やっちゃえ先生探究記

よりよい教育のために。民間企業→私立中高一貫校→私立高校。社会科・地歴公民科。

【書評】苅谷剛彦/石澤麻子『教え学ぶ技術ー問いをいかに編集するのか』 ー探究学習に誘う効果的なチュートリアルとはー

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読み、書き、考える。

このプロセスを通して人は学ぶ。そのコツをいかに教員は教え、生徒は学ぶのか。その技術を「追体験」することで学ぶ1冊

教員側の視点と、学生側の視点が両方メタレベルで語られることで、how toにとどまらない広がりを持っており、探究をガイドする教員のあり方を模索する身として、唸る記述が多くありました!

教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか (ちくま新書)

教え学ぶ技術 ──問いをいかに編集するのか (ちくま新書)

 

チュートリアルって?

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トロッコ問題を教えることの何が問題か?ー扱い方の3つの問題点と、MITのチェックテストを紹介しますー

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カウンセラーの授業でトロッコ問題を扱ったことで、不安を覚えた小5,6の生徒のご家庭が学校に申し出た結果、学校が謝罪した、というあのニュース。

ニュースを見た時の感想をまず貼っておきます。

  

学校が家庭と電話なり面談をして「配慮が足らず申し訳なかった、全力でフォローする」ということで済むケースに思えたけど、そうならなかったのは何故か?


結論を先にいうと、

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【書評】『愛』苫野一徳  読み継がれる「愛の書」ここに爆誕。ー哲学の奥義、愛の理念性を抉り出すー

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哲学に対する「愛」が伝わる、読み継がれる「愛」の書。

愛の本質をがっちり掴むだけでなく、哲学って答えのない問いをぐるぐる考えるだけの学問ではない、ということを示す良質な1冊です。

著者20年の思索の結論、と帯にもありますが、構想を数年前に伺い、本当に本当に楽しみにしていた1冊だったので、読み終わるのが惜しいと思いつつ、突っ込みを入れつつ、じっくり味わいました。

なお、冒頭でいきなり

「かつて、私は全人類を愛していた。「人類愛」。」 

という人類愛教祖の黒歴史(すみません)をぶっ放しているのは最高にロックでした!(詳しくは『子供の頃から哲学者』が色々な意味で楽しい笑)

以下、言葉の紹介というより、読んで考えたこと等をざっくばらんに記しておきます。

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授業の計画を立てるときに考えていることー教師のライフヒストリーの影響の自覚ー

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もう生徒とは顔を合わせているけれど、今学期の授業計画の最終案を固めています。

2単位の呪縛

「単位数が多い=やりたいことができる」というわけではないですが、生徒にあれこれもがいてもらうためには、時間が必要です。

が、2単位だとどうしても限界がありますね。

例えば、9〜12月を2単位で回すと20回授業ができれば良い方。

20回をどう割り振るか?

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あいちトリエンナーレに行ってきた話。ー現代アートの魅力と「作られた生命」ー

「表現の自由」で何かと話題の、あいちトリエンナーレ2019に行って来ました。

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あの展示を見ていない

はじめに断っておきますが、私が行ったのは例の展示が中止になった後なので、その展示等を見ておらず、その話には立ちいりません。愛知県が検証委員会を設置し、11月をめどに経緯等をまとめるそうなので、注目しています。

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【書評】荻上チキ『いじめを生む教室』ー何問正解できますか?鬼門の秋を迎える前にー

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これまでいじめ関連本で新書と言えば、森田先生の中公新書だった。

いじめとは何か―教室の問題、社会の問題 (中公新書)

いじめとは何か―教室の問題、社会の問題 (中公新書)

 

が、そこで示された知見にさらに7〜8年の研究・調査分析を入れた素晴らしい1冊だったので、2018年の新書で今更ですが紹介します。 

「私にもできることがある」と静かに、でも確かに思わせてくれる1冊。

クイズでいじめの「正体」をつかむ

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