最近、たまたまこういう相談が重なったので書いておこう。
教員になりたいという気持ちはあるけれど、今すぐなれる自信はないし、一度は企業で経験してみたい、などなど、状況は人によってさまざまだ。
今日は自分のエピソード、というより、自分の意志決定や今のあり方に影響を与えたな、と思う、心に残っている言葉たちを紹介したい。
①「自分の可能性に未練がなかったわけじゃない。」
高校時代の恩師から、就職活動で最初のキャリアをどう築くかの相談をしたときに返ってきた言葉だ。
この先生は、強烈な個性はさることながら、東大卒であることを微塵も感じさせないような形で自分を見せることができる先生だった。
それが抜群にかっこよかったし、面倒見も抜群によかった。
私は大学生になっていたのに、すっかり先生に甘えていてなんでも好き勝手にモノを言っていた。そんなキャリア相談の最中だ。
誇りを持って教職に就いている先生に
「教員じゃ、自分の可能性を試せない。自分の可能性を企業に出て広いフィールドで試したい」なんて生意気なことを言った。書くだけで恥ずかしい。
でも、そのときに、普段さらっと返すことの多い先生が、ぐっと力を入れて先の言葉を投げかけてくれた。変な言い方だけど、「ああ、先生だって人間なんだ、100%教員!じゃなかったんだ」と思わされた。
先生も、自分と同じように悩んでいたことがうれしくなったと同時に、
そんな自分の教職に対する軽はずみな言葉を恥じた。教員という仕事を軽んじていた。
②「僕も志を持っていたけど、守るものができたら簡単に変わっちゃう。辞めるなら早い方がいいよ」
なんやかんやで最初にいわゆる大企業に入った私だが、人事の先輩が同郷出身ということでよくしてくださり、いろいろな話をするようになった。
そこで、教員というキャリアに対する気持ちをふと打ち明けてみたときに、返ってきた言葉だ。
「え!引き止めないの!笑」と思ったけれど、今思うのは本当にこの通りなんだろうなあと思う。先輩は30代半ばで結婚し、お子さんが2人いらっしゃった。奥様が専業主婦になった、ということだったので、より一層この言葉は沁みた。
いわゆる日系大企業で昇給するタイミングは20代後半に一度やってくる(5年勤続とか?)だろう。そこにライフイベントが重なってくる。
そうなれば、どんどん守りに入ってしまう、という正直な先輩のアドバイスは、新卒で未来の見えていない自分にとても響いた。
③お前が決めたなら何も言えることはない。教員になったとき役に立つような仕事をアサインしなおす。だから、絶対に成果を出して辞めろ。
運よく教員として採用が決まり、緊張の中で上司に報告したときに返ってきた言葉。
こういうおじさんに、私はなりたい。
思えば、本当に上司に恵まれた。
最初に配属された部署の別の上司からも大切なことをたくさん教わったし、それは今でも本当に役に立っている。
↑ブログはじめたばかりの記事、あまりに拙い…
成果を出すということへの執着は、企業にいなかったら体感できなかっただろう。
④死に様は、己の生き様を映す鏡
私の人生のバイブル、北方水滸伝の言葉。
ああ、皆死ぬんだ、死ぬときによぎる想い出は何だろう?
今死んだら、自分は自分の人生に納得して死ねるか?
ということを考えずにはいられなかった。ちょうどこのとき、数十億が一気に動くプロジェクトに携わっていた。すごい仕事だったが、死ぬときにこのプロジェクトはよぎらないだろう、という確信があった。
それなら、「1人」のために尽くせる生き方、教員になろう、と思った瞬間だった。
「お前はどう生きるのか?」
「お前の志はなんだ?」
と北方センパイに胸ぐら掴まれて気づいたら虜になってる。そんな本です。
圧倒的に読ませます。ストーリーの圧倒的な構想力。本当に人生のバイブルです。仕事の大前提にある志・生き方を問われます。
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⑤反抗は、甘え。
そんなむさくるしい思いをもって、教員になった。
初年度は私の度量不足で、反抗されることばかりだった。もちろん理不尽なこともたくさんあったし、企業の働き方は性に合っていたので、惰性の強い教育の現場に出て、もやもやすることも多かった。
そんな時に、今でも最も尊敬している先生が「ふふふ」とほほえみながら、「先生、」と私に声をかけてくれた。そしてこの一言だ。
「反抗は甘え。慕われてますねえ。ふふ。」
どれだけ救われただろうか。
それから、本当に気持ちが変わったことを今でも鮮明に覚えている。
おわりに
北方水滸伝、やっぱり超スーパー名作です(笑)