ニッチな記事だけど、これは前々から声を大にして言いたかったことを書いてみた。
今朝は疲れて惰眠をむさぼりながらTwitterを開くとこんなツイートが。
授業研究に飢えている?
高校の先生がどうやって授業研究しているのか知らなかった、というのが正直なところか。twitter界隈で勉強熱心な先生が情報収集に余念が無いのは、研究的要素に触れたいという渇望感なのかも。
— 豊福晋平(GLOCOM) (@stoyofuku) 2017年11月25日
41年目の世界史Bの教員ですが、日々の教材の更新、新規制作に追われ、論文を書く学力はもともとありませんが、読む時間もありません。せめて、通勤電車の中で、全国の優れた授業実践を動画で見れたらと思うことがあります。 https://t.co/8IywsFsjWP
— 鈴木法仁 (@sekaishi_suzuki) 2017年11月26日
両方ともその通りだと思う。
というか、ユネスコスクールなんかは、加盟校同士の教員は横のネットワークがあって互いの授業実践を共有するプラットホームと仕組みがある。(英語だし実効性があるかは△だが)
これだけ、授業を受ける側に「いい授業の選択権」がネットによって与えられているのだから、授業を行う側も、どんどんナレッジを共有して授業改善しないと、完全に”おいていかれる”のは時間の問題だろう。
※自分は残り数年・数十年だからその波にのまれず生き残れるだろう、と考えている教員は控えめに言って絶滅したほうがいい。というか、そう断罪するのではなく、教員にそう思わせないような時間と裁量を与える行政が必要だ。それはまた別の話。
授業見学・観察の機会にて…
で、そのナレッジを共有する重要な場の機会は授業見学だ。
学校ごとに研究授業を行っているところもあれば、非公式的に教員同士の学び合いが機能している素晴らしい学校もある(前任校はこれが最高だった)。
さて、もしあなたが教員で、ある先生の授業を見学しに行くとしたら、教室のどこに行き、どういうふるまいで参加しますか?
ここからはEvernote様の手書き機能で解説します。←最強
①よくある構図
大体の授業見学といったら、こんな構図が当たり前だろう。
この構図では、誰を観ているだろうか?
授業を観る、といっても、観ている対象は様々だ。
当然だが、この場合は、授業をしている教員の授業運営を観ている。あるいは、その教員が繰り出す板書を見ているだろう。
一斉授業における、知識伝達に長けた教員の授業であれば、この形は有用だ。
教員という立場で観ながらも、生徒の目線で、授業を体感できる。
生徒たちの視界に入ることもないから、気が散らず、時間が経過するにつれて、その授業における生徒たちの素が見られるだろう。
教育実習生が授業を見学する際も、100%このような構図で見学してくれる。(立場上「邪魔にならないようにしよう、」と思うのが実習生だから仕方ないけれど)
②オススメ!する構図
私がオススメする構図は、これだ。実習生にもこの構図で見学することをお勧めしている。※点線は適当に入れました。生徒の間に近寄っていくということです。常に移動する経路ではありません
なぜか?
授業は、生徒の変容を誘うものだからだ。
授業の主役は生徒だ。
どういう表情で、どういう態度で参加しているか、
その1人をどう動かすか、その1人にあった働きかけを一斉授業の中で考える。
これが21世紀の一斉授業だと勝手に思っている。
つまり、個別化×協同化の学びの場づくりを、教員がどのように行っているか、を観るのだ。
そうなると、授業を運営する教員の発言というのもかなり絞られてくるはず。
必要最低限の指示や、合図になるからだ。個別化×協同化の学びにおいて、教員がだらだらと教科書に書いてあるようなことをしゃべることはない。
教員の立ち位置も黒板の前をうろうろ、する必要性も薄れてくる。
したがって、授業者も見学者も①のような場所にとどまる必要はないだろう。
むしろ、
- 教員の指示や話を聞きながら、生徒たちがどのようなふるまいをしているか
- 生徒はどのような表情で取り組んでいるか
- 学習が滞っていたりする生徒・グループはいないか
- 逆に非常にうまくいっていそうな生徒・グループはどうしてうまく行っているか
- そんな生徒たちと周りはどういう関係を築いているか
- 教員がそこにどう働きかけるか
などを観る。こんなに観られるのだ。①では、観られないだろう。
だから、教室の後ろにとどまっている必要などない。と思っている。
あと地味に意識していることは、授業者と対角線に動くことだ。
常に授業者の反対側にいるようなイメージだ。そうすることで、場合によっては、授業見学者だけど、アシスタント教員的な立場になることができ、観られる生徒が増えるからだ。
注意すべきこと
授業前に、②のような見学をしていいか、当然尋ねておくべきだ。
気心知れた関係の教員同士の授業なら、②は簡単に可能だろう。
外部の授業見学会や、一斉講義型の授業見学の場合は、②を打診すると断られるかもしれない。でも、一度粘って②の見学をしてみてほしい。
気付きが圧倒的に増えるはずだ。
そして、最高のメリットは、授業者へのフィードバックが圧倒的に濃くなる。結果、授業者に「そこは観えていなかった!」と感謝されることが増える。
そうなると、次もぜひお願いしますとなり、お互いにそれが増え…
そんな”理想的”な教員文化をつくっていけたらいいなあ、と、教員の一体感のあまりない個人プレー型の学校にて、思う今日でありました。