やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

イスラームを知りたいあなたに勧める厳選4冊〜初級編〜

A baby at a mosque

インプットの時間を取れずもどかしかったので3日間もブログを休み、みっちり読書に費やしました。今日はイスラーム関連のおすすめ書籍を紹介します。

 

イスラームを1から学んでみた私がお勧めしたい4冊

昨年度はイスラム国」について知りたいという生徒の要望に応えるため、また、知見を深めるために、イスラームを1から学び直してきました。今年もその延長で何十冊かまとめ読みしているのですが、このあたりでオススメ本を紹介したいと思います!

今回はイスラーム」の概要や時事ネタをざっくり知るための初級編4冊です。

 

①『高校生からわかるイスラム世界』池上彰

 「概要を知る」系の本はどうしても池上さんに頼ってしまうのもよくないかもしれませんが、一番手っ取り早いものがこれでしょう。

もう6年前のものなので、最新の時事ネタは反映されていませんが、イスラームと聞いて触れておかなければならないテーマは網羅しているように思います。後半のソ連のアフガン侵攻〜9.11の解説は、次に紹介する②の本よりも流れがあって読みやすかった。

池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界

池上彰の講義の時間 高校生からわかるイスラム世界

 

 

②『池上彰が読む「イスラム世界」』池上彰

池上さんに頼るのは…と言いつつ懲りませんね。

だって分かりやすいんだもの。 (KADOKAWAの編集力!?)

①は文章がメインなので、②の方が図解版で読みやすいと思います。また、時事ネタもかなり反映されています。というか、2011年のアラブの春以後のイスラーム世界の動向を抑えているというところが①との大きな違いです。これは助かりましたね。

あと、この本が優れていると思うのは、小見出しがしっかりしていること。小見出しが細かく入っていて区切ってくれているので、スキマ時間でもどんどん読める

また、小見出しの中には疑問をそのまま書いているもの(例.なぜ中東には独裁国家が多いのか?)が多く、「そこを読むと何を知れるか」が明確です。KADOKAWAさんの力?読みやすいです。ホントに月並みですが、勉強になりました。

 

③『世界史劇場 イスラーム世界の起源』神野正史

世界史劇場 イスラーム世界の起源

世界史劇場 イスラーム世界の起源

 

 こちらはイスラームの始まり(7世紀)〜約14世紀頃までの歴史に特化しています。どちらかというと高校世界史の学び直し。でも、この本でイスラーム世界の形成過程がよ〜くわかります。私が思うこの本の秀逸なところは次の2点。

①イラストの使い方。最初は慣れないイラストで、かつクセのある筆者(河合塾でも世界史を教えている方)のスタイルに、「読めるのかこれ…」と思っていましたが、300ページ弱ある内容をすらすらと読ませるのはさすがです。

ストーリーの仕立て方。ちょっと専門的?かもしれませんが、アッバース朝以後のイスラーム世界の分裂の様子をストーリーでここまで伝えられるのは、素直に「すごい」と思います。

ただ、注意したいのは、筆者史観が炸裂していることと、この内容をどこから持ってきたのかの注がないこと。筆者史観をある程度スルーできるならオススメです。その意味でも、これは①②を読んでから、がいいと思います(汗)

 

④『まんが パレスチナ問題』シリーズ 山井教雄

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)

 

こちらが続編。2015年なのでアラブの春」と「イスラム国」もばっちり入ってる!

 両方ともまんがであり、かつ今度は現代史に特化した内容です。

こちらも③同様に、筆者史観がみられますが、それはともかく現代の複雑なパレスチナ問題とその背景にある中東の歴史を分かりやすく紐解いています

池上さんの本の後に読んでもいいし、ここに興味がある、という方はこれから読むのも全然ありだと思います。「ねこ」という名前の猫が解説をしてくれて、キャラもイラストも豊富でよにかく読みやすいです。

③は注に筆者史観が多くまぎれていますが、これは「ねこ」の解説にここに筆者史観が紛れ込んでいるのが注意点です。

 

◯おわりに

この4冊、特に①②④はすぐ読めます。③は少し世界史の知識があった方が読みやすいですが、日本史や西洋史に劣らないイスラーム史の面白さを体感してほしい!と私も思うので、紹介させて頂きました。

イスラム国や、中東問題に特化した中級編以上の記事もまた書きたいと思います!