あっという間に期末試験シーズン。おそらく世の中の教員のみなさんも、「これを乗り切れば…」という思いで胸がいっぱいでしょう。
学期のまとめに行う授業アンケート
教員ほど「成果」を数値化しにくい仕事はないかもしれない。ただ、ある意味、それが教育の性質であり、市場原理に絡めとられてはいけない本質かもしれない。
※このあたりは内田樹先生の語りをぜひどうぞ。
だからこそ、自己研鑽に励まなければいけない仕事だ。
私は毎回の授業で”大福帳”を書かせているが、学期の終わりにはまとまったアンケートを書いてもらう。生徒からのフィードバックはお宝だ。
一度授業を見学した先生からもらう言葉ではなく、手ごたえのあるときもないときも一緒に場をつくってきた生徒から学ばずして何が自己研鑽だろう。
とはいえ、日々の授業や業務に忙殺されながら、授業アンケートを作るのはなかなか大変だ。以下はより実践的に作り方に言及してみたい。
何を使えば効率的に作れる?
結論から言うと、紙よりも私はGoogleフォームを使う。なぜか?
”よのなか科”の藤原先生の記事でも、こう言っていた。
Google Classroomで大福帳が成功してる(感覚)理由はこれだ。
— やっちゃえ先生 (@Yacchaee) 2017年11月1日
以下引用
「ICTというのは、児童生徒が考えたことや、質問や疑問、あるいは評価を、教員側にフィードバックする、情報を逆流させる装置なんです。それをやらないで何がアクティブなんですか、と私は言いたい。」 https://t.co/DFJGHr3PO7
まさに「情報の逆流」「教員へのフィードバック」を実現させる手段として、これほど便利なものはありません!
Google フォームによる授業アンケートのすばらしさや、具体的な手順についてはまなびと!先生のこちらの記事が大変わかりやすく、丁寧にまとめてくださっています。
何を聞くべきか?~4つのコツ~
「聞き方」は超重要だ。質問の言葉一つ、流れ一つで、調査結果は大きく変わってくる。私が意識しているポイントをまとめておきます。
①学習活動を具体的に分ける!
例)レクチャー、ディスカッション、ペアワーク、大福帳
など、活動の対象を明確化すること。これは先生によってどういう学習活動で授業を設計してきたかが異なるので、一概には言えないが、原則としては言えるはずだ。
改善点を見出すためにアンケートを取るのだから、授業の「どの部分が、どうだったか」を聞きださねばならない。
どうだったか、を具体化しすぎると、質問項目が増えすぎて丁寧に答えるのがめんどくさくなってしまう恐れがあるので、私の場合は「どの部分」だけ明確にして、「どうだったか」は自由記述で質的に回収している。
ちなみに今回私の授業で行ったアンケートでは、レクチャーの満足度は95%を超えたが、ペアワークと大福帳は80%程度にとどまり、量の負担を訴える声や、活動のアウトプットの明確化を求める声があがっていた。いろいろ言いたいけどここでは我慢(笑)
②“魔法の言葉”で具体的に書かせる!
先に述べた自由記述の質的な部分。
「感想を書いてください」では何を書いていいかわからず、
「よかった」と答える生徒が出てしまう。
これを生徒のせいにするのはたやすいが、一工夫が必要。
私が使う魔法の言葉は
「思ったこと・感じたこと・考えたこと・気付いたこと」
だ。場合によっては、「学んだこと」「ひそかに思っていたこと」という言葉を混ぜたり、入れ替えたりする。
述語に幅を持たせると、生徒はどこかに引っかけることができる。
③程度の選択肢は4択で!
例) 不満・やや不満・やや満足・満足
この4択にすれば、傾向を把握できる。3択や5択だと、「どちらでもない」や「普通」といった”真ん中”を選ぶ生徒が増える。
何度も言うが、自己満足のためのアンケートではなく、改善のためのアンケートなのだから、傾向をつかめなければあまり意味がなくなってしまう。
④マイナスなことだけを書かせる設問をつくる!
例)改善してほしいこと、理不尽だと思ったこと、不公平だと感じたこと、もやもやしたこと
もちろん、匿名で書かせるので、誰が書いたかはわからないことや、「特にない」は私が思い上がるだけだから何か見つけて書いて、などの声かけをします。
これを聞くのはこちらのメンタルが試される(実際、容赦ない生徒もいる)が、
ココを見つめなければ進歩はない。と思いドキドキしてこの欄を見ます…。
ちなみに、プラスのこと(いい言葉)は、
アンケートの最後に「自由記述欄」を作っておけば、書いてくれる生徒はそこにしっかり書いてくれます。(ここで傷ついた心を癒す)
だから、マイナスをきちんと吸収しようとする設問を作ります。
おわりに
遊び心で、
「後輩に、『この授業どうでしたか?』と聞かれたら何と言う?」
みたいな設問も入れておくと、楽しんでくれます。笑