やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

年収300万円以下の世帯は○○%?日本は分断社会?~慶応の教授のスピーチが胸を打つ~

 このスピーチ、ぜひ、読んでみてください。

私はグッときました。(単純)

 www.minshin.or.jp

民進党党大会でのスピーチですが、決して、「特定のイデオロギーへの信奉を表明した言葉ではない」と私は感じます。読めば感じるはずです。

 

でも、本当にこの数字合ってるの?

大学教授、しかも慶應の教授が公の場で行ったスピーチに用いたデータに疑いの目を向けてみる必要があるのでしょうか?

私はその必要があると思います。

理由は、①権威の発言ほど信じやすく流されやすい 

    ②スピーチという特性上、ソースの存在を話者が明確に示せない

ということがあります。

そうじゃないと、例えばトランプ氏の発言も結局何が本当かわかりません。(アメリカには政治家の発言の「嘘」割合を調べる組織がある)

しかも、「権威」に疑いの目を向けるというのは「日本人」が苦手としていることです。クリティカル・シンキングなんて言いますが、何も難しいことではありません。「自分の目で見ようとする、確かめる」ということは「クリティカル」な思考を行うための手段です。

例えば、この数字は?

年収300万円以下の世帯が34%を占め、国民の9割が老後に不安を感じる。

34%という数字が具体的なので、調べる必要がない?と思ったのですが、まずは調べてみたら、出てきました。これがその証拠。

確かに、6.6+13.9+14.3=34.8%です。

f:id:Yacchae:20170514194443p:plain

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa14/dl/16.pdf

国民の9割が老後に不安を感じている?

これもデータがありました。母数が4056人で、85.7%。なるほど。

f:id:Yacchae:20170514200947p:plain

http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h28hosho.pdf

自分が「いい!」と思ったものほど。。。

気をつけねばなりません。みたいようにみてしまうのが人間ですね。

今回は私自身が、グッと来たので自分で突っ込みを入れてみました。

 こういう本も役に立つかと。教員としては自分が(それなりに)できて満足では不十分。。生徒がどうしたらできるようになるか、という視点で読んでいます。

クリティカル・リーディング入門:人文系のための読書レッスン (アカデミック・スキルズ)

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  • 作者: 大出敦,慶應義塾大学教養研究センター
  • 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
  • 発売日: 2015/10/29
  • メディア: 単行本
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 ちなみに井手先生の著作も結構おすすめです。「格差」や「貧困」について興味のある高校生が探求型学習を進める上でも、入門としては非常に読みやすいです。

18歳からの格差論

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さいごに熱い言葉を。 

 勝てる勝負ならば、誰にだってできる

教育者としてこういう先生に教わり、社会に貢献する若き人材をうらやましくも思いますし、「熱」の伝わる教員でいたい、と私は思います。

民主党時代の政権運営は…と突っ込みたくもなりますが、、心をつかまれるスピーチでした。

勝てる勝負、強い者の応援ならば、誰にだってできます。しかし、そんなものは僕にとっては全く何の価値もないことです。一介の学者に向けられた政治家の熱い思いに応えよう、もがき苦しみながらも強い者に立ち向かおうとする民進党の皆さんとともに、国民が夢を託すもう一つの選択肢をつくることができる。こんなに愉快なことがありますか。

 

www.youtube.com

ちなみに、蓮舫さんについてはこちらの記事をどうぞ。

たぶん、あなたの知らない蓮舫像が見えてくるかも。人の生い立ちというのは軽視できません。安倍首相だって、著作にどれだけ祖父・岸信介、父・安倍晋太郎のことを書いているか。

www.yacchaesensei.com