西洋哲学が面白い。いや、哲学は面白い。「倫理」の授業で主に扱っている内容でもあり、哲学者の考えに触れるたびに新しい発見があります。
学べば学ぶほど哲学者が
「過去の先人が導き出した原理を、⑴時代の中で⑵どう受け止め、⑶どう立ち向かうことでより普遍的な思想を打ち立てたか?」が繋がってくるのです。
※講義形式の授業をする際は、⑴〜⑶のポイントを哲学者ごとに確認して進めています。
これが西洋哲学の面白さであり、意義だと心から実感します!今も授業を担当していて、あまりにも面白いので、オススメ本として紹介します。
その前に1つだけ。
哲学者と話をしてみて
現役バリバリの哲学者、と言ってもいいと思う苫野一徳先生とお話したときにおっしゃっていたことを思い出したのですが、
-
日本の哲学研究は、〇〇研究者というように思想家の研究をすることが多い
-
それゆえか、学会でも「〇〇はそのような言葉の使い方はしていない」など専門用語の議論に陥りがち。
-
つまり、哲学者が哲学そのものを見ていない。哲学の意義をつむぎだそうとしていないように見える。
という話が印象的でした。
この観点から、個別の哲学者について平易に解説した本、というよりは、
「哲学」の意義を編み直している本、哲学の意義に意図的に言及している本に特化してオススメしたいと思います(そうういう他の記事はあまりなかった!)
時代を俯瞰して、哲学の力強さを感じられる本です。「哲学は答えも出ない問いをぐるぐる考え続ける分野ではない!」と教えてくれる本です。
では一気にいきます!
①まずは竹田青嗣先生から。これは中学生でも読めます。哲学・宗教・科学、という大きな枠組みから、哲学を捉え直す一冊。随所に竹田先生の「欲望論」の考え方がにじみ出ていて、それも納得度が高いです。

中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ (ちくまプリマー新書)
- 作者: 竹田青嗣
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 185回
- この商品を含むブログ (27件) を見る
②哲学史を学ぶならこれは超オススメです。基本的に時代順ですが、例えば、ヒュームーカントーフッサール、と繋ぐあたりなど、新しい切り口に思えるかもしれません。
そして、その切り口によって、哲学の意義が生き生きと浮かび上がってきます。
③哲学入門、といえば最近話題の飲茶さんによる本。こちらも分かりやすく、一人一人の哲学者を丁寧に繋いでいく見事な解説書です。
初心者の方は、竹田先生の②にいく前にこちらから入った方がいいかも。
④ ③の東洋編。東洋哲学を西洋哲学に対置して平易に解説した本は斬新でした。

史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫 や 33-2)
- 作者: 飲茶
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/10/05
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
⑤お次は西研先生。竹田先生と同じく、哲学の意義を実感することができます。こうやって哲学の意義を解説できたらいいなあ、と読むたびに思わされます。
ちなみに竹田先生と西先生は「盟友」なので、お二人の本は相乗効果が高いです。

集中講義 これが哲学!---いまを生き抜く思考のレッスン (河出文庫)
- 作者: 西研
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/11/05
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
⑥西研先生の本で、より「問題」ベースの本がこちら。ふと思う哲学的な疑問へのアプローチの仕方が主眼です。⑤の後の方が理解度は高まるはず。
⑦ ⑥の本と似ていて、哲学的な問題に対し、生徒たちが対話形式で学んでいく平易な本。難しい思想や哲学者は出てきません。物語のように読み進めたい人はぜひ。
⑧ふとした疑問から哲学を、、という点では、やっぱりこの名著をあげないわけにはいかない…。言わずと知れた名著。プレゼントでも選ばれる本だそう。
⑨問題ベースで哲学をしたい、と思った時に、今現代の哲学者たちがどのような問題を抱え、どのような思想を打ち立てようとしているのか、をチェックするには最適だと思います。厚さの割に、肉厚な解説。図解も分かりやすいです。
※こちらの本は書評記事もかいていました。
⑩現代の、と言ったので、発売が最も新しいオススメはこちら。「若い読者のための」シリーズは世界史もかなり良かったので、読んだのだけど、こちらも面白かった。翻訳もあり多少難易度は上がるので、他の本のあとにぜひ。

若い読者のための哲学史 (Yale University Press Little Histor)
- 作者: ナイジェル・ウォーバートン,月沢李歌子
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2018/04/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
⑪最後の2冊は冒頭で紹介した苫野先生の哲学関連書から。この本は、かなりすごいと思っています。竹田先生のお弟子さんでもある苫野先生が、哲学者の打ち立てた普遍性の高い思想・原理を使って、哲学のエッセンスを伝えてくれます。
苫野先生も竹田先生もそうですが、哲学者の原著の読書量が違いますね(笑)
⑫最後だけ少し骨太な哲学書をあげてみました。
「自由」の本質に迫る論考です。大事なことを、なんども噛み締めながら、次に次にじりっじりっと思考を進める感覚が、ミステリー小説のよう(言い過ぎ)です。
キャッチーな紹介をすると、「やりたい放題やることはなぜ自由ではないと言えるか?」という問いに答えられないな、、と思ったら読んでみてください。哲学の思考の強さを実感します。

「自由」はいかに可能か 社会構想のための哲学 (NHKブックス)
- 作者: 苫野一徳
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/06/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (8件) を見る
おわりに
本当に自信を持ってオススメしたい本なので、書いてて全く苦にならず、むしろ読み直したい〜〜!!と思い直しまくりました(笑)
ちょうど竹田先生の最新インタビューが上がっていたので、あわせてどうぞ。