「Google Classroomを使った大福帳」の授業実践についてまとめておきます。※実際に使っているページのスクリーンショットも掲載しています。
大福帳のない授業は今は想像できないくらい、授業の核になっています。
2020.4/7 追記:記事の内容を一部Googleアップデートに合わせて修正しました。
新型コロナウイルス拡大に伴う休校対応でZoomと掛け合わせて使用しています。記事はこちら↓
2020.4/12 追記:教員目線でかゆいところに手がとどく解説をこころがけました!
使い方の記事はこちら↓
授業以外で生徒とのコミュニケーションの場をどう確保するか?1つの提案記事↓です!
そもそも大福帳とは?
一言で言うと、生徒が授業ごとに書く「振り返り用紙」です。
Webで大福帳のテンプレートも公開されている早稲田大学の向後先生のHPをご覧いただくと、概要・メリットがつかめます。
学生は、授業のたびに大福帳に5行程度のコメント(字数にして125~150字程度)を書き入れ、 教員に渡す。教員はそのコメントに短い返事をつけて、次の授業開始時に返却する。このことにより、出席促進、積極的な受講態度、講師と学生との信頼関係の形成、授業内容の理解と定着などといった効果があることが確認されている。
私は公開されているテンプレートを元にして、高校向けに修正を加え、紙で実施していました。
それを現在は、Google Classroomを利用して、つまりオンラインで大福帳を書かせています。
Google Classroomでどう行う?
まず、クラスの作成等の初期設定は本当に数回のクリックで完了します。
学校単位でgoogleアカウントを導入していない場合でも、6桁のクラスコードを生徒に伝えて各自入ってもらうようにすれば、生徒のアドレスを手打ち入力して招待する必要もありません。
※Google Classroomの基本的な使い方についてはGoogleの動画付きページをご覧ください。
私の場合は授業ごとにその日の授業の「スレッド」を立てています。
これは教師用の画面ですが、こんな感じで表示されます。
これは「質問」機能を使って出した日の授業で、左側がすでに提出した生徒の人数、右の数字がまだ書いていない生徒の人数を示しています。
※「課題」機能では、出した課題を生徒同士で見られなくなるので、生徒同士でみられるようにしたい、相互レビューをさせたいなどの場合は、課題ではなく「質問」機能を推奨します!
提出状況も一目瞭然です。名簿を片手に提出物チェックも全く必要ありません。
生徒はこのスレッドをクリックし、自分の回答を入力して送信ボタンを押すだけ。
やっていることは本当にシンプルです。
なぜオンライン?
オンラインにすることで生じるメリットを書き出してみました。私が日々実感しているメリットです。
こうやって書いてみると、本当にメリットを享受していることを実感しました…
①生徒が好きなときにも書くことができる(学びを「教室」に限定しない)
登下校の最中や、家に帰ってからも書いて提出することができるので、
日常と授業の学びを繋げた記述が増えます。
例えば、選挙についての大福帳では、家庭での選挙に関する会話を書くなど、家庭での様子も見えてくる内容で、生徒個人を知るという点でも有益でした!
②生徒も教員も返信しやすい(返信文量・内容の質ともにUP!!)
次の授業までに返信するとなると、紙であれば1枚1枚手書きで書かねばなりません。数百人ものシートに書くと、だんだん短くなり、字が乱雑になってしまいます。
オンラインなら、音声入力も可能です。Googleの音声入力はかなり優秀なので、特に不便を感じることなく、サクサクと進めることができます!
③教員の回収・返却の手間が省ける(授業時間の有効活用!!)
