6.ワンバウンドボールのティー

変化球への対応と、細かいバットコントロールの練習です。

遅い球を遠くへ飛ばすことほど難しいことはないので、いい練習ですよね。

 

7.大股スクワットティー

大股でスクワットしてしゃがんでいるような体勢での練習です。

下半身の重要性を確認しながら低めの対応力をUPさせます。

 

8.外角流し打ちティー

アウトコースに投げてもらい、流し打ちをします。

単純ですが、アウトコースの打率アップが見込めます。

私はこのときに、ティーを自分の身体側からあげてもらっていましたね。それを逆方向に打つ練習をしていました。 

 

9.後ろから投げるティー

ボールを引き付ける意識、変化球対応力がつきます。

ミートポイントをつかむ効果もあります。

 

10.真横からの遅いティー

2と真逆ですが、外に逃げる変化球対応ですね。

こうやってみると、いかにプロで三振しないことがすごいか、と思います。

 

11.左打席(逆打席)ティー

最後の締めくくりに逆打席で打つことで、身体のバランスを整えます

私もこれを必ずやっていました。やらないと、なんか変な感じです・・

 

こちらの動画のYoutuberさんはハイテンションで11種ティーを練習されています。参考になりました。

www.youtube.com

 

◯おわりに

山田哲人選手のティーバッティングを紹介した後に、別の方法で自分のオススメを1つ紹介する、というハードルが高すぎる順番にしてしまいました。

ですが、この方法でインコースを克服(私はインコースが苦手でアウトコース大好きです)することができました。

具体的に言うと、インコースを、強く右方向に打てるようになりました。それが

12.バットをタテに出すティー

図解のサイトが見つからなかったので、その打ち方を説明している坂本選手の動画を掲載します。まさにこれです。昔中日にいたブランコ選手もこの打ち方でした。

www.youtube.com

ぜひ真似をして練習してみてください!

国公立入試初日に考える進路指導の極意 〜カウンセリング・マインドも一緒に〜

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ついに、高3の生徒たちが国公立入試を迎えました。

朝から部活動指導をしながらそわそわしましたが、ここまで頑張ってきた、生徒たちの健闘を祈るばかりです。

後輩たちも、「あああ〜〜来年は〜〜〜自分たち〜〜〜〜〜」と声にならない叫びをあげながら練習していました(笑)

 

◯進路指導を勉強しなければならない

ベネッセのVIEW21や、リクルートのキャリアガイダンスなど、教育研究所が出している民間の月刊誌も、今月は進路指導をテーマに掲げています。

例えば今月のキャリアガイダンスはこんな感じ。両者とも、過去のバックナンバーを読むことが出来ます(相当ありがたい)

souken.shingakunet.com

とは言え、紋切り型の指導では当然いけません。

未だに「学歴主義」という名の「偏差値主義」がまかり通っているのが教育界です。

というか、大人以上に,生徒たちが意識しています。

そんな「主義」に扇動されやすい生徒たちの価値観に揺さぶりをかけるのが教員の仕事でもあるのですが、

その揺さぶりは常に生徒本人のためでなければなりません。

当然ですが、特定の利益のためになってはいけません。

その意味でも、やはり非常に甲斐ある職業だとは思っています。

(と言いながら今部活でクッタクタで寝そう)

 

◯ベテランが教えてくれた極意

高校生の進路指導に関しては、正しい努力の方向を示すことが重要な職業です。

もっと丁寧に言うと、

①生徒が行きたい方向性を引き出し、

②本人・保護者・学校ともにその方向性の共通認識をつくり、

③その方向性にしたがった目標(志望校・学部等)を立て、

④その実現に向けて正しい努力の方向を示すこと

が必要な職業です。

実は一番大切なのは、①〜④の全ての土台にある、

⑤絶えず励まし、慰める。

という、

受容と共感のカウンセリング・マインドの精神

かもしれません。生活指導の原点でもありますが、心理学の世界では超有名人のロジャーズの言葉です。(私はよく知らないのですがちょっと前に教わりました汗)

 

◯もう一度1つひとつ整理してみます。

①生徒が行きたい方向性を引き出す

担任として、教科担当として、部活動顧問として、学校内での連携をまず密にすることです。これは本当によくあるのですが、

生徒は部活動の休憩時間にぽろっと進路の本音が出たり、

掃除の時間に部活の悩みを吐露したりします。

つまり、こちらが知りたい情報を、こちらが知りたいシーンで言うとは限らないということです。目的的でない、と言ったら言い過ぎでしょうか。

だから、色々な視点から生徒1人に関わらねばなりません。これは時間のかかることですが、生徒が低学年の頃からこのことを教員は意識し、記録化しておく必要があります。

 

