解散総選挙。ちょうど授業で高3生を対象にして模擬投票などやっていただけに、タイムリーといえばタイムリーだ。しかし、
何もしなければ18歳の投票率は間違いなく低下する
その理由はずばり、
続きを読む最近、たまたまこういう相談が重なったので書いておこう。
教員になりたいという気持ちはあるけれど、今すぐなれる自信はないし、一度は企業で経験してみたい、などなど、状況は人によってさまざまだ。
今日は自分のエピソード、というより、自分の意志決定や今のあり方に影響を与えたな、と思う、心に残っている言葉たちを紹介したい。
高校時代の恩師から、就職活動で最初のキャリアをどう築くかの相談をしたときに返ってきた言葉だ。
この先生は、強烈な個性はさることながら、東大卒であることを微塵も感じさせないような形で自分を見せることができる先生だった。
それが抜群にかっこよかったし、面倒見も抜群によかった。
私は大学生になっていたのに、すっかり先生に甘えていてなんでも好き勝手にモノを言っていた。そんなキャリア相談の最中だ。
誇りを持って教職に就いている先生に
「教員じゃ、自分の可能性を試せない。自分の可能性を企業に出て広いフィールドで試したい」なんて生意気なことを言った。書くだけで恥ずかしい。
でも、そのときに、普段さらっと返すことの多い先生が、ぐっと力を入れて先の言葉を投げかけてくれた。変な言い方だけど、「ああ、先生だって人間なんだ、100%教員!じゃなかったんだ」と思わされた。
先生も、自分と同じように悩んでいたことがうれしくなったと同時に、
そんな自分の教職に対する軽はずみな言葉を恥じた。教員という仕事を軽んじていた。
なんやかんやで最初にいわゆる大企業に入った私だが、人事の先輩が同郷出身ということでよくしてくださり、いろいろな話をするようになった。
そこで、教員というキャリアに対する気持ちをふと打ち明けてみたときに、返ってきた言葉だ。
「え!引き止めないの!笑」と思ったけれど、今思うのは本当にこの通りなんだろうなあと思う。先輩は30代半ばで結婚し、お子さんが2人いらっしゃった。奥様が専業主婦になった、ということだったので、より一層この言葉は沁みた。
いわゆる日系大企業で昇給するタイミングは20代後半に一度やってくる(5年勤続とか?)だろう。そこにライフイベントが重なってくる。
そうなれば、どんどん守りに入ってしまう、という正直な先輩のアドバイスは、新卒で未来の見えていない自分にとても響いた。
運よく教員として採用が決まり、緊張の中で上司に報告したときに返ってきた言葉。
こういうおじさんに、私はなりたい。
思えば、本当に上司に恵まれた。
最初に配属された部署の別の上司からも大切なことをたくさん教わったし、それは今でも本当に役に立っている。
↑ブログはじめたばかりの記事、あまりに拙い…
成果を出すということへの執着は、企業にいなかったら体感できなかっただろう。
私の人生のバイブル、北方水滸伝の言葉。
ああ、皆死ぬんだ、死ぬときによぎる想い出は何だろう?
今死んだら、自分は自分の人生に納得して死ねるか?
ということを考えずにはいられなかった。ちょうどこのとき、数十億が一気に動くプロジェクトに携わっていた。すごい仕事だったが、死ぬときにこのプロジェクトはよぎらないだろう、という確信があった。
それなら、「1人」のために尽くせる生き方、教員になろう、と思った瞬間だった。
「お前はどう生きるのか?」
「お前の志はなんだ?」
と北方センパイに胸ぐら掴まれて気づいたら虜になってる。そんな本です。
圧倒的に読ませます。ストーリーの圧倒的な構想力。本当に人生のバイブルです。仕事の大前提にある志・生き方を問われます。
水滸伝 文庫版 全19巻+読本 完結BOXセット (集英社文庫)
そんなむさくるしい思いをもって、教員になった。
初年度は私の度量不足で、反抗されることばかりだった。もちろん理不尽なこともたくさんあったし、企業の働き方は性に合っていたので、惰性の強い教育の現場に出て、もやもやすることも多かった。
そんな時に、今でも最も尊敬している先生が「ふふふ」とほほえみながら、「先生、」と私に声をかけてくれた。そしてこの一言だ。
「反抗は甘え。慕われてますねえ。ふふ。」
どれだけ救われただろうか。
それから、本当に気持ちが変わったことを今でも鮮明に覚えている。
北方水滸伝、やっぱり超スーパー名作です(笑)
いやあ、やっぱりすごいと思うので見てほしい。
とっても月並みな言葉だけど、東北大のAO入試がアツい。
受け持っている生徒も推薦・AOの添削を頼みにきてくれるのだが、やはり色々な大学の問題をみても、これからますます大学入試はこういう方向に行くのだろうと感じる。
全国の国立大学が今目指している方向性は、間違いなく東北大だ。
昨年度の東北大の全学部の入学者のうち、推薦+AO入試が504名。一般入試が1949名だ。
