やっちゃえ先生探究記

生徒の力が引き出される「学習者中心の学び」をデザインしたい教員です。地道な形成的評価を大切に。

2017年に読んだタイトルが刺激的だけど中身の濃いオススメ本4選!~政治・経済・教育~

12月に記事数を増やすつもりが全く増やすことができず…あっという間に年末になってしまいました。

2017年に読み切った本、72冊。

年の瀬ということで、棚卸しとして読書記録から何冊かオススメ本をPickupしたいと思います!*1

なお、読書については数年前から、「読書メーター」というWebツールを使って記録をつけています。

bookmeter.com

他にもいろいろなツールがありますが、LIGさんのこの記事にまとめられているものは使っている方も多いような気がします。

読書家におすすめ!読んだ本の記録・ログ・管理ができるサービス7選(おまけ付き) | 株式会社LIG

今年読み切った本は大体70冊、恥ずかしいほど読めていない現状でオススメ本もくそもあるかい、というツッコミがあるかと思いますが、まとめてみたいと思います。今まで紹介した本がメインになってしまったかもしれないのは内緒。

選定基準はこの2つ!

学びが多かった、知的好奇心を書き立てられる、内容が面白い、など、一般的にオススメしたい本であることは間違いないですが、それに加えて、

  • なるべく最近出た本
  • 社会科教員として、オススメしたい本 

を紹介します。二つ目は、4月から新しい学校で公民系の科目をがっつり教えることになり、「これは!」というものに何冊か出会ったからです。ではいきましょう~!

①『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部宏治 

2020年はオリンピックだけでなく、憲法改正をめざす自民党にとっては非常に重要な年号になっています。日米関係については、先日も宜野湾の小学校に米軍機の窓が落下して、「自作自演」を疑う声が出たりしましたよね。

問題の所在がうやむやになる、というより、もうこういう問題が「たまにあること」となっている現状、その中でとにかくすぐに右左をあおる言説に振り回されたくない人には、ぜひ。

矢部さんの立場は、一貫して「事実をベースに考えようよ」というスタンスです。

キャッチーなタイトルですが、緻密な調査によって書かれています。矢部さんの本の中でも最も読みやすく、新書として読んでおいて損はない1冊ではないでしょうか。

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

 

②『多数決を疑う』坂井豊貴

 以前も紹介しましたが、「常識を疑ってみる」ことをし直したいあなた、ぜひどうぞ。なんだ、政治の本ばっかりじゃん、と思われるかもしれないが、この坂井先生のご専門は経済学だ。

www.yacchaesensei.com

個人的に教員としていつも心掛けているのは、分野の壁をぶっ壊すということ

分野の違いは、山の登り方の違いでしかない。その道の考え方、足の進め方を知ることは大事だが、そこにこもってしまっては何のための学問だろうか!と思っているので、社会科の中で専門は何かと言われても、「社会科」としか言えない私。

この本は、政治と経済のはざまで、誰も根本から問い直すことを忘れてしまったようなことを問い直す真摯さがある。

立場の違いの議論に終始せず、自分たちの足元をみつめる。そんな頭の使い方を生徒にもぜひ体感してほしいと思って授業でも取り入れた本です。

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)

 

 ③『科学が教える子育て成功の道』

 これは教育界ではかなり知られている岩瀬先生のブログでも絶賛されている本。

これは必読中の必読。新指導要領でも「資質・能力」に焦点が当てられていますが、非認知能力への注目度が高いです

【修正しました!20171119朝版】独断と偏見による、これからの教育を考える20冊。 - いわせんの仕事部屋

 タイトルはなんだか商業めいていて、あんまり好感をもてない気もしなくはない(失礼)ですが、中身は学習科学の理論と実践をふんだんにちりばめており、本当にかっちりしています

6Csの理論はどの科目の授業設計でも使える理論です。社会や理科という教科はどうしても学習において《内容》Contentsから入ってしまう傾向があるけれど、その落とし穴がよくわかりました。いい本です。

www.yacchaesensei.com

④『全ての教育は「洗脳」である』堀江貴文

これもタイトルはキャッチーですが、中身はいたって普通というか、「わかるわかる」と思わされる本でした。

例えば、勉強と学びの違い、30秒で説明できますか?

堀江さんはその違いを以下のような表にまとめると同時に、今世の中に求められる人材がどのような人材かを定義したうえで、学校はこう変わるべきだ、という主張をします。

読みやすくてすいすい入ってくるので、年末年始寝正月だという方にもオススメです。あなたがもし教員だったら、あなたのつくっている教育は、「お勉強」でしょうか、それとも「学び」でしょうか?

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もちろん、このような二項対立、単純化はしきれませんが、本を読むと堀江さんはそんなに物事を単純化していません。タイトルはキャッチーですが、決して学校現場を敵にも回していません。(本音は「ばっかじゃねえの!」って思ってるかもしれないけど笑)

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書)

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書)

 

おわりに

①普段使っているPCではなく、本が手元にない中で書くと、ぼやっとしてしまいますね。論文と一緒で?引用が少ないと思ったような記事が書けない…!

②新しく出た小説とかほとんど読めていないので、この記事にも載せられませんでした。論文を読んだりする機会を増やしているので仕方ない、と言い聞かせます…

③今読んでいるこの本、たぶん読み切ったらここにノミネートされる良書だと思います。教育者、必見です。 

「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる

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*1:4月から新しい環境に身を移したので、なんとか信頼関係を大人とも子供とも築くことを最優先していた結果、ブログの更新数も通読した本の数も減ってしまった気もします。1年の振り返り自体はまた別の記事で書きたい…