②本人・保護者・学校ともにその方向性の共通認識をつくる

保護者との連携が大事ですね〜〜〜。私は(迷惑かもしれませんが)ふとしたときに保護者に電話して、家での様子を聞いたりします。親子関係もさぐれます。

(進路の面談で、親子喧嘩が始まることを何度も目にしました。)

 

逆に、①・②ができれば、③・④の壁はかなり下がってくるはずです。

③その方向性にしたがった目標(志望校・学部等)を立て、

④その実現に向けて正しい努力の方向を示すこと

 

あ、でも、正しい努力の方向や仕方をアドバイスするとよく、

「先生は成功したからそんなこと言えるんでしょ」穿った発言をかましてくる生徒がいます。

そんなかわいい生徒には、いろいろな返答のパターンがありますが、例えばベートーベンの、この名言を。

Beethoven


「努力した者が成功するとは限らない。しかし、成功する者は皆努力している」

まずは自分が、努力できる大人であり続けたいと身が引きしまる国公立入試初日でした。

 

教員以外でも部活の指導・引率が可能に!?〜負担減につながるか〜

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今日も指導要領改訂案について昨日の続きを書こうと思っていましたが、その裏(?)で、指導要領異常に現場に改革の意識を与える話が進められていました!

 

◯教員以外でも引率可能に! 

まずはこちらの記事をご覧下さい。(端的にまとまっています!)

www.yomiuri.co.jp

どれだけ実効性をもって実現するかはさておき、

ひとまずこれを読んでの私の感想は、

「なんという朗報!!!」でした。

まだ何も動いていないのにぬか喜びですね(笑)

というのも、部活動の実態に(少しばかり)頭をもたげていたからです。

部活動の実態に関しては、過去も何度か記事にしていますが、少し検討の角度を変えたこちらの記事がよくアクセスを頂いています。(それ以外は当ブログの「部活動」カテゴリーの記事をご参照頂ければ幸いです。)

yacchaesensei.hatenablog.com

 

◯この議論で必ず出される「批判」

一言で言うと、先の読売新聞の記事中にあったこの部分でしょう。

中学、高校の部活動では、現在も外部指導者が導入されているが、責任や待遇などが曖昧なため、顧問の教員の補佐役にとどまっていた。

 

実は、今も「外部指導者」は存在しますし、存在してよいのです。 

しかしながら、

①これまで「外部指導者」に関する法令上の規定がなかったこと

②それゆえ、立場が曖昧であること

③結果として(事故等のマイナス面の)最終的な責任を負うことが出来ず、結局「教員」が責任を負うということ。

という状況が今も続いています。

この状況に風穴をあける意味でも、4月からの変更はもっと取り上げられてほしいと思ってしまいます!

 

◯でも、誰が採用し、誰が給与を払うのだろう。

ここで公立と私立の差が出ると思っています。

きっとこの変更で、公立学校の部活動は運営の見直しが行われたり、この話が議論を呼ぶでしょう。もっというと、上が動けば、現場も動かざるをえません

採用は自治体や教育委員会が管理して行い、給与も公務員と同様、税金から支払われるのであれば、個別の学校にリアルな痛み(人件費)は0に等しいはずです。

 

ところが、私立はどうでしょうか。

私立の教職員採用は、その私立学校に委ねられています。

当然、給与の支払いは、その私立学校法人が行うことになります。

しかし、現状の教員だけでなりたっている部活動のために、

わざわざ地域指導員を雇用する余裕はあるでしょうか?

教員以外ですでにコーチとして招聘している人間以外に、新たに採用するでしょうか?

そう考えると、私立学校は(残念ですが)この変更の影響をあまり受けないのではないか、と私立学校教員である私は感じています。

 

◯そもそも部活動は

あまりこれは大きな声で言いたくありませんが、部活動は

あくまで「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」(学習指導要領)ものとして、教育課程外の扱い

であるという原点は忘れてはなりません。

もちろん、部活動自体には大きな教育的意義があり、子どもからも、保護者からも、そして社会からも部活動が望まれて現在に至っていまず。

ですので、杓子定規に原点回帰せよ!というつもりはありません。

ただ、この部活動が「ブラック教員」と言われる悲惨な実態を生み出していることも事実なのです。だから、手を入れるべきであることは間違いありません。

 

◯おわりに

①今日たまたま授業で「労働」を扱ったとき、生徒たちから

「教員だけは絶対になりたくない、先生たちをみてると忙しそうだし、大変そう。休みも少ないし、自分はなれないと思う」と言われたのは切ないですね。

一生をかけるに値する仕事であると感じているのに、否定的なイメージからスタートせねばならない職業だと生徒に感じさせたくはありません。

 

②ベネッセのこちらの記事はもう少し掘り下げて書かれていました。

benesse.jp

中学校の学習指導要領改訂案で気になったこと5つをまとめてみた(総則編)

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私が気になったポイントを5点まとめてみます。

①カリキュラム・マネジメントできない学校はまずいよ!

