秋から特にオンラインクイズ(授業後の小テスト)の頻度を増やしています。
その効果や方法、実践の記録をオススメ本と一緒にまとめます。
小テストそのものは目新しくはないけれど、なぜ効果があると言えるのでしょうか?
小テストの効果を示すソース①
例えば、以前紹介したこの意欲作(訳者の山森先生に感謝!)。
教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化
- 作者: ジョンハッティ,John Hattie,山森光陽
- 出版社/メーカー: 図書文化社
- 発売日: 2018/02/20
- メディア: 単行本
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「テストの頻度/テストを行うことの効果」として小テストに関する先行研究分析が掲載されています。(p177-179)
同一項目のテストの結果を比較した結果、短時間で行うテストを多く受けた学習者の方が、長時間で行うテストを少数回受けた学習者と比べて得点が高い
他の要素や学齢も影響するため、これだから小テストがいい、という結論を直線的に導き出すことはできません。訳者も、そういう読み方はしないでね、と言っています。
ただ、面白いな、と感じるのは、
テストの回数そのものが学力に影響を与えるということではなく、テストを多く受けることで学習目的と到達基準が明確化され、わかりやすくなるためである
という分析。
生徒自身に、「今日の授業の内容のポイントはどこだろう?(どこが小テストに出るだろう?自分だったらどんな問題を作るだろう?)」という思考を促すことができる。そのための仕掛けの1つとして、小テストは機能すると感じています。
※興味のある方は書評記事もどうぞ。
小テストの効果を示すソース②
名著『学習する学校』を出版してくれた英治出版さん、またいい本をありがとうございます。 学び方を学ぶ、「学習科学」の書籍は、多くのおすすめ本がありますが、これもノミネート。
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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読み終わった後に、ざーっと書いた書評も掲載します。
学び方を学ぶ本。学びたいことを学ぶのは大切だけれど、学びたい方法で学んでしまうのはもったいない、ということに気づかせてくれる。学びを6つのステップに分け、分かりやすく提示してくれる。各分野の熟達者から引き出した具体論を抽象化し、文脈に位置付けて紹介している。こうした構成も、読み手への配慮・学習学の知見によってもたらされている。抜き打ち小テストもその一つ。圧巻なのは巻末の文献表。学びたい人がさらにアクセスすべき情報が惜しみなく書かれ、学びを支援するプロの仕事を見た。さらに学習学を学びたくなる1冊。
p105-106あたりに直接的に小テストに言及する箇所があるけれど、ここでも小テストそのものより、それに伴う自問自答にこそ効果があることを指摘しています。
実はスキルや知識の習得が上手な人は、頭の中で頻繁にこのようなテストを行っている。学びながら「なぜこれが正しいのだろうか?」「これは他の概念とどのようにつながるのだろうか?」など自問している
具体的な例も多く、この本自体が学習科学の知見に基づいて読者の学びを支援してくれる、そんな印象を与える本です。ぜひどうぞ。
そんな小テストを私は「オンラインクイズ」と呼んで実施しています。
Googleさまさま方法
生徒のスマホや学校のクロームブックを使用して、授業の終わりに今日学んだ内容を確認するクイズを実施しています。
ざっくりとその流れをまとめると、
- 問題をGoogle Formで作り、
- Google ClassroomにクイズフォームのリンクをUPし(予約投稿で授業時間の後半に自動でUPされる)、
- 授業の最後の10分弱で生徒が各自の端末からClassroomにアクセスして、
- クイズに答え、
- その場で正解・不正解・正答率等の確認をした上で、
- 同じくClassroomで大福帳をオンライン記入、
- 記入を終えた生徒から授業終了
という流れです。慣れれば生徒も指示だけで要領をつかんでくれます。なお、スマホのないetcなどの生徒には、クロームブックを使ってもらいます。
導入に至った経緯
学力の3要素を伸ばすべく、様々なしかけを講じつつも、知識の定着をおろそかにしたくない、という思いがまずありました。
ただ、本音も言うと、
特に受験学年の授業は成績へのモチベーションや受験への焦りから、必修である私の科目は「捨て」られやすく、学習へのモチベーションもわきにくいため小テストで授業にハリを持たせたい、という思いもあります。
もちろん、授業の「ハリ」なるものを小テストのみで保つわけではなく、ハリを補完する一つの授業要素としての位置付けですが…
それから、実際に自分がかつてgaccoのオンライン講座を修了したときの学習方法がこのオンラインクイズであり、その効果を身を持って体感していたこともありました。
生徒の反応に驚く
昨年度だったか、授業で、「今日もオンラインクイズね、何を見てもいいし、友達と確認してもいいから全員満点を取ってよ〜」と言ったことがありました。
そのときの生徒の反応が「え、いいの?」と少し驚きをもって私を見ていた記憶があります。自分を棚上げするようでいけないのだけど、そういう雰囲気を感じました。
「成績をつけるためのテストではなく、知識の定着を目指すためのものなのね」という納得を生徒たちがしてくれていたような。
肌感覚だけれど、
生徒がこちらの予想以上に受験による序列化、偏差値による評価に慣れているからこそ、「全員満点を取っていい」という発言にあの雰囲気が生まれたのではないか、と推測しています。
推測であり、棚上げでもあります。
でも、そう感じてしまった自分がいたので、こういうときこそ、第三者の方に授業を見に来ていただいて、フィードバックをもらえると教員の学びも増すよなあ、、自分から見に行かないとと思いつつ、最近は全然行けていないのです。
おわりに
同じような?実践をされている方の工夫を知りたいですね。あとは問題の質。かつてこんなこともしていたけれど、このときよりは成長している、、か?
(余談)今週はイレギュラー対応もあり、今日も部活の引率となかなかハードな週でした。睡眠は偉大。
7時間寝られるだけで気持ちの持ちようがまったく違う。詰んでても打開できると思えるし月並みだけど力が湧きますね。
— T.Yacchae (@Yacchaee) 2018年10月4日
時期的にAO入試の結果で凹む生徒や、行事のゴタゴタで人間関係に悩む生徒、いろんな生徒の話を聞くのは結構受け止める体力がいるのだけど、
どんな傾聴スキルよりも睡眠は偉大。
睡眠をしっかりとる→生徒とのやりとりに余裕が生まれる・生徒の様子に敏感になる→生徒との関係づくりがうまくいきやすい→授業の効果もUP、
の流れを図らずも実感した怒涛の10月のスタートでした。
↑のソースも、こちらの本です。都度都度、参照している1冊です。ぜひ!
教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化
- 作者: ジョンハッティ,John Hattie,山森光陽
- 出版社/メーカー: 図書文化社
- 発売日: 2018/02/20
- メディア: 単行本
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