やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

「推薦状」という教員の隠れた重い仕事 〜学校として仕組みを整えたい〜

今日は日曜日ですが台風の影響もあって推薦状をバシバシ書いた1日でした。それでもなかなか終わらないんだよなあ。

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なぜ推薦状が多くなるのか?ー一般的な要因ー

かなり字数をしっかりと書くように求める推薦状が増えています。代表的なのは慶應 SFCでしょうか。早慶上智はいずれもなかなか文量があり大変です。さらに、

  • 2通以上の推薦状を
  • アカデミック科目を担当した教員が書く

というケースが多くなっているように思います。海外大学の出願に準じているのかもしれませんが、まず前提としてこのような状況があります。

その上で、勤務校の要因と、私個人に帰着する要因があります。

勤務校の要因

  • 国公立受験を推奨するような進路指導をしない
  • 多様な活動をしている生徒が多く、私大の推薦入試利用率高め
  • 少人数制かつ選択科目が多い私立高校

という状況がまず前提としてあります。その上で、

  • 教員に占める非常勤の先生の割合が高い にもかかわらず
  • 担任が自クラス生徒の授業を持たない こともある

という特性があるため、「Aさん」という生徒個人を深く知る専任教員の数が限られます。

非常勤の先生に書いていただく場合もありますが、基本的に契約外の仕事になってしまうので、学校としては基本的に専任教員に頼むように言わざるを得ません。

さらに、

  • 進学校ゆえ受験科目はガンガン講義をせざるをえない

ため、例えば2年間世界史を担当した教員であっても、生徒とのやりとりがそこまで多くない授業だった場合、生徒との関係が濃密ではない、というケースも見られます。

私個人に帰着する要因

ここまでの内容を生徒目線でまとめると、

アカデミック科目を担当した、自分のことをよく知っている専任教員に2通以上書いてもらわなければいけないが、担任が一番いいわけではなく、非常勤の先生の授業も多かったので、なかなか見つからない。

と言えるでしょうか。

私は今年度3年担任ではないのですが、それなりに書かせてもらっている個人的な要因を考えてみると、私の授業では(棚上げご容赦)

  • 大福帳でのやりとり 
  • 学力の3要素を育成するための様々な学習活動とフィードバック 

を意識しているため、生徒にとっては、割と負荷重めの授業(聞いてるだけの負荷の少ない授業ではない)であるということ。そして何より、

  • 全員が必修の授業を担当していること

で、多くの生徒にそれなりに関わらせてもらっていることが挙げられます。

なので、担任をしている学年でもないのに、相対的に抱えている推薦状の枚数が多くなっている、と自己分析しています。

でも、多い先生は20通を悠に超えている気がします…多くない??

推薦状を書くと言うことは 

ありがたいことなのだけど、業務の性質としては見えにくい労働す。

生徒が内々に教員に話に行って「OK」をもらえばそこで業務が発生するため、

どの生徒がどの教員に推薦状を依頼し、教員が何通抱えているか共有されません。

の割に、時間と熱量は必要、ミスも許されない仕事です。

教員が担当するのは当然なのだけれど、年度によって数は異なるし、「担任すれば誰だって多くなる」と経験則が一般化して語られがちで、実態が見えていない。

なので、まずは年度ごとに担当枚数であっても数値化してみたい。

先生に書いて欲しい!」と願う生徒を断りにくいのは多くの教員が理解できることでしょう。信頼して依頼されるのだから、嫌な気持ちはしない。

同時に、「その生徒により良い進路選択をしてほしい!」と願い力を尽くしたいのも教員。でも日々の授業やその他諸々業務もある。悩ましいところです。

どういう組織的対応をしたらいいか?

学校として推薦状依頼の際に、

①生徒はこういうルールを守る

②教員はこういう運用・原則の下動いている

などの取り組みがあれば、その実態が知りたい。

こういう痒いところに手の届くような民間事業者の働きが欲しい。(B社に聞いてみることになるのかしら)

私学はタコツボ化しやすいけど、同じ悩みを抱えている学校・先生っていると思うんですよね…何かご存知のことがあればお教えいただけると幸いです

※個人的には18分集中法を使いつつ、生徒面談→一気に下書き→寝かせて再度読み返し修正(行間あけて印刷してチェック)→修正 という流れで書いていきます。普通のやり方だと思います。○時間で書く!と決めたらそれ以上時間を使わない、という工夫は同僚の先生方もしているそうです。ベストではないんだけど。

おまけ 今読んでいる本

今この本を読んでいるのだけれど、吉田先生の増補解説が関連本を読んできていることもあって大変納得度が高い。ただ、活動ベースで見ると「小学校っぽい」(表現が悪い)と思ってしまったりして、抽象化しつつ読み進めないと単なる事例集になってしまうから注意。

増補版 「考える力」はこうしてつける

増補版 「考える力」はこうしてつける

  • 作者: ジェニウィルソン,レスリー・ウィングジャン,Jeni Wilson,Lesley Wing Jan,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2018/02/09
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