連日報道が続く森友学園の問題。
国有地払い下げ?→ごみ埋め戻し?→教育基本法違反?
と色々と論点が次々と出てきており、何が問題なのか、ということが日に日にぼやけていっている印象です。
個人的見解ですが、教育と宗教の観点から、論点を再整理し、
何が問題かを明らかにしてみたいと思います。 (①〜④までありますが、一番言いたいのは④です。)
①学校自体の存在は問題ではない。
と私は考えます。その理由は、私立学校は建学の精神に基づき、自由と多様性を担保する存在として必要だからです。教育基本法に拠れば、
第八条
私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。
とあります。森友学園が拠って立つ、「神道」は日本古来の宗教ですが、私立学校である以上、この宗教教育を否定することは出来ません。
教育法学の言葉で言えば、「自由と多様性」の原則に基づくのが私立学校です。
建学の理念に基づき、自由と多様性を担保する存在です。だから、それ自体は問題ではありません。
日本にもキリスト教に基づく学校、仏教に基づく学校が多くあります。
それと同様に、「神道」に拠って立つこと自体を否定することは出来ません。
そういう意味では、「教育勅語」の音読も、キリスト教学校で聖書を読み、仏教学校で各宗派の教典を読むことと大差ないと感じています。
②国有地払い下げ問題は問題かもしれないが、すぐに決着がつかない。
というのが私の認識です。築地市場の豊洲移転問題を思い返して下さい。
結局、小池都知事がこれだけ動いていても、まだ全貌は掴めません。
間違いなく、時間がかかる問題です。
コンサルの基本の「き」ですが、物事を考える時は、
短期・中期・長期と3つのレベルでまず仕分けをします。
したがって、この問題は追求すべきですが、中長期で取り組む課題にあたると考えます。ついては現在会計検査院の調査中ですし、今ここで取り上げても、さして効果はあがらないでしょう。
③安倍昭恵首相夫人が、(結果的に)政治と教育の中立性を脅かしていることは倫理的問題!
というのが私の認識です。安倍首相ではありません。
言い方が悪いかもしれませんが、野党が、昭恵夫人を「公人」として糾弾できるか(証人喚問等の措置を講じられるか)がカギを握ると思います。
報道のように、安倍昭恵総理夫人は名誉校長に就任していました。
総理夫人は、「公人」です。”ファースト・レディ”です。
当然、「公人」としての言動・行動が求められます。倫理的問題です。
公人として、危機管理不足だったと言われても、仕方ないと思います。
もし(これは仮定の話ですが)トランプ大統領夫人のメラニアさんが、「トランプ」関連企業への利益誘導的な発言をすれば、これは叩かれるでしょう。「ファーストレディとしてあるまじき振る舞いだ」として糾弾されることは目に見えています。日本に住んでいても、「うん、まあおかしいよね」位の感覚に私はなります。トランプ大統領自身が、自分の関連企業を優遇するような法制度を整えることが、「利益誘導」と叩かれるのと同じです。
とにもかくにも、「公人」としての意識の欠如が、名誉校長就任になり、あるいはこういった疑惑を生んでいることは否定できません。
そして、私が言いたいことを最後にまとめます。
ここが本質的な問題だと思います。割と力をいれて書きました(笑)
④宗教は、政治的主張を超えるから宗教であり、価値があるのに、その「普遍性」を手放した森友学園(幼稚園)!
こちらの記事に掲載されているように、特定の政党が行った政策の礼賛とも言えることを園児にさせていたことは、教育基本法第十四条に照らして,問題でしょう。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
とあります。
しかも、分別のつかない幼稚園児に、その発言をさせていることは、言い逃れできない問題だと思います。これは、倫理的というより法律違反です。
繰り返しますが、神道によって立つことは問題ありません。
しかし、「神道によって評価された政治活動」を「分別のついていない」児童に教え込むことは、許されません。
※社会科教員として、主権者教育の実践にあたり、どれだけ現場で「政治的中立」に配慮して授業展開しているのか!という思いがあるので文字が勝手に大きくなりました。
そして私の言いたいことです。宗教についてはそれなりに考えて生きてきました。
現代まで受け継がれている(古典)宗教は、幾千もの政治的主張を超えてきた(包括してきた)から現代にまで受け継がれる「宗教」なのです。
だからこそ宗教には価値があります。
なのに、
その「普遍的な」宗教を、「一時代の」政治的主張と同じレベルに格下げしたことは、結果的に、自分たちが信じる宗教の価値を下げることになります。
自ら、宗教の価値である「普遍性」を手放したからです。
◯おまけ
この森友学園の設置許認可を行うのは、国ではなく大阪府です。
松井一郎知事は、中長期目線で、(自身と自身の所属する政党の利益も考えながら)どう振る舞うべきか、考えていらっしゃることは想像に難くないでしょう・・・
カギを握る1人だと思います。注目です。
続編記事はこちら。