スパイダー討論の授業実践を振り返って感じた課題を中心にまとめます。
話の前提となっているのはこちらの記事です。
課題:内容面の探究はどう担保する?
スパイダー討論で重要な最初のプロセスは、ルーブリックを作成すること。
それを生徒にも配布して、討論の目標を全員がはじめに確認します。
※生徒から提案された評価項目を使えるようになればいいが、慣れてくるまでは教員が作成したルーブリックをもとに議論が進むはず。
本で示されているルーブリック例の項目のほとんどが、いわゆる「ソフトスキル」に言及するものです。
だから、それをベースに作るのだけれど、それだと討論自体がソフトスキルのためにはなっても、内容面の探究にはならないのでは?と思わされました。
特に担当する社会科や理科といった科目は、コンテンツベースになりがちです。
コンテンツの定着のないまま、ただ思ったことを共有するだけでは学習の効果は薄くなってしまう。
そうすると、「活動あって学びなし」という批判に晒されることになる。
スパイダー討論は、内容の探究も可能にする
討論のお題に対する探究はどうなっていくのか?そこで本を読み直すと、
スパイダー討論では「内容」を扱うことになります。第一次世界大戦が勃発した理由であろうと、細胞分裂であろうと、『マクベス』であろうと、それらを検討し、分析し、問い、そして自分たちなりの結論を得るという方法です。
アイディアが議論され、吟味され、磨かれることによって閃くように、生徒たちの内容に関する知識や理解が形づくられる様子を、自分の授業で、そして観察してきたたくさんのクラスで繰り返し見てきました。
まだ討論の形式に慣れていない+討論にかける時間が短かったためか、内容面の探究が深まっていないように見受けてしまったので、もう少しここは様子を見たいと思います。
あとは、生徒からのフィードバックを聞かないまま判断するのは尚早ですね。
スパイダー討論のポイントは、とにかく討論の時間を長く取ること。
高校生だと討論だけで40分は取りたい。
チャイムが鳴ったら、「はいスタート!」と言える状態が理想です。
ルーブリックの項目がカギを握る
と言っても、やはり内容との関連性を意識づけなければ探究どころか知識の定着にもならないでしょう。
討論をしている生徒1人1人につける「コード」の中には
「テキストに言及して討論を進める」
という項目があり、基本的なコードの1つとして使用が推奨されています。
これを活かすためにも、ルーブリックに「内容ベースの評価項目」を入れるべきだと感じました。
ただ、気をつけなければいけないのは、「個人の言動」に焦点を当てるのではなく、チームの働きかけとして評価項目を設定すること。
だから、「(個人が)海外の制度と比較した発言をした」という評価項目ではなく、
「チームで内容を深めるような発言を促しあった」などの形にする等の工夫が必要です。
あくまでチームの評価のためのルーブリックです。これを外してしまうとスパイダー討論のポイントを外してしまいます。
この辺りの課題もありますが、可能性も見いだすことができました。
可能性:討論の後に質問づくりを組み合わせる
という可能性です。
討論後、振り返りの過程で、
「討論を終えて今気になっていること、追求したいことは何だろう?」という問いかけを発し、ふせんに書かせて質問づくりを始めたら、面白そうですね。
もっとシンプルに「探究のための問い」を立てよう、という声掛けでもいける気がします。そこから探究学習をスタートする。その導入としてもスパイダー討論は使えると思います。
そうなるとどうしても授業コマ数との戦いになる気がしますが、場で授業を行う意味を考えると、生徒の時間を預かっている責任は重い。
そしてスパイダー討論は単元の導入でも、まとめでも使えるということも補足しておきます!
また実践を重ねてさらに改善を図りたいと思います。
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