やっちゃえ先生ブログ

教員の、教員による、教育のための探究記。 大胆かつ繊細に、実のある記事を。 民間企業→私立中高一貫校→私立高校(今ココ)。

【書評】『最高の授業 スパイダー討論が教室を変える』がスゴイ。安定の吉田新一郎訳本!

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教育者必読の1冊がまた誕生しましたね…

吉田先生の訳本は理論に裏打ちされた優れた実践を日本の現場につないでくれます

実際にこの本を読んで授業に取り入れてみたところ、圧倒的な可能性を感じてしまったので、実践報告記事も書きたいと思います。

間違いなく年間通して取り組む価値を感じています。今日はまず本の紹介と感想を。

はじめに結論

自分の言葉で、本書で紹介されているスパイダー討論の意義を一言にしてみると、

“イベント”で終わらない討論!

形成的評価として討論が機能するしかけがスゴイ!

学力の3要素を伸ばせる!特に知識・技能以上の部分!

何より楽しい!

という言葉になるでしょうか。表現力が足りない!

フィードバックの有用性はこちらの本でも注目すべき指摘でしたが、

www.yacchaesensei.com

スパイダー討論自体が、生徒にとって有効なフィードバックとして機能します。

ただのおしゃべりではなく、話し合いを通した問題解決に加えて、生徒たちが自己評価をすることができ、自らの成長の方向付けができる、内省できる洗練された仕組みです。これが本を読んで、実践もしてみた私の手応え。

「話し合いはチームスポーツ」 

「スパイダー討論は、書くことを学ぶのと同じで、繰り返しの練習を通して身に付けることができるプロセス」

 という言葉の通りです。

で、スパイダー討論って?

Synergetic(相乗効果)…チームで行う。チームバランスが大切。1回ごとにチームの成績をつける。

Practiced(練習し続ける)…継続的に練習し続け、振り返りを行う。

Independent(自立した)…教師の介入は最低限にとどめる。生徒たちは自分たちで話し合いを進め、自分たちで評価する。

Developed(発展する)…話し合いが深まり、それ自体も進化して常にどこかに向かっていく。

Exploration(探究する)…単なる話し合いではなく、話し合いをベースにした(テキストやカギとなる質問についての)探究をする。これこそが主要な目標。 

Rubric(ルーブリック)…生徒たちが自己評価できる明快で簡潔な評価基準表がある。これが討論全体の土台。

の頭文字をとったもの。 

いわゆるアクティブラーニングになると思いますが、一過性のイベント型アクティブラーニングもどきではなく、持続可能な仕組みです。

そして、この21世紀に求められるスキルの育成にも寄与してくれます。

ああ、具体的な報告をしないと伝わらないだろうなと思って書いているのでもどかしい!(笑) 

スパイダー討論のはじめ方

中途半端な紹介では誤解を招く恐れがあるので、スパイダー討論の準備をするポイントを少しだけ。詳しくはぜひ本を読んでみてください。

①ルーブリック(評価基準表)を作る

「授業を通して生徒のどんな学習成果と行動を見たいのか?」 

実際に原著者(高校教員)が使っているルーブリックや他教科・他学年での実践例も掲載されているため、自分の授業に修正して導入できる即応性はさすがの吉田訳本です。

②話し合いのためのテーマorテキストを選ぶ

生徒を引きつける記事・テーマ・動画・テキスト、この選定が教員の腕の見せ所の1つですね。

「大切なことは、生徒たちをよく知ることと、生徒たちが反応することに対して興味を示すこと」

討論のきっかけとなる質問を用意しておくこともあり。実際に自分で授業を計画してみて、この質問を質問づくりで作り出すことも面白い!と感じています。

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③はじまる前と話し合いにおける教師の役割はファシリテーター 

もはや観察者、と言ってもいいかもしれません。

ファシリテーターすら生徒に委ねることができます。

そしてその間、教員は1人1人と全体に対するフィードバックの材料を記録することができます。

本でも紹介されているスパイダー討論の記録例です。

https://blogs.milton.k12.pa.us/coachcorner/wp-content/uploads/sites/3/2018/02/Capture-e1518395463412.jpg

④話し合いのあとの振り返り

この振り返りが重要ですが、教員がリードせずとも生徒たちが自己評価を行うことができる、まさに学びのコントローラーを生徒自身が持つ仕掛けがあります。

スパイダー討論という仕組みが教えてくれること

「私たちが生徒たちに十分なフィードバックが提供できていないという事実です。このことは、私の経験によれば、私たちがしっかりと観察してから、そこで発見したことをフィードバックの形で確実にコミュニケートするという明確なシステムを持っていないことに由来します」

これは言い得て妙ですね。本当にこのことを胸に刻まない授業は本当にSたディサプリに代わられてどうぞ状態。

この指摘を可能にする優れた点の1つが、「コード化」ですね。

討論をコード化して観察することで、個々の生徒のデータが蓄積されていく

ことで、例えばポートフォリオ型入試・評価に対応する指導も可能になります。

おわりに 

生徒のテンプレのような感想を共有します。これが一番伝わる。

初めての体験でしたが、もっと続けたいと思うほど楽しくて充実した時間でした。自分の知識や想像力、積極性を存分に発揮しつつ、周りとの協調や人の意見をくみ取ったり引き出したりする力も必要とされるこの討論は、正に学びの集大成のようなものだと思いました。世界のどこへ行っても通用する学びをこれからもみんなで作っていきたいです。 

最高の授業: スパイダー討論が教室を変える

最高の授業: スパイダー討論が教室を変える

 

訳者の吉田新一郎先生も書かれているブログです。このブログも最強です。

projectbetterschool.blogspot.jp

★【実践した課題と可能性】を記事にしました!
www.yacchaesensei.com

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吟味もしているし、手法に飛びついているつもりはないけれど、やってみないことには反省も何も生まれない。それが現場の生徒の授業を任された一人の教員として果たすべき責任だと思っています。。。昨日よりもいい授業をしたい。