ついに!というのが私の第一印象です。といっても、いったいカリキュラム・マネジメントとは何なのか。。あやしいカタカナです。そこで、3段階に分けてみてみましょう。

まずは、文科省による「添削しろ」と言われたら即「一文が長すぎる」と赤をいれそうな改定案をご覧下さい。

各学校においては、生徒や学校及び地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育の活動の質の向上を図っていくこと(以下、「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。(第1章総則 第1の4。太字は筆者。)

ここでそっと画面を閉じそうな私でした。が、

 

次にカリキュラム・マネジメントをもう少し端的に示しているのが新潟県教育センターの文章をみてみましょう。

「各学校が設定する教育目標を実現するために、学習指導要領等に基づきカリキュラムを編成し、それを実施・評価し改善していくこと」

だとされています。

 

そして最後に、私の解釈なので誤っていたらご指摘頂けるとありがたいのですが、もう少し噛み砕いてみると、

①各学校が目標を定める(これは普通なら今までも行われてきた)

②目標実現のために指導要領を踏まえてカリキュラムをつくる(これも普通なら今までやってきている)

③カリキュラムに基づいて教育を行う(これも従来通り)

④カリキュラムの評価・改善をすること(!)

がカリキュラム・マネジメントの要素であり、最後の「評価・改善」がカギだと考えています。

つまり、学校レベルでカリキュラムを毎年評価、改善してますか?

それを、教科横断的にやっていますか?というのが文科省のメッセージです。

授業ベース、単元ベースの改善ではなく、カリキュラムベースで改善を行っていくことが求められているということです。まさに、「学びの設計」の視点です。 

これからの教員は、現場にあわせたカリキュラム・マネジメントができないと、映像授業やAIで駆逐されていくでしょう。危機感をもたねばなりません。

 ※こちらの記事でも「学びの設計」について言及し、かなりのアクセスを頂戴しました。

yacchaesensei.hatenablog.com

 

 

②「多様な人々との協同」できる学びをつくって!

「個性を生かす教育の充実」から

「個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実」(第1章総則 1の1)

へと太線部が書き加えられました。

当然、授業の中で「恊働」の要素を形だけではなく、設けていく必要があります。

他の箇所でも「主体的・対話的」の文言も、何度か新たに登場していますね。

※①の文言にもありましたが、「教科横断的な視点」で「恊働」を促す教育活動を捉えると、少し選択肢の幅が広がるのかもしれません。(もちろん教科内だけでも恊働は促せる)

 

 

③一人ひとり、一つひとつ。の連呼!

「生徒や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して」(前文)

「生徒の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して」(第1章総則 第1の1)

 「各学校においては、生徒や学校及び地域の実態を適切に把握し」(第1章総則 第1の4)

 以下省略します。当たり前といえば当たり前ですし、時代の要請もあれど、やっぱり教育の本質的な要素だと思います。じゃないとこんなに連呼しない。

 

 

④なんとなく一貫校にしてもダメだよ!

第1章総則 の4に新たに「学校段階間の接続」が盛り込まれました。

要は、小中一貫校・中高一貫校は、きちんと入口・出口につながるようにしてね!というメッセージです。

現在一貫校に勤務している筆者としては、現実的な問題なのですが、

最近ニーズの増えている小中一貫・中高一貫の学校も、「生徒が集まるから」という理由ではなく、明確な目標の設定をしなさいよ!という匂いがします

(これは私の置かれている環境が、私にそう読ませているだけかもしれません)

 

⑤カウンセリング・キャリア教育も大事だよ!

もう、盛りだくさんです(笑)

集団指導のガイダンスも必要、一人ひとりのカウンセリングも必要。

キャリア教育も同様にガイダンスとカウンセリングが必要。

同意はしますが、すべての学校で実現可能かと言うと、難しいと思わざるを得ません。

ただ、1つ感じるのは、

「全ての生徒が高校・大学に進学する必要はない」というのが文科省の今後の方針だと思います。だから、キャリア教育をしっかりして、高専のような専門学校に通う道も模索しましょうね、という布石のような気がします。

  

◯おわりに

総則編だけで長くなってしまいました。

社会科の教科編、部活動やなどの特別活動編・・・あと2回は書きたい。。。