紙を毎授業で回収し、返却するというルーティンは面倒です。
オンラインならその手間が省け、授業時間を無駄にすることがありません。
④生徒も教員も紙の管理をしなくてよい(紛失なし・追加印刷なし)
紙大福帳時代の経験でも、紙だと必ず「なくした」生徒が出てきます。
また、人によって書く量が違うと、2枚目に突入するタイミングも異なり、その都度紙を配布する手間が生じました。 その心配がありません。
Googleのページでうたわれているように、本当にワンストップ・サービスです。
⑤紙のように枠がないので書きたいだけ書ける(枠にとらわれない)
紙だと、書きたい生徒の書きたい意欲を「枠」で削いでしまうことになります。
大福帳のいいところは、生徒個人の意欲に応えることです。「できない」生徒の把握はもちろん、特に「できる」生徒の学びたい意欲に応えることができることです。
意欲のある生徒は、授業内容に関連させた内容を書いてきます。その時に、リンクを掲載して、「こういう話題に対し皆はどう考えますか?」と発展的な問いをクラス全体に投げかける生徒もいます。
こうした学びの意欲を発露させる機能は、紙では難しいです。
⑥生徒も教員もリンクや画像を掲載することもできる(内容の質UP!!)
上に書いた例のように、学びの幅を制限せず、それぞれの興味関心を生かす場になります。学びの個別化を特に担保する仕組みです。
⑦生徒間の学びあいができる(他者の考えに刺激を受け学びの幅が広がる)
紙の大福帳では、友人と考えを交流させる機会は意図的に用意しなければありません。
他者の視点によって、学びが深まる。
そんな学びを可能にするのがGoogle Classroomには備わっています。
実際に、生徒同士でオンラインディスカッションが始まることもあります。この長所を取り入れたい場合は「質問」機能を使ってくださいね!
プライベートは守られる?
時には、自分の書いたコメントが周りの友人に見られたくない、という生徒もいるはず。そんな時も、「限定公開コメント」機能があるから大丈夫!
どこかの公文書みたいになってしまっていますが、実際の生徒から出された大福帳。
この生徒は、公開される欄には「わ」と適当に入力していますね。
本当に書きたいことは下の「限定公開のコメント」に入力しています。こうすることで、クラスメイトには見られたくない個人的な内容を書き分けることができます。
この機能は思ったより重要で、生徒の心理的安全性を高めています。
ただ、合わせて伝えたいのは、「限定公開に書く場合は、公開される欄には『限定公開に書きました』など一言かいておくこと」などの指示を出すことです。
この指示を出さないと、限定だけに書いても未提出扱いになったり、友人のコメントが見られなかったりしますのでご注意ください。
ポートフォリオになる?
1回1回書かせることで、学びが蓄積され、自分の学びを客観視できる。
メタ認知の向上に寄与するのも大福帳の魅力です。
紙であれば、自分の学びが1枚の紙に集約されるので、一覧性が高く、すぐに自分の過去の記録を読み返すことができます。
オンラインだと、一覧性が低く、記録としては不向きなのではないか?という心配がありましたが、それもGoogle Classroomであれば問題ありません。
例えば、ある生徒の昨年度の記録を教員も見ることができます。こんな感じ。
スレッドをタップすれば、その日に書いたことが表示される仕組みです。
要するに、生徒が自らの学びを記録することで、
学んだ内容を振り返るだけでなく、自らの思考の跡を残すことで成長を確認できる材料となる。
これがポートフォリオの考え方のベースと共通するでしょう。
さらに、多くの生徒を受けもつ教員が、
生徒1人ひとりとの濃いコミュニケーションを取ることができます。
おわりに
生徒の学びの個別化を実現し、主体的・対話的で深い学びに誘う手段として、Google Classroomの大福帳は有効に機能します。
個人的にも、この大福帳があるからこそ、生徒との信頼関係づくりがよりしやすくなったと思います。生徒の満足度も非常に高いです。
この記事が、先生方のよりよい授業実践を作るヒントになれば幸いです!
追記:新型コロナウイルス拡大に伴う休校対応でZoomと掛け合わせて使用しています。記事はこちら↓
授業のオンライン化ではこういう点↓も重要だと思います。
Google Classroomの使い方(2020.4/12更新記事)をアップデートしました!
授業以外でのコミュニケーションの場をどう作るか?1つの提案です。