やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

川村元気『理系に学ぶ。』から学んだこと1〜4

こんばんは、やっちゃえ先生です。

いつの間にか6月、梅雨入り、というくらい濃い5月でした…

部活動の大会や定期試験、5月病と言われるように生徒の心身にも少し陰りがさす時期ということもあって、長かったですね(笑)

 

さて、そんな合間にも読書は欠かさず続けているのですが、(プロとは永遠の自己研鑽!という言葉をどこかで聴いてそれ以来、プロになろうと奮闘中笑)

川村元気さんの本、『理系に学ぶ。』を初めて読んでみました。

 

川村さんは元々東宝で『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』などの映画を制作されていた御方。

その川村さんが「理系」コンプレックスを抱えていることを逆手に(?)とり、今後の世界の展望を「理系」の一流の方々にインタビューした記録、対談集のような本で読みやすかった。(この手のものは読みやすいから疲れていても読めるのはありがたい)

 

読みやすさでいうと、レイアウトも

「対談相手の紹介」のあと、「質問」+「対談内容」×5〜10くらいで構成されているので読みやすく、最後に復習のコーナーもあるので良心的。

(最近の「教科書復古主義」的な流れもあるのでしょうか・・)

 

で、私がこの本から学んだことですが、

1.「理系と文系は同じ山を違う道から登っているだけだ

著者の川村さんの気づき、これを再確認。これは本当にそう。

教育の現場にいると、特に高校生は文理選択が差し迫った問題としてありますし、中学のうちからある程度文理に対して(生徒も)意識をしてしまう傾向があります。

でも、そもそも知って別に分け隔てはないし、何がどこでどうつながっているかなんて分からないのだから、文理主義に陥るのはもったいないですよね。

(だから最近いろんな大学がリベラルアーツとか教養とか掲げ直している)

 

生徒にもそういった観点を常にもたせるような工夫をしていますし、そのことを教条的に教えるのではなく、そうした方が人生楽しい、ということがわかるような工夫をし続けたいなあと思っています。

 

2.「一人も脱落しないでわかっているかどうかに関心があります。しかも、簡単にわかるんじゃなくて、ある程度その人の力が発揮できてわかるっていうのが一番」

東京芸大映像研究科教授の佐藤雅彦さんのインタビューは個人的に面白かったなあと思うのですが、この言葉は教員として「ほんとこれ!」と思いますね。

以前ブログで紹介した 

yacchaesensei.hatenablog.com

 中室先生の本にも、努力していない結果をほめるとあんまり効果がないが、努力した結果、というより努力自体をほめるとまた頑張れる、というのに似ているかなと思います。

いまだ30人を上回る教室が多くある学校で、一人ひとりに適した課題を同時に取り組ませる、というのは現実的に難しい面もあるのですが(だから『学び合い』などが有効なのだけど)、ある程度自分の力が発揮できてゴールに到達できたという経験をなるべくたくさんさせたいですね。失敗もさせたい。

 

3.トーン=世界観を作る、ルール=ある程度こうすればこうなる の2つで仕事をみつめる

これはなるほどなあと思いました。教員の仕事も、トーン×ルールの連続ですし、トーン作りに中長期的に携われる素敵な仕事だと思います。とてもクリエイティブ。トーン×ルール@教室、学校 という場所の要素も教員ならではでしょうか。

サッポロ一番のCMで「トーン」を発明した、というところはへえええと思いましたね笑 こういう視点を自分で仕事しながら得られるのは単にうらやましいです笑

(だんご3兄弟がダースベイダーからきているのも驚きました笑)

 

4.「受験戦争がバカを作っていますよ。競争のさせ方が間違っている。同じことをさせて、瞬発的能力をふるいにかけてるだけですから。

この言葉は、ドワンゴ会長の川上さん。他にも、学歴社会の弊害として受験エリートが「競争すれば勝てると思っているけど、それは大きな間違い」とか、

ルールをきちんと守って、なのに試合で負けるってことが日本のものづくりやビジネスでも頻発していると指摘。

なるほどなあ、と。いろんな面から生徒のよいところを見つけ、伸ばすということは常に課題だし、ブレイクスルーを起こしにくい日本の閉鎖的な学校環境もこれに近いなあと思わされました。

だから、N高みたいなことができるんだなあ、と思うし、川上さんの対談も面白かったですね。

 

まだまだ紹介したいことばがたくさんあるので、今回はこの辺で!

ではまた!