やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

教えない授業で用語を楽しく定着させてみたら威力が絶大だった話。

children's day

先日こちらの記事を書きました。

yacchaesensei.hatenablog.com

このブログをお読み頂いている方は同業者の方や保護者の方、教育に興味のある方が多いと思うので、手の内(そんなに手数はないが)はなるべく公開しています。というか、それ(生徒の学びの共有、教員の授業手法の共有)がスタンダードになる時代が必ず来ると思っています。※教育界に少しでも貢献せねば、と青臭いことを言っておきます。

で、こちらの記事に書いた授業内容を実践してみたのです!

 

◯簡単なおさらい

授業の流れ・仮説・目的を簡単に今一度整理しておきます。(青字箇所=追記

①教科書の1単元から用語を25個(単元によって変わる)用意する。

②その25用語が答えになるような一問一答を生徒につくらせる。ここで、10問ごとに区切ってペアを組んで、問題を出し合い、お互いの問題文がうまくできているかをチェックさせました。

③ビンゴカード(4×4)に単語を記入させる。

④席を立ち、友人とペアを組み、自分の作った一問一答から問題を出し合う。そのときは、自分の作った一問一答を見ないで答えるように指示しました。

何も見ずに答えられたらその用語のマスを塗る(マスになければ何もしない)なお、見て答えた場合は「塗らない」ように伝えました。あくまで、「用語の定着」がこの授業実践の目的だからです。

⑥またペアを変えて、問題を出し合う←これを繰り返す

で、制限時間内にいくつビンゴができるかを競う、というものです。 

作問できる≒答えとなる用語を理解している、という図式が成り立つと言う仮説のもと、授業を組み立ててみました。目的は「用語を楽しく定着させる」です。

◯実際にやってみてどうだったか!?

【成果が得られたこと】

全員が目標を持ち、その達成に向けてそれぞれが学んでいる教室が実現できた。

②教員が話したのは5分程度で、生徒たちが主役だった。

③用語の意味を生徒たちが確認し合う学び合いが自然発生した。

④その上で、教員に出してくる質問の質が非常に高かった

⑤問題を自ら作り、ペアで確認し合うことで、「何が良い問題で、何が改善を要する問題か」を自分たちで認識できていた。速さは異なれど、全員作問できていた

生徒同士の人間関係の構築ができる。学級運営にフィードバック可能。

作った問題がそのまま家庭学習・試験対策に活用できる。ひとつの勉強「方法」として生徒の中にこれからも残る(これが結構生徒にとっては「お得」感を生み出しているのかもしれない)

などなど、整理しきれませんが、手応えを感じる実践ができました。一方で、

【課題だと感じたこと】

本当に全員の全ての問題がきちんとできているかチェックしきれない。なお、全体で生徒に伝えた問題づくりの唯一のコツは「答えを限定できる問いになっているか」、ということです。

②授業時間内に作問しきれなかった生徒へのフォローが足りない。→授業後に簡単な感想フォーム(用語の定着が図れそうか・授業で苦労したこと)を書かせてみようと思い立ちました。

③問題を出し合う時間が、ある種の早押し大会のようになり、本質的な理解が深まっているかの確認ができないケースもあった。

教科書以上の広がりをもたせる授業時間が減ってしまった。(これは始めからわかっていたけれど、やってみてもどかしさも感じるのが教員の性でしょうか。笑 でも逆に、こういう授業をすることで教員の説明が精選され、生徒のニーズに応える内容になっているとも思えました。)

◯おわりに

生徒は本来「身の程知らずに伸びたい存在」!身の程知らずに伸びたい生徒の様子を実感できる授業をこれからも!