やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

質の高いフィードバックをいかに実現するか?〜参照すべき本・実践を教えてください〜

生徒とやりとりしているか…?

Man in Brown Long-sleeved Button-up Shirt Standing While Using Gray Laptop Computer on Brown Wooden Table Beside Woman in Gray Long-sleeved Shirt Sitting

1学期は教員ー生徒間の「振り返り」の機会がなかなか担保できませんでした。

※私の授業ではGoogle Classroomでオンライン大福帳を使っています。40人の授業を複数クラス持っている中でたどり着いた、できる範囲での最善策だと思い継続しています。

www.yacchaesensei.com

一斉授業の運営とプロジェクト型学習のサポートで手いっぱいで、満足いく個へのフィードバックができていなかったと思います。

言い方悪くすると、個人個人を、数として“集計した”授業デザインであったことが多いと反省しました。

なので、

9月からは、「集計された個」を解きほぐすために、

  • ①「教員ー生徒」間 での個への大福帳フィードバック
  • ②「生徒ー生徒」間 でのピアレビューや対話

などの活動をもう一度丁寧に行いたいと考えていました。

そこに、今日岩瀬先生が書かれた記事を読みました。

iwasen.hatenablog.com

学ぶべきことは無限にある 

「生徒同士のピアレビューの質を高めるにはどういう仕掛けが必要か?」

という春からの問題意識に、ヒントを与えてくれる内容が載っていて思わず『みんなのきょうしつ』注文しました。

②フィードバックのルール例  ←これも職員で作ればよい。

例えば↓

0、私はあなたの振り返りに関心があります!一番いい読者であり続けたい、という構え。
1、あなたの話をこう理解しましたよ。と受け止める。
2、言いたいことは「一緒に考えたいオープンエンドな質問」に置き換える
3、共感できることに「いいね」を押す
4、教えない。どうしても教えたくなったら、資料として紹介する。
5、ユーモアを入れる。
6、読んでいて思い出した自身のエピソードを語る。
7、感じたことは素直に伝える。
8、自身も読むことで振り返り、一緒に「成長していく」という構えを持つ。
9、本質的な問いを探す。
10,文献やリソースは積極的に紹介する。
(さじ加減は「依存を生まない」「受け身にさせない」学習者へと誘導する。) 
11,よい鏡であること。鏡を見れば学習者は気づく力がある。 
 (『みんなのきょうしつ』より)

日常的&継続的なリフレクションプロジェクトの提案。 - いわせんの仕事部屋

高校生だから、ガイドラインなどなくても一言注意喚起すれば「建設的なアドバイス」できるだろう。と高を括っていました。

けれど、大福帳で回収された振り返りの中には

「私の場合は、文句とかただの感想のようなコメントだけで、原稿を改善する参考にはならなかった。先生から強めの指示が欲しかった」というものがあったことを覚えています。

岩瀬先生の記事はその状況にヒントを与えてくれる内容でした。

学校として取り組むべきこと?

留学していた際の授業で「建設的な対話のための表現」を徹底して訓練したことを思い出しました。
"I agree with you, but~"とかそういう類の、議論のための表現です。
冗談めいて訓練していたけど、意識して訓練しなければ、建設的なフィードバックにならない危険性があります。(当たり前の話をしているのが恥ずかしい)時間数を言い訳にそこをやらなかったのはワタシ…

ただ、同時に建設的なフィードバックのルールなどは、一授業ではなくて、学校単位で行った方がよっぽどいい。そうすればどの授業でも使える学びの土台になるわけです。

この前も保健の先生が「保健じゃない学びのルールの指導に時間使ってるから本当に勿体無いと思うんだよね」とボヤいていたなあ。

カリキュラム・マネジメントの有用性をここでも感じます。

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おわりに 〜アマルティア・セン〜

企業→中高一貫→高校と来て、小学校の免許も持っていないこともあって、恥ずかしながら小学校関連の書籍はあまり参照して来ませんでした。(言い訳)

【お願い】「振り返り」「フィードバック」に関連した読むべき本・記事・論文ありましたらコメント欄等でぜひお教えいただきたいです。

あのアマルティア・センは、マクロな経済指標に「集計された個」を解きほぐしたことでアジア初のノーベル経済学賞を受賞しました。

今教員に求められているのもそういう役割だと思っています。

一斉授業の枠組みの中で、教員として全体を動かすことが必要であると同時に、個を個として接する。

教育の文脈でもっと平たく言い換えてしまうと、例えば、生徒一人一人のいいところを自分の言葉で語れるようになる

授業を通して、そのような教員と生徒の対話ができれば、と思っています。特に今学期は、そのためにより時間を使っていこう。コンテンツの研究と生徒との対話の両輪。

どっちが大事か?なんて問い方のマジックには陥らないように、そのために時間を捻出します。