やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

いつでもどこでも学べる時代に学校はどんな役割を果たすのか? ーコロナが生徒の科目選択に与える影響ー

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来年度の科目選択を本格的に考える時期を迎えた生徒たち。

色々な迷いを日々聞かせてくれますが、生徒の会話からとても考えさせられたことがありました。

どの授業を取るか?

この問いを考えるにあたって、よく生徒たちが判断基準に上げる要素は

  • 受験に必要かどうか
  • その科目を面白いと思えるか
  • 担当教員はだれか
  • 単位数と負担感は釣り合うものか
  • 努力が報われると感じやすいか(成績が取りやすいか)

あたりでしょうか。こうした情報を先輩に聞いたりして、各自の選択科目を決定していくのは例年と同じで、依然として重要な要素になっています。

しかし、コロナ禍を経験している生徒たちの会話は、これらに加えて例年と違う要素を孕んでいました。

取らなくても学べる

それは「学びたければ自分で学べるもんね」という自学への意識です。

もちろん、経済的な余裕があれば、これまでも塾や予備校を利用するなど、学校で履修せずとも自分の(受験の)ために学ぶことはできる状況ではあります。

しかし、そういう「受験のための高額な費用を必要とする塾や予備校」という意識は、スタディサプリなどの存在によって、ある程度薄らいでいるように感じます。

www.yacchaesensei.com

さらに、コロナ禍での経験によって、いっそう「やろうと思えば自分でやれる」という意識が生まれているような雰囲気を、生徒の会話を聞いて感じました。

課外活動はオンライン化が加速

そうした意識の変化は、課外活動の面でこそ強く感じられるのかもしれません。

部活動の再開は学校によってペースの違いはあれど、まだ全面再開とはいかない状況が続きます。感染が増えるとされる冬場を迎えることを考えると、年度内に全ての部活動がコロナ前のように再開とはとてもいかない状況でしょう。

そんな中、高校生向けのイベントもオンライン開催がむしろデフォルトになっていますよね。

(このサイトは知っておいて損がないと思います↓)

kininarukotomatome.com

生徒たちの情報網も格段に広がっています。

学校の営みを相対化、比較した上で、自分で機会を取りに行く流れは加速すると考えています。

その背後にある教育格差には目を背けられませんが、自分の頭で考え行動する生徒を支援する「教育」としては、むしろ喜ばしいことかもしれません。

自分の思考を反省する

そう考えると、自分がこの前生徒と話したことは反省せねばならないのです。

というのは、いわゆる「文系」の高2で「数学も歴史も取りたい、古典もしっかり取らねばならない、どうしよう」というような相談です。

確かに色々な可能性を提示したり、質問をしながら一緒に考え、「全部取ればいい」ということも含めて考えたのですが、最終的に私は

「社会科学を大学でやっていこうとするなら、2年で履修している歴史を3年でも履修しておいた方が大学以降の学びの素地ができるよね」

というような言葉を発しました。

間違いではないと思うのですが、学ぼうと思えば歴史を自分で学ぶ手立てはたくさんあるわけです。わかりやすい解説本や、無料で観られるような動画も多い分野ともいえます。

2年で履修しているから、というように地続きで考える科目選択を前提にしすぎているような気がしました。

むしろ、通りがかった3年生は「取らなくても自分で学べばいいし!」と言っていたけどその通りだよね。自分で学ぶための力を高めるための学校にしていきたい。

色々他にもあるんだけど、反省。

むしろ言うべきことは 

この学校で取るべき授業、ってなんだろうね?

という問いだったでしょうか。

この学校の、このメンバーと、教員とで学ぶ意味を一番感じられそうな授業ってなんだろうね、でしょうか。

いつでもどこでも学べる時代になったのだから、自分で勉強できる科目は自分で勉強すると決めて、学びを自分で作っていく力

学校をそういう力を育む場所にしていかないといけない、とも思うのです。

それは翻っていえば、学校を絶対化した教育はできない、ということを意味します。

一方で、学校以外の機会を選べない生徒の存在も忘れてはいけません。

学校以外の選択肢が開かれていることは、学校がより良い学びを作らない、現状維持で良いということを意味しません

その学校で教えることの意味を感じつつ、自己研鑽しないとな、と思わされました。

学校の役割とは?

このように考えると、いつでもどこでも学べる時代で、

学校は学校の持つリソース(一番は生徒と教員の持つ力)を最大限いかし、

そこでしかできないことを積極的に仕掛けて行く場になること、が求められるのではないでしょうか。

個人的には、Blended Learningも最近は準備に限界を感じ、部分的な運用になっていますが、

コロナ=教育・学習観をアップデートする機会として捉えないと、やっていけませんよね…汗

www.yacchaesensei.com

おわりに

大学入試も今年度から大きく変更がみられるタイミングです。

例えば早稲田・政経の新入試、ご覧になりましたか?

www.waseda.jp

受験の方式もどんどん多様化しています。

自分で自分の学びを考え、作り上げられる生徒の力を伸ばすことが、学び続ける力を高めるのではないでしょうか。