これを割合で表すと、推薦+AO入試入学者は25.8%となる。
http://www.tnc.tohoku.ac.jp/images/various_data/H29_sohkatsu.pdf
目標の30%まではあと数%、今年度は歩留まりの見極め精度もあがり、30%にさらに近づけてくるだろう。
もっとも、工学部なんかは、入学者805名のうち、234名がAO入試だ。その割合は29%。2017年度でこの数値だから、もうほぼ達成といってもいいだろう。
国立大の入学者の3割を推薦+AOで、という意向を目標より3年も早く達成している。(もちろん、入学後の追跡調査は必要なのだが)
2017年度AO入試Ⅱ期の問題から抜粋して紹介しよう。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)における参加国は、将来的に自国の製品の関税を撤廃することに同意した国々の集まりです。将来、各国の関税が下がって海外からの輸入農産物が安価に購入できるメリットと、自国の農業が衰退する可能性のデメリットについて、 あなたの考えを述べてください。(800字程度)
自分が地歴公民科の教員であるので、どうしてもこういう分野の問題が気になってしまうのだが、なかなかえげつない入試だと感じる。
その理由を簡単にまとめよう。
①定義・メリット・デメリットを提示
知識そのものを聞いていないのだ。
TPPとは何か、どういうメリットがあるか、デメリットがあるか、知らなくてもこの場で理解すればいい、と言ったら言い過ぎだが、それくらいの意気込みを感じる。
ぐぐればいい時代なんだから、知識はあげます。
知識からどう考えるか、あなたの見方・考え方を聞きたい、という意図を感じる、といったら過大評価だろうか。
②どの角度からか、は提示されない
メリットとデメリットについて、あなたの考えを述べよ、だ。
どういう観点から、という提示が一切ない。場所や時代、立場の設定がないのだ。
自分で関心領域とつながりをもたせながら立場を固めて書く、というのは相当難しい。
※私はICEモデルからきている発想か?と思ったのだが、どうだろう?ICEモデルとは|ALbase
ありきたりなメリット・デメリットの分析・比較になれば、きっと合格するのは難しい気もする。うまくないたとえだが、
問題を切る自分の刃物の形を自分で知っていなければ、切り方がわからないまま終わってしまう問題だろう。
③試験時間30分、800字
②をふまえて、”書く”トレーニングをしてきていることが前提となる時間配分だ。
800字手書きで書くのは結構大変だし、論理性を考えて構造をつくっていこうとすると、30分はぎりぎりの勝負だろう。
当然、TPPの背景知識も生かせるだろうが、知識のアウトプットを求められている問題ではない。うーん、大変。
④これが農学部の問題!
TPPは農業の問題というのは分かるが、そのメリットデメリットというのは極めて社会科学的な話になってくる。(というのは私のバイアスだが)
分野の垣根があまりないのだ。
どういう学生がほしいのか、メッセージ性がある問題だろう。
※評価基準は気になるが、そのナレッジはサンプル数の多い塾や予備校にたまっていくことを願う。
ご丁寧に昨年度の問題を公開してくれている。(リンク最下部)
公開期限は2020年となっているが、高校関係者は知っておいて損はないだろう。
こういう入試に立ち向かう生徒が増えるのである。
学力突破型のかつての入試像から、教員も脱却しなければいけない。ああ、授業をどうするか毎日ワクワクしているが、背筋が引きしまる。
いつでもどこでもだれでも学べる時代に、学校教育がすべきこと・できることは何だろう、それ以前に、この時代の教育者としてやりたいことはなんだろう?
こんなの普通だ、なんていうのは簡単だ。大人は入試を評価することばかり躍起になるが、生徒たちの不安と焦りにどこまで親身になれるかだ。
それは受容力と同時に、本当の力をつける授業を展開する力だ。
試されるなあ。
面白い調査結果も見つけたので、現場の実感と合わせてまとめておきたい。
現在の中学3年生からは、大学入試において「センター試験」がなくなる。
記述問題が導入されたり、英語に関しては外部検定の導入までされるというニュースを耳にしたこともあるだろう。TOEICもOKになっちゃうのだ。(言い方)
これから入試が変わっていく、そう感じている方も多いだろう。しかし。
続きを読む夏は授業の内容(Contents)だけではなく、まとまった時間を理論の勉強に費やせる貴重な時間だった。ということで、紹介したいのがこちらの新刊。
普段はこういう「子育て」本は対象とする子供の学齢の違いもあって、あまり読んでいなかったのだが、訳者の先生とたまたまお話しする機会があったので手に取った。
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