やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

【書評】『学習する学校』②教育を変える5つのメソッドとは?~第2章:100年の研究が教える方法~

年度の最後の学期が始まり、のんびり書評記事を書いている時間もなくなってきたのですが、やっぱりこの本については書いておきたい。

学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する

前回記事:第1章のおさらい

連載系になると、初読の方に申し訳ないのですが、いかんせん本のページ数が900ページもあるので何回かに分けて書くことをお許しいただきたい…

900ページの章立てはこんな感じでした。

  • スタート 1・2章
  • 第1部 教室 3~7章
  • 第2部 学校 8~12章
  • 第3部 コミュニティ 13~16章

の中で前回記事では「スタート 第1章」の簡単な書評を記しました。

単なる書評記事でしたが、教育関係者を中心に普段よりも多くのアクセスを頂きました。もしよかったら、こちらをご覧ください。

www.yacchaesensei.com

実際読み進めていても、やはりこの本で語られる教育観や、学習科学の理論に裏付けられたアプローチなど、他の書籍とは違う吸引力、期待感があります。

前回とは違う例え方をするなら、

いつでも、どこでも、だれでも学べるようになってきている状況の中で、学校という社会的な組織がどうあるべきか、を問い直せる本、でしょうか。

ということで、ちまちまと書いていこうと思う読書報告の第二弾です。

今回は本書の章立てとは少しずれますが、2章~4章の約200ページ分についてまとめておきます。書いてみたら第2章だけで字数がかなりかさんだので、章立て通り、第2章のみを紹介します!

第2章:5つのディシプリン入門

この章は、端的に言えば、本書の全体にわたって使用されるメソッドやツールの紹介だ。 それが次の5つのディシプリンだ。

  • 自己マスタリー
  • 共有ビジョン
  • メンタル・モデル
  • チーム学習
  • システム思考

はっきり言って、これだけでピンとくる人は著者P.センゲ氏の回し者であるか、それが図とともにまとめられたこのサイトを見たことがある人だけだろう。

学習する組織の5つのディスプリン – 熊平美香 公式サイト

というか、この5つの解説だけで著者はがっつり本を書いているので、ここでは語りません笑 (上の熊平先生のサイトがまとまっていて,わかりやすい…素晴らしいです…)

フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革をチームで進める最強ツール

フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革をチームで進める最強ツール

  • 作者: ピーター・センゲ,柴田昌治,スコラ・コンサルタント,牧野元三
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
  • 発売日: 2003/09/19
  • メディア: 単行本
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と、いうことからもおわかりいただけるように、メソッドやツールの紹介を120ページも割いて行う第2章は決して本書の枝葉ではない。

むしろ、それらがなければ、「学習する学校」にならず、目指す教育も実現できない、と考えている。

問題を規則的に考え、少しやり方を変えて行っていくにつれて、望む成果を生み出す能力が徐々に育ってくる。

まさに、5つのディシプリンは、学校という組織の「問題を規則的に考え」る方法であり、経営学の知見と実践に裏付けられた考えだろう。

著者のセンゲ氏の専門は、あえていうなら経営学。も少し言うと、組織のマネジメント。その立場から、現場の教員&研究者とコラボして書いているような本だ。

教育を、教員個人のもの、としない。

教育を、学校という組織のものとして再定義している。

その教育観が、本章からもよく伝わってくる。

読後の感想は?

読み終えたら章ごとに印象を描いているのですが、自分のメモを抜粋すると、

「生徒を変えようとする教員集団に、はたして自分たち教員は変わったか?変わろうとしているか?を問うてくる」 

と書いています。教員が変わるためにも、必須である5つの思考原理。

ただ正直、5つのディシプリンの理解は、この章だけでは厳しい。

その理由は

①理論自体の理解が必要 であり、それが、

②実際の教育現場でどう使われているかの実践を知る必要

 があるから。

だから、第2章まで読んで、「あれ?教育に貢献したい、学校を変えたい、と思っていたけど、この本の内容って組織の中で上のほうにいる人向け…?」という印象を与えかねない。

しかし、(続きを読んだから言えるが)やっぱりこれらのディシプリンは、教室や学校の中で、もっと言うと1つの教室で十分使われるものであって、その実践がこのあと多く紹介される。

自分もこの章は「なんだか”ワークショップのやり方10選”を読んでいるような気持ちになるな…」と思っていたけれど、3章以降が本編と考えると、焦りすぎでした。笑

おわりに

第2章の終わりの言葉を。

これ以降、さまざまな文脈の中でこの5つのディシプリンのすべてを駆使していく。読者は、これらの実践を仕事の中に(そして人生の他の部分にも)取り込むことで、自分自身の能力を育てられるようになるだろう。

次こそは、数章まとめて書かないと、章の数だけ記事をぶちあげることになってしまう…通常授業の中で、読む時間も捻出できるようにしないとなあ。

学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する

学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する

  • 作者: ピーター M センゲ,ネルダキャンブロン=マッケイブ,ティモシールカス,ブライアンスミス,ジャニスダットン,アートクライナー,リヒテルズ直子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2014/01/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 しかし続きが楽しみである!

【続きを書きました